ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「オーシャンズ8」

180814 OCEAN'S 8 米 110分 原案・脚本・監督:ゲイリー・ロス 製作:スティーブン・ソダバーグ(「オーシャンズ11、12の撮影・監督)

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シリーズ4作目。内容としては11の続編というところか。全員女性、それも贅沢なキャスティングであるところがポイント。とりわけ主演のサンドラ・ブロックケイト・ブランシェットの共演が素晴らしい。アカデミー主演女優賞を取ったのが、この二人に加えてアン・ハザウェイ、ノミネートがヘレナ・ボナム・カーターという具合。という次第で話題満載だ。ただ、全体の出来栄えというと、イマイチかなぁ。ストーリー展開はよくあるパターンだしね。さしてびっくりというほどでもない。

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7人で作戦完了、のはずだったが、8人目が登場し、一同びっくり。「ゼロを7人で割るよりいいでしょ?」とデビー。さらに、もっと驚くべき大戦果を披露、これにはぶったまげるしかない一同。

もう一つ、ヴォーグ主催のメットガラの豪華さと、舞台裏が垣間見えるのも楽しい。まあ実際はちょっと違うんだろうけど。

それにしても、スマホiPhone)が大活躍、3Dプリンターも重要な役回りだし、その辺りも興味しんしんだった。

ラストシーン、自分が投獄されている間に練りに練った計画がまんまと大成功したデビー(サンドラ・ブロック)が、兄、ダニー(ジョージ・クルーニーが演じたオーシャンズ11の主役)の墓前で、兄と同じ格好、蝶タイをはずしたタキシード姿で、用意したカクテル(シェーカー、オリーヴまで用意して)で祝杯を上げる姿が印象的。

ついでだが、ダニーの没年が2018となっていた。ちなみに墓が最近はやりのスタイルなのか、骨壷を収め、引き出しのようになっている。手前に名前と生没年がシンプルに刻まれているのみ。

サントラでは、聞き覚えのある曲、少なからず。「ララのテーマ」(ドクトルジヴァゴのテーマ曲)、「トッカータとフーガニ短調」、「ドギー・イン・ザ・ウィンドウ」、「プティット・フルール」、"THE BOOTS ARE MADE FOR WALKIN'"(ナンシー・シナトラ)など。

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これだけいると、立ち位置が決まるまでいかにも大変そうだ。アン・ハザウェイ以外はなんだかみんな不満そうだ。ケイトさんはさすが貫禄勝ち!

#60 画像はIMDbから

今年のフェスサマミューザも今日が最終日!

180812

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毎年、フィナーレだけは欠かしたことがない。今年はまた変わった演目を並べている。

アメリカ人作曲家特集というわけだ。珍しい最終日になった。期待していたのはチューバ協奏曲だ。(テューバという表記はどうなのだろう。わざわざそこまでと思うし、これまでチューバで通ってきたことを考えればいささかの違和感あり)ま、そんなことはともかくとして、大変愉快な経験だった。

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そもそもこの楽器のための協奏曲があるとは知らなかった。それほどの超低音楽器である。最低音部辺りの音は、音程というよりただバリバリという音にしか聞こえないし、ズンと身体が震えるような衝撃を受ける。

ところで、この演奏者、かなりの大柄で軽々とチューバを抱え込んで登場。そう言えば、今やあらゆる楽器を女性が奏でる時代だが、さすがにこれだけは男の領域と言えよう。女性演奏家が皆無とは言わないが、極めて珍しい。ついでながら、シンバルも女性が鳴らしているところを見たことがない。あれもよほど体力がないと振り回せない楽器だ。

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今日の演目は全体に管楽器、打楽器が大活躍。とりわけパーカッショニストが忙しく動き回るしたたく楽器も実にさまざまで、それを見ているのがまた楽しかった。

バーンスタインのディヴェルトメントの中で、フルート2管、ピッコロも2管で、さらに二人のピッコロ奏者が立ち上がって吹く場面もあり、珍しいシーンに遭遇した。また、ミュートが多用されたのも、ジャジーな演目ゆえか。ちなみにチューバのミュートは巨大なコーンで、これを着脱するところがなかなかユーモラス!はめ込むと、電気釜のごとき物体が朝顔に乗っているという図式。

