ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

横浜シティーフィルハーモニック定期演奏会

181021 第66回の定期演奏会へ。

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2週続けてみなとみらい大ホールへ。今日は、左のバルコニー席から鑑賞。オペラグラスで演奏者をじっくりと観察。これが殊の外、楽しかった。「威風堂々」、迂闊にも、パイプオルガンが鳴ってたのに、途中まで気付かなかった!

楽器編成が半分ぐらいになった40番、無難で、危なげない演奏。管楽器は木管とホルンだけ。音色からしても、ホルンは、木管に分類されてしかるべき。

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 そして、メインの「展覧会の絵」、小森マエストロのプレトークが数分。今日は小学生も招いているとかで、曲そのものと、作曲家、作曲の経緯など、丁寧な解説ぶり。

この方、お顔もだが、多分性格的にも大変チャーミングな方とお見受けした。団員に対する接し方や指揮ぶりにもそれが伺える。

ムソルグスキーは若くして亡くなった親友の画家、ハルトマンの遺作展での感想として作曲したものだが、書き散らかした楽譜に、のちにリムスキー=コルサコフがまとめ上げ、それをさらにモーリス・ラヴェルが編曲するという、厄介な話だ。

緊張の出だし、トランペットの入りだが、奏者の表情はさすがに固かったが、上々の演奏。終演後、花束をもらったマエストロは、つかつかと奥へ真っしぐら。この首席トランペッターに花束を渡した。やんやの喝采。拍手が鳴り止むと、今度は前にいる賛助出演のアルトサックス奏者に手渡すと言う、粋な一幕。

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展覧会の絵」では、珍しい楽器が様々登場、これも見ていて、聴いていて、楽しめた。まずは、2曲目「古城」で、サックスが嫋嫋たるメロディーを吹く。他の出番はないのだが、これだけでもかなり印象に残る。近代の楽器ゆえ、オケに入るとかなり違和感を覚える。

それと首席トロンボーン奏者が持ち替えで吹くユーフォニウム、これがなかなか難物らしく、結構手こずっていたように見えた。

さらにピッコロトランペット、これにミュートをつけて吹く場面が。独特の音色で、インパクト、大あり!

さらに、パーカッションに至っては、珍しい楽器のオンパレード!オペラグラス持ってきたのは大正解だった。ラチェット(ラトル)という体鳴楽器、むち、チューブラーベルという金属製の打楽器などなど。

 

アンコールは、同じくラベル作曲で、「亡き王女のためのパヴァーヌ

#66

エッティンガーの公開リハへ@ミューザ川崎

 181019

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全曲、聞かせてもらえるわけではないが、結構貴重な体験ができた。

ダン・エッティンガーイスラエル出身の気鋭の指揮者。エドゥナ・プロフニクも同国出身のメゾ。大柄で、表現豊かな唱法は強い印象を与える。

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Edna Prochnik  175cmはありそう。

ヴェーゼンドンク歌曲集は多分、生で聴くのは初めて。ヴェーゼンドンクとは人の名前。解説によると、チューリッヒに亡命中のワグナーが知り合った富豪、ヴェーゼンドンク夫妻との交流が始まり、ヴェーゼンドンク夫人、マチルデといつしか恋仲に。人の好いヴェーゼンドンクは自宅改装時に、隣家を買い取り、そこにワグナーを住まわせることに。二人の関係を知ってか知らずか、ともかくこれがきっかけでマチルデとワグナーは一層親密に。ま、当然の帰結。その結果、うまれたのがこの曲というわけ。

マチルデも詩作の才に恵まれていたのだろう、これをよろこんだワグナーが曲をつけ、自分の作品中でも最高の、という折り紙つき。作曲家自身がそういうのは、マチルデを思ってのことだろうから多少割り引いて考える必要がありそう。

「天使」、「止まれ」、「温室にて」、「悩み」、「夢」という構成で、これをマチルデの誕生日に贈ったとされている。本来はピアノ伴奏で演奏されることになっていたのだが、後年、指揮者のフェリックス・モットルが管弦楽向けに編曲し、今日ではこのヴァージョンで演奏されるのが一般的とのこと。

若きワグナーが、当時作曲中だった「ジークフリート」をほっぽり出してまで、作曲に入れ込んだほどで、熱に浮かされたような、熱情ほとばしるパッセージが登場する。

ワグナーほどの艶福家は珍しい。それも女性だけでなく、こうした大富豪や、のちには一国の国王からも寵愛を受けるという破格の艶福家。それも、恵まれた才能ゆえのことであって、その点だけとっても、数多いる作曲家の中でも稀有な存在。

その後、アンコールとして2曲、リハあり。「献呈」(リヒァルト・シュトラウス)、「楽に寄す」(シューベルト作曲、An die Musik 中学で音楽授業で歌わされたので、よく覚えている)

