ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

METライビビューイング2019-2020「トゥーランドット」

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シーズン2019-2020の皮切りは「トゥーランドット

フランコ・ゼッフィレッリの創り上げた舞台のきらびやかさ、豪華さ、衣装の美しさ、まさに夢のような空間が目の前に!

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カラフは当初ロベルト・アロニカの予定だったが、いつの間にかネトレプコの旦那に変更。

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トゥーランドット姫の歌い出しは、かなり待たされてから。それだけに期待感が高まる。

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見た目も凄みを利かせているが、さすがソプラノ・ドランマティコの第一人者、終始圧倒された。

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ただいま51歳のアメリカ人だが、このGoerkeという姓からすれば、ドイツ系?カタカナ標記はガーキーだが、微妙に違うようだ。ゲーテと同じ中間母音だろう。この人、前シーズンでは「ワルキューレ」のブリュンヒルデをやって話題になったドランマティコ。強靭な喉とすさまじき体力を本作でも示した。日本人にはちょっと無理かな、という感じだ。

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リューを歌ったエレオノーラ・ブラット(ブにアクセント)

リュー役のソプラノもなかなかの力演で、主役の二人と同等の拍手喝采を浴びていた。アメリカ人やアゼルバイジャン人の中にあって唯一のイタリア人!今はそんな時代なのだ。

今回、幕間のインタビューアーは6作目(日本では4月公開予定)のタイトルロールを演じるアメリカ人ソプラノ、エンジェル・ブルー(これ、本名というからびっくり)。真っ赤な衣装に身を包んだ巨体に驚く。小柄なマエストロ、ヤニック・ネゼ=ゼガンなど、まるで子供のように映るほど。最近亡くなったジェシー・ノーマンを彷彿とさせる。YouTubeで聴いたが、やはり巨体に似合うパワフルな声だ。

毎度のことだが、このシリーズは、やはり目が離せない。予告をいつくか見せてくれたが、10作すべて行きたくなった。終演時、となりのおばちゃん達、思わず拍手していた。分かる!

#70

「i - 新聞記者ドキュメント - 」

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今日の朝刊に安倍首相の通算在職日数が2887日となり歴代最長と報じられたが、自らその中身を問うて欲しい。権力は腐る。長くいればいるほど。その典型例だろう。

この映画は東京新聞の望月衣塑子記者が官房長官記者会見で孤軍奮闘する場面を軸にして、いかに今の内閣が政治を恣にして、国民を嘲っているか、その実態を赤裸々に暴き出す。若い人たちにもぜひ見て欲しい作品。

それにしても、なんと言われようと、自分を貫く勇気には感服する。あの記者会見でのまさに木で鼻をくくったような官房長官と、ちゃんとした質問をしているのに、「早く質問しろ」と妨害し続ける広報室長の姿には反吐が出る。

また麻生太郎への質問に対し「ああ、あんたがあの有名な東京新聞の記者か!」とおちょくり、退室しかかったところへ、さらに質問を続けようとすると「いい加減にせえや!」と一括する。品性のかけらもなし。なんというあさましくも情けない政治家たちか。

その他、モリカケ問題、辺野古埋め立て問題、またフリージャーナリスト伊藤詩織に対する、当時TBS記者で政府への提灯記事を書いていた山口敬之(のりゆき)の強姦容疑(逮捕寸前だったのを直前でもみ消された)事件なども描かれていて興味が尽きない。

#69 文中敬称略

佐山雅弘メモリアル・コンサート

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佐山雅弘は、昨年11月突然64歳の若さで急逝したジャズピアニスト。その飾らぬ人柄ゆえ、ファン層も厚く、ジャズに限らず広く音楽仲間から絶大な信頼と支持を得て、固い絆で結ばれていただけに、1年後の彼の若すぎる死を悼む追悼コンサートにはそうした仲間が多数出演。当然、今日は満員の盛況、予約するタイミングが少しずれただけで、いつもの席が取れず、今日は2階席から。

開演直前に場内アナウンスで、第2部では中心的役割を果たすはずだった国府弘子が体調不良のため、出演できなくなったと告げられ、がっくり!その後、2部開演冒頭に小原 が、「さっきまでリハーサルで一緒だったのですが、急性心筋梗塞で近くの病院へ緊急搬送され、さきほど無事手術が終わりました」と報告。安堵のため息が周辺から漏れる。

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プログラムには演奏曲目の掲載がなく、終演後、ロビーに掲示された。

熱のこもった演奏には終始圧倒された。May J.は初めて生で聴いたが、この人、ジャズをこんなに歌える人だったとは!