着飾ってきらびやかに」というのがこれまでの呼称だったが、今日は「着飾って浮かれましょ」に改題されていた。原題がGLITTER AND BE GAYだから、後者がセーカイだろう。

この有名なナンバーを幸田浩子が、例によってそつなく歌ったが、マイクが前に立っていたのには驚いた。オペラ歌手は基本的にマイクは不要品なのだ。ただ、その後、ミュージカル歌手が登場して、ドゥオもあることからこういうことになったようだ。

中川晃教はミュージカル専門の歌手だけにマイクの使い方がうまい。その点、幸田浩子は近づくのか、遠ざけるのか、迷った微妙な位置で歌っていた。

舞台前面にモニタースピーカーが3台並んで設置されていたのも、フェスサマでは珍しい光景!

アンコールは名曲「トゥナイト」、これはなかなか素晴らしい二重唱であった。今年のフェスタ・サマー・ミューザの締めくくりにふさわしい演唱であった。

#47 文中敬称略

荒川区民オペラ「イル・トロバトーレ」@サンパール荒川(大ホール)

180811

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このところ、毎年のように足を運んでいる質の高い区民オペラ!今回もキャスティングを見て、すぐ予約した。昨年はマダム・バタフライだったが、ソプラノ、メゾの組み合わせは西本・杣友組で今回と同じ!こんな公演が5,000円というのだから、ありがたい!

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西本真子は期待通りというかそれ以上の出来で、ブラーヴァを連発!メゾの杣友恵子も立派なアズチェーナを好演、こちらもBrava, ma molto brava!

他に、開幕早々にアリアを歌うフェランドの狩野賢一も自分の持ち味をしっかり出せていたと思う。

マンリーコの田代 誠、申し訳ないのだが、年齢的にこの役をやるのは、ギリギリという印象が拭えない。ハラハラして聞いていたが、やはり肝心のALL'ARMI~~は・・・。他がよかっただけに気の毒だった。ご本人も覚悟していたのか、案外サバサバしていたご様子。

ルーナ伯爵の野村光洋、全体として無難にまとめていたと思う。ただ、声質の問題はどうしても残る。この役、かなりふてぶてしい男であり、どちらかと言えば、もっと重々しく猛々しい声がふさわしいのだが、そこまで求めるのは酷かも。IL BALEN DEL SUO SORRISOが、自分にはこの演目全体を通して一番の聴かせどころと思っているだけに、一言余計だったかも。

荒川区民合唱団、素晴らしかった!

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ご覧のように賛助歌手も少なからず加わってはいるが、歌唱はもとより、演技も堂々としており、自然な動きで違和感、まったく!自分も最近「椿姫」の合唱隊の一員としてデビューを果たしたばかりなので、合唱隊にはいつも以上に注意深く拝見、拝聴した。

このホール、昨年のマダム・バタフライの時より、全体に音響がよくなっていたのは、舞台装置のせいなのか、よく分からない。今回も多分反響版は撤去していたと思うのだが。

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舞台は背景にご覧のような単純化された針葉樹が描かれているだけ。手前に階段状の台形が置かれているだけで全幕を通したが、それで十分。

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前半は真紅の衣装、後半は一転、高貴なブルーの衣装!

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アズチェーナの杣友恵子は舞台衣装から手早く着替えてロビーに登場。メイクは落とさずにいてくれてよかった。どうですか、このドヤ顔!

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フェランドの狩野賢一。冒頭、物語の背景を説明するという重要な役回り。

#46 文中敬称略

野方WIZ フライデー・コンサート 第232回 Italian Night AMORE E CUORE イタリアを愛する三人が贈る情熱のカンツォーネ

180810 ミューザ川崎の終演時間が50分も押してしまい、京浜東北線ー山手線ー西武新宿線を乗り継いで野方へ。15分も遅れて到着。幸いなことに、歌仲間が席を取っておいてくれたので、曲の合間にうまく滑り込めた。

今日は、我が合唱団の指導者の一人、猪村浩之先生の舞台だから、仲間7人と駆けつけた。伴奏は令夫人でもある大坪由里、共演はソプラノで、モナコ在住の友佳子クスト平盛。(大仰な名前に聞こえるが、ピアニストであるイタリア人に嫁ぎ、モナコで優雅に暮らしている方。その昔、シャネルのピグマリオン・デイズ専属歌手に選出され、1年間、何度かシャネルでの演奏会を開催している)

