ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

東京都美術館へ、(高齢者無料日、空振りに終わる)

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いつもなら、ここにうねうねと蛇行する行列が

まだ始まってもいない「クリムト展」へ意気揚々と出かけてみれば・・・

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まだ一週間先だった!こういうそそっかしいことが起きるようになって、困ったものだ。

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まだ夜の会合までたっぷり時間があるので、二科展へ回ることに。と言っても、⬇︎春季のは本格的な二科展ではないのだ。

 1896年(明治29年)に東京美術学校に洋画科が設置されたのが、わが国洋画壇の黎明期であり、この頃フランスに留学していた新進の芸術家が帰朝するに従って、文部省展覧会の審査に新・旧の価値観の違いが目立ってきた。そこで、新・旧を一科と二科に分離するように政府に要求したが、時期尚早と却下された。
 そのため1914年(大正3年文展(文部省美術展)の洋画部に対し、新進作家たちが新しい美術の確立を標榜して、美術団体「二科会」を結成し「流派の如何にかかわらず、新しい価値を尊重し、創造者の制作上の自由を擁護し、抜擢する」という趣旨のもとに1世紀におよぶ歩みを踏み出した。
 現在、絵画・彫刻・デザイン・写真の4部で二科美術展覧会を開催しており、絵画部、彫刻部は、1979年(昭和54年)に法人化し、社団法人二科会として発足。2007年(平成19年)からは会場を上野の東京都美術館から六本木の国立新美術館に移し歩み続けてきた。
 春は、東京都美術館において、会員の実験的作品の発表と新進作家の育成を目指した春季展を開催し、秋の二科美術展覧会は全国から広く作品を公募するとともに、会員も研鑽を重ねた熟成度の高い作品を発表する場としている。

というわけだが、そんな中でも目を引いた作品がいくつか。

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木彫本来の質感が素晴らしいのと、思わずこの表情に魅せられた。

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「赤いカバン」島田紘一呂

このコミカルな作品、作者がそばにいたが、かなり斬新な装いで手にはまさに赤いかばんを下げていて、それをモデルにこれを制作したのは明白。

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若い頃に何度か足を運んだことのあるロンドンのコートールド美術館から傑作がこの秋やってくるらしい。楽しみなことだ。

上野から高田馬場へ移動、昔仲間と夕食。小豆島料理とは珍しい。ひさしぶりに冷酒などをいただいた。これは最後に出た名物のそーめん。

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さっぱりしたお味は、飲んだ後にはぴったり。

「ハンターキラー 潜航せよ」

190415 HUNTER KILLER 122分 米 監督:ドノヴァン・マーシュ(南ア出身、その他、不詳)製作(ジェラルド・バトラーもその一人)と製作総指揮にそれぞれ10人もいるというスタッフ陣。異様な数の多さだ。

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全編を通して緊迫感がまったく途切れることのない潜水艦映画の佳作!

ロシアでの軍によるクーデターの現場を米特殊部隊が撮影に成功、囚われたロシア大統領を救出し、潜水艦で脱出させるというあり得ない離れ業で、一触即発の米露開戦をギリギリで回避するというお話。

潜水艦映画と言えば、「深く静かに潜航せよ!」'58、「眼下の敵」'57、「U・ボート」、'81「レッド・オクトーバーを追え」'90、「クリムゾン・タイド」'95 、「K-19」'02 など、ほぼ見ているが、それらを凌ぐ面白さは、とりわけ撮影、音響、編集の素晴らしさだろう。

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(左)スェーデンの名優、ミカエル・ニクヴィスト、2年前に亡くなっていたとは!56歳

⬆︎囚われの身となっている敵潜水艦艦長、アンドロポフとの敵味方を超えた信頼関係により、機雷だらけの、しかも細い水道を通過していく場面は秀逸。

さらに、まさに攻撃を加えようとしたロシアの駆逐艦の乗務員のほとんどがアンドロポフ艦長の嘗ての部下だったということから、アンドロポフがマイクで呼びかけ、爆雷発射を指示する駆逐艦艦長に全員が抵抗する場面も泣かせる。

#24 画像はIMDbより。

 

大田区ハイドン室内管弦楽団 第59回定期演奏会

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もうこれまで何度聞かせてもらったことか。しかも、ただで!

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「魔弾の射手」序曲では、ホルン重奏による有名な旋律が出てくる。昔、中学校でうたたことのあるメロディー。わずかにホルンに一瞬乱れが生じたが、十分楽しめた。

青葉三里   野路を辿る 
馬追の    笠の上に 
白し真白し  真白小百合 
朝風に    揺れて咲く

 

2曲目はハイドンの99番。この楽団、ハイドンの名前がついているだけに、演奏は手慣れたものだ。

シューマンの「ライン」は、多分初めて聞いたが、特にライン川の滔々たる流れがイメージできるわけではないが、特に4楽章は金管の響きが美しく、満を持して演奏を始めたトロンボーンのオルガンのような響きにとりわけ魅了された。