久しぶりに生ジャズに陶酔した3時間半!

#74 文中敬称略

変貌を続ける渋谷駅周辺

191114 久しぶりに渋谷へ。

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左はオープンしたばかりのスクランブル・スクエア・タワー

まずは開業したばかりのこのビルへ。15階から上は、オフィスフロアが続き、最上階の45階は専用エレベーターに乗り換える。ただし、入場料@¥2,000を払った人のみ。当然、そんな金額は払いたくないから、15階からの眺めで満足して、下へ。

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反対側へ行くと、今までロの字形だった歩道橋が途中でばっさりと切断されているではないか。また恵比寿方向を見ると、カフェ、居酒屋、旅行代理店、本屋などがあった一角はすでにかくの如し。爆撃を食らったかのように、深くえぐれていて、昔日の面影、まったく。

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夕食後、飲み足らない仲間がもう1軒と誘うが、センター街には年寄りが行くような場所がない。

あきらめてセルリアン・タワー最上階のバーへ。左がスクランブル・スクエア・タワー。右は昨年オープンした渋谷ストリーム。この一帯はなお大きくさまがわりである。

この上、まだ高層ビルができるわけだから、これからがどんな変貌になるのか大いに楽しみである。

「ホテル・ムンバイ」

191113 原題もHOTER MUMBAI 脚本(共)・監督:アンソニー・マラス(アデレイド出身、年齢不詳)

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2008/11/26、ムンバイで実際に起きたテロ事件を扱った作品。10年前とは言え、まったくこの凄惨な事件を覚えていないとはどういう訳か。重装備とは言え、たった10人で170人以上を射殺、230人以上を負傷させたという大テロ事件であるのだから、当然日本でも詳しく報道されたと思うのだが。

市内の5ヶ所、ホテル、病院、駅、観光名所などがターゲットになった。製作にあたり、多数の生存者から数十時間に及ぶ面談でホテル内外での詳しい様子、また一人だけ生き残ったテロリストからも攻撃側の様子が明らかになり、脚本が練られたようだ。

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実際にはゴムボートでなく、盗んだ漁船を使ったらしいが、テロリストは海から上陸した。

上陸後はタクシーに分乗、事前に練られたプランに従って、市内各所に分散し、攻撃を開始。レストランで襲われた客たちは一斉に市内随一の豪華ホテル、タジ・マハル・パレス・ホテルに逃げ込む。直後にここが最大のターゲットになるとも知らず。

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門番は逃げ込もうとする群衆を制しようとするが、支配人がドアを解放。

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ベビーシッターを伴ったアメリカ人親子3人、暖かく出迎えられ、上階のスィートへ。

数分後、ここは血だらけの修羅場と化すのだが、今は静かで穏やかな時間が過ぎて行く。

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その時刻、厨房では宴会準備に追われている。全員に最終確認をするシェフのオベロイ

中央に立つアルジュン(デヴ・パテル)は、この日職場で履く靴が出がけにリュックから滑り落ち、サンダル姿で点呼を受けたため、きびしい料理長から即、退出命令が出る。しかし、妻のお産を控え現金が欲しい一念で必死に食い下がりなんとか、標準サイズの予備の靴を無理やり足を突っ込んで、この場にいる。数分後に迫る危機で、彼が宿泊客救出に並外れた能力を発揮することを誰もまだ知らない。

このアルジュン、宿泊客のアメリカ人家族、そして陣頭指揮にあたる料理長を軸にしてテロの流れを、時折実際の映像も加えながら、余すところなく描いて行く手際が素晴らしい。もちろんテロリスト側の様子、とりわけ自身はパキスタンにいながら、聖戦(ジハード)を完遂せよと若いテロリストたちに迫る指導者の電話口で響く声がさらに恐怖感を増すことに。

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炎上するタジ・マハル・パレス・ホテル

不思議なことは、ムンバイのような大都市というのに、警備体制がまことに脆弱で、特殊部隊はデリーにしか置いていないらしいから、いたずらに死傷者の数を増やすことになった。犯人側はその点を事前に十分把握して行為に及んだものと推察される。

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事件後、完全に修復されたホテル

#68 画像はIMBdから。