猪村先生お得意のナンバーがズラリ。前半は歌曲中心、後半はカンツォーネ中心の構成。やはり後半は知名度の高いナンバーを並べているので、尻上がりに歓声と拍手が増大、最後のオー・ソレ・ミオの盛り上がりは凄かった。そして、アンコールでは、なんとさっきミューザ川崎で聞いたばかりのTIME TO SAY GOOD-BYE! 同じ日に2度同じアンコール曲を聴くとは、珍しい体験でした。

特筆すべきは、大坪由里のピアノの技、正直驚いた。伴奏ピアニストではなく、本格派のコンサートピアニストというべきか。華麗なタッチが正確無比な音を紡いでいくのには忘我である。

猪村先生は⬇︎でご覧の通り、イケメンでオシャレ、その上、人柄も素晴らしく、我が団では、特におばちゃんたちからの人気抜群で、先生がいるから歌い続けているという人、少なからず。

今日は、前半は黒ずくめで、下は多分レザーパンツ。顔面にたっぷり汗をかいていた。もう少し涼しげな装いでもよかったかも知れない。対する友佳子さんは真紅のドレス!

後半は一転、先生が上下白のスーツに、なんと真っ赤なローファー、揃いのチーフという、これは先生でないと着こなせない出で立ちだ。友佳子さんは、やや渋めのネイビーのドレス。

終演後、ロビーで我が合唱団員との記念撮影。

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華麗なツーショットと思ったら・・・目、瞑っちゃったよ。残念!こう言う時に限って1枚しか撮影していない!あーあ!

夕食、食べる間もなく駆けつけ、喉もカラカラで、さっそく一同、近くのイタリアンで一息ついた次第。

 

#45 文中一部敬称略

「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2018 東京ニューシティ管弦楽団 センター争奪、灼熱のアリアバトル」

 

180810 なかなか面白い企画だし、お値段も手頃なのだが、客の入りはイマイチ。この猛暑の時期、あまり人は移動したくないのだろう。こちらも余りの暑さに、初めて自宅近くのバス停から1回乗り換えではあるが、会場近くのラゾナ川崎まで行ってみた。JRを使ういつものルートとほぼ同じ所要時間であり、しかも最後の区間は東京でないにもかかわらず、手元のシルバーパスが使えるのはありがたい!

出演者で、一番気になっていたのが土屋優子!さいきん評判が上がってきているようで、初めて生で聞く機会が訪れた。

前半、全員の演唱を聴いた上で、聴衆が投票し、1位者が最後の「乾杯の歌」をセンターで歌えるという、それだけのことなのだが、進行の朝岡 聡の巧みな話術で、会場を大いに盛り上げた。

出演者の売り込みのチラシがプログラムに挟み込まれていた。(順不同)

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そして演目がこちら。


指揮:曽我大介
ソプラノ:高橋 維
ソプラノ:土屋優子
メゾ・ソプラノ:野田千恵子
メゾ・ソプラノ:高野百合絵
テノール:芹澤佳通
バリトン:吉川健一
司会:朝岡 聡
ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲 

【前半アリアバトルの歌唱順は
 プレトーク中の抽選で決まります】
ヴェルディ
 歌劇「椿姫」から“ああ、そはかの人か~花から花へ”(高橋)
プッチーニ
 歌劇「蝶々夫人」から “ある晴れた日に”(土屋)
ロッシーニ
 歌劇「タンクレーディ」から“この胸の高鳴りに”(野田)
ロッシーニ
 歌劇「セヴィリアの理髪師」から “今の歌声は”(高野)
プッチーニ
 歌劇「トゥーランドット」から“誰も寝てはならぬ”(芹澤)
ジョルダーノ:
 歌劇「アンドレア・シェニエ」から“祖国を裏切る者”(吉川)

ロッシーニ
 歌劇「セビリアの理髪師」序曲
ロッシーニ
 歌劇「セビリアの理髪師 」から
 ロジーナとフィガロの二重唱
 “それじゃ私だわ・・・嘘じゃないわね” (高野/吉川)
プッチーニ
 歌劇「ラ・ボエーム」からロドルフォとミミの二重唱
 “おお麗しの乙女よ” (芹澤/土屋)
マスカーニ:
 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
プッチーニ
 歌劇「蝶々夫人蝶々夫人とスズキの二重唱
 "桜の枝を揺さぶって" (土屋/野田)
ドニゼッティ
 歌劇「ドン・パスクワーレ」から
 ノリーナとドン・パスクワーレ の二重唱
 “お嬢様、そんなに急いでどこへ” (高橋/吉川)
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」序曲
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」 第三幕 四重唱
 ”美しい恋の乙女よ” (高橋/野田/芹澤/吉川)