アンコールはシューベルトの「ロアザムンデ」から間奏曲。

この楽団、昨年夏に響友第九で共演していて、知っている顔がいろんなパートにちらほら。かなりご高齢のチェリストが今日もお二人、弓の運びも軽やかに演奏されている姿には勇気をもらった。

#18

「ラファエル前派の軌跡展」@三菱一号館美術館

190411  ブロガー対象の内覧会に参加。

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ラファエル前派と、突然唱え始めた絵画集団に、当時の美術愛好家も驚いたことだろう。

会場に用意されていた見どころガイド、ジュニア版と書いてあるが、大人向けでもある。

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そもそもラファエル前派と言われてもほとんどの大人でも??だろう。

確かに妙な呼称であるが、英語というか学術名ではPRE-RAPHAELITISMというのだから、正確な訳語と思われる。ラッファエッロ・サンティ(1480-1520)は、ルネッサンスの2大巨人、レオナルドミケランジェロよりわずかに遅れて登場し、37歳で没してしまった天才画家で、その後の時代はマニエリズムと呼ばれる、技巧的で面白みに欠ける絵画が出回る時代。

そこで、前派の連中はラファエル以前の時代に回帰して、誠実味のある丁寧な絵画、自然をじっくり見極める作品を目指したということか。具体的にはジョット・ディ・ボンドーネ(1267-1337)などをイメージしてたのかも知れない。

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今回の展示作品数は147点、画家の数は22人にのぼる。

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まずは今回の担当キュレーターである野口玲一氏(⬆︎左)と、モデレーターを務める中村剛士氏によるトークショー(約30分)で概要を掴む。例によって中村氏の軽妙な進行で、野口氏もつい口が緩み、エヴェレット・ミレイとジョン・ラスキンの関係、とくにドロドロした「ミレイによるラスキンの妻、横取り」事件にまで触れて、面白おかしく解説してくれたのが印象に残った。

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「滝」by ジョン・エヴェレット・ミレイ。その3人で旅行した時の作品。

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ラファエル前派でもないターナーの作品があるのはなぜかと思えば上記のような事情で、少しラファエル前派の作品に”色をつけた”ということだろう。企画展としてはその方が吸引力は上がるしね。また、美術評論家、思想家であるジョン・ラスキン自身、結構描いていて、彼の作品も前派展に花を添えた感じだ。

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第1章は、ほとんどが水彩画の小品、さらに表面を覆うガラスの反射でうまく撮れないため、割愛。唯一、油彩のターナーの「カレの砂浜ー引き潮時の餌取り」の撮影。⬇︎

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ということで、あまり好みでない作品の撮影は割愛している。このタイトルの企画展にしては、同時代の作品群以外にもちょっと前のターナーまで含めて、幅広くカヴァーしており、見応えたっぷりな展覧会である。

蛇足ながら、ターナーのカタカナ表記で、ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナーとして統一してあるのが気になった。Mallordをマラードと表記するのは、無理がある。まして、この人物は英国人であり、マロードとしない理由が自分には判然としない。

会期は6月9日まで。

なお、上に掲載した画像はすべて主催者から特別な許可を得て撮影されたものです。

「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」

190411 SHOCK AND AWE (衝撃と畏怖)、米 91分 製作(共)・監督:ロブ・ライナー(出演も)

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例の湾岸戦争がいかに仕組まれたかを暴く記者たちを描く。

カトリック聖職者たちの幼児性的虐待を暴いたボストン・グローブ紙の活躍を描いた「スポットライト」('16)、や、ベトナム戦争へと駆り立てたでっち上げの数字による政府の陰謀を暴いた「ペンタゴンペーパーズ」('18)などと軌を一にする、実話に基づく社会派ドラマ。

ありもしない大量破壊兵器保有していると主張して、無謀な戦争を仕掛けた当時のW.ブッシュ政権、とりわけチェニー副大統領、ラムズフェルト国防長官ら、いわゆるネオコンと呼ばれる連中の”陰謀”だったことは明白。

ほとんど展開が読めるので、もうひとひねりしてくれないと、映画化した面白みがない、と言う意味で、これは残念ながら凡作!

それにしても、当時は'01年の9.11による世論が盛り上がっていた時期だけに、大衆はにっくきアラブ一色で、ましてニューヨークタイムズのような大新聞が政府の言うなりの記事で煽れば、こういう結果になるということ。

これに対して、映画で扱われている弱小新聞社「ナイト・リッダー」社は、地道に関係者からウラを取りながら、政権の嘘を暴いて行く。この辺りは前述の2作品とそっくりの展開。

湾岸戦争後、ニューヨークタイムズは、大量破壊兵器がなかったという結果を受けて、正式に謝罪したらしいが、政府はほっかむり。結局、ネオコンというのは、”戦争”をでっち上げて金儲けを企む連中のことだけに、始末が悪い。そういう意味では、悪評高いトランプの方がまだマシなのか。

翻って、ずっとアメリカの主張を鵜呑みにしていた日本政府(海部政権)は、そのことには一切触れないまま。あれだけ巨額(90億ドル-1兆2千億円!!)を拠出しながら、世界から忘れ去られた事実を一体どうしてくるんだ!

#23 画像はIMDbから