エストロ曽我はこんなことを語っている。

もちろん、「争奪」「バトル」とはいっても、「ガチの争い」ではない。
「どちらかといえばお楽しみですね。出演者は私も共演したことのある、若手ながら指折りの実力を持った歌手のみなさんです。みなさん楽しんで参加してくださっているようです。意気込みなどは、当日プログラムとともに配付される『選挙公報』をご覧ください。
 出演者全員が声のタイプのまったく異なる、カラーの違う歌手のみなさんです。それぞれの希望曲数曲の中から選曲して、結果として、コンサートとして聴いてもとてもバランスのよいプログラムになっていますので、人間の声のさまざまな魅力、イタリア・オペラの世界の奥深さを楽しんでいただけると思います」

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この人、ひょうきんで親しみやすい方らしく、進行とのやりとりの間合いの取り方もうまいし、「乾杯の歌」では自らテノール(?)の喉も披露して会場から盛んな拍手が。

結局、投票では私も投じた土屋優子が1位ということで、優勝者の⬇︎たすきを掛け、堂々、真ん中で歌った。

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アンコールには、自分の所属合唱団も昨年の定演で歌った"TIME TO SAY GOOD-BYE"、これはまた一段と素晴らしかった。

確かに同じ声部でも、種類が何層にも別れるので、そこが聞く側の興味を惹きつけるし、歌う側もそれを意識して慎重の上にも慎重に選曲しないと、「この人、こんなはずじゃないんだけどなぁ・・・」などということが往々にしてあるみたい。

多分、一位はこの人ではないかと思っていたのがソプラノの高橋 維。人気・実力ともに急上昇中。前半、つまり投票対象の選曲は「椿姫」から1幕のアリア。無難に歌い、最後のEsも余裕で出し切って、やんやの喝采とブラーヴァ!は、まあ想定内。でも、ヴィオレッタは、多分、もう少しスピント系の色合いが求められるような気がしてならない。もっと彼女の本来の持ち味が出せる曲を選んで欲しかった。もしかして、イタリアものよりドイツものの方が合っているのかも。

その点、土屋優子のマダム・バタフライは、ほぼぴったりとはまっていたと思う。どちらかと言うと、沈み込むような高音というとヘンかも知れないが、重みのある高音に特徴を感じた。

高野百合絵、学院生の現役というから驚く。舞台姿が堂々としていて、すでにキャリアが積んでいるように見える。Una Voce、アジリタも軽快でとてもよかった!最後の最後に、チラッと「アレ?」という感じがしたのは自分だけかな。微かにズレのようなものが。

野田千恵子、中音の響きに期待したのだが・・・これも多少選曲に問題あったのかも。でも、最後に歌ったリゴレットの四重唱でのマッダレーナでは息を吹き返したようだった。それにしても、かなり小柄だから、オペラ本公演の舞台に乗るには、申し訳ないけど、ちょっとばかりしんどいかも知れない。

芹澤佳通、大器の風格だが、まだまだ原石だ。ちょっとこもった、というかソフトなテノールで、これは磨き甲斐がある。ネスドルは、やや期待はずれ。でも、いいものは間違いなく持っている。

吉川健一、10年ほど前からもうなんども聞かせてもらっていて、実力のほどもよく知っている。なんでも器用にこなすタイプだろう。人物も明るく社交的で、口八丁手八丁という印象。ただ、今日の演目は、どうだろう。この人に合っていたのだろうか。「アンドレア・シェニエ」のこの役は、この人のような明るい感じのバリトンでは、訴えきれない気がする。(なんたって、この曲、あのエットレ・バスティアニーニで聴いちゃっているから、それも生で)もっと荒々しい、ごっつい声で歌ってこそではないかな。

つい調子に乗ってえらそうに書いてしまったが、さすがマエストロが厳選した人たちだ。ヴェテランから新人まで一堂に会しての歌合戦、たっぷり楽しませもらいました。

#44 文中敬称略