プロフニクは、公開リハが珍しかったのか、聴衆の方に向かって、会釈したり手を振ったりする姿が印象的だった。

それにしても、楽団員たるもの、マエストロの指示を的確に理解する必要があり、基本、英語力は最低限必要だろう。どんな指示をマエストロが出しているか、客席にいると聞こえないが、ほぼ全員が笑ったり、頷いたりしていたから、きちんと理解できているのだろう。

一方、楽しみにしていた「幻想」だが、長いこともあり、2楽章までしか聞かせてもらえなかったのは残念至極。ハープが舞台前面、ファースト・バイオリンと右側のヴィオラの前に、それぞれ2台ずつ配置され、演奏されたのには少々驚く。

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#65 文中敬称略

 

「日々是好日」

181016 監督:大森立嗣

そこそこの家庭環境だが、特別才能に恵まれてるわけでもなく、打ち込める趣味もなく、何かに憧れるわけでもなく・・・ただ平々凡々に生き、気がつけばかすかな焦りにも似た感情すら覚え始める。こんな青春時代でいいわけないとの思いが次第に支配的に。

そんなある日、母親に言われた何気ない一言が自分のその後の人生を決定づけるとは!

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いとこの美智子(多部未華子)と茶道教室へ行くことにする典子(黒木 華)。そこで出会った武田先生(樹木希林)から教わったこととは。四季折々の豊かな風情を湛えながら、二十四節句の節目節目で、典子の人としての成長ぶりを淡々と描いて行く。

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上、「はい、軽いものは重々しく、重いものは軽々と、いいですね!」

主役の黒木 華の所作振る舞いが素晴らしい。それにも増して、樹木希林の自然な演技がたまらない。遺作となる作品が来年公開されるらしいが、彼女の演技を一瞬たりとも見逃すまい、聴き逃すまいと見入ってしまった。

それにしても、”和”の世界の美しいこと!和室、和服、庭、和菓子、そして茶の世界、これらを余すところなく描いた大森監督の手腕には驚かざるを得ない。本作は国内はおろか、海外でも高い評価を受けることは間違いない。日本人としてまことに誇らしく思える佳作。

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⬆︎あれから24年、父親が急逝し、庭の桜を見ながら、感慨に耽る典子と武田先生。樹木希林の老け方が見事すぎる。

#77 画像はALLCINEMA on lineから。

「イコライザー2」

181009 EQUALIZER 2 米 121分 監督:アントワーヌ・フークア

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言わずと知れた「イコライザー」の続編。フークア監督、続編まで撮るのは今回が初めて。第三作も既に視野に入っているとか。本作にも登場するメリッサ・レオビル・プルマン、主役、デンゼル・ワシントン同様、前作から引き続きの登場。

鋼のような肉体から繰り出される目にも留まらぬスピードと、ずっしりと思いパンチは、今回も健在。戦いの寸前、腕時計ストップウォッチで計測開始し、どれだけで複数の相手を仕留めるかを見極める冷静さも失っていない。

普段は武装していないから、手近にあるものをすべて武器にしてしまうところが常人離れしている。例えば相手から手渡されたクレジットカードですら、彼が持てば殺人道具になる。本作でも実際ピストルを発射したのは数度で、とどめは概ね格闘技であるところが、この元CIA、マッコールのかっこよさ!

ボストンで静かに暮らす主人公、ロバート・マッコールは、もっぱら家で読書三昧。それも文芸作品が多い。だが、「弱きを助け、強きをくじく」主義は、徹底している。そういう事実を知ると本能が勝手にスィッチを入れるようだ。

生計は、近年はやりのウーバーの運転手で立てている。注文主から依頼が入れば、出動という日々。客席にいる人物を、CIA時代に磨かれた技で徹底的に分析し、たちどころに素性や現在置かれている状況を把握する。

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住んでいるアパートの壁面に落書きされ、修復を文なしらしき自称アーティストの少年、マイルズ(どっかで見た顔と思っていたら、2年前、アカデミー作品賞を取った「ムーンライト」に出演したアシュトン・サンダース)、に依頼したことから、その後もなにかとマイルズを気にかけるようになるマッコール。

他にも、近所に住むユダヤ系の老人の身を案じたり、殺伐たる事件に巻き込まれることが多いがゆえに、どこかで何かを社会還元したくなるようだ。

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CIA現役時代に親しくしていた上官、スーザン(メリッサ・レオ)は、ある殺人事件の操作のため、ブラッセルへ。捜査中に、ホテルの自室で何者かによって殺される。

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同じく現役時代に親しかった仲間、デイブにスーザン殺しの捜査に加わってもらうことに、だが実は・・・。

ラスト30分ほどは、本作最大の見せ場。実際のハリケーン襲来中に撮影を決行しているから、効果は絶大。

見せ場多く、緊張は2時間たっぷり持続。それにしても、デンゼルは元気だ。64とは到底思えない、生きのいい体の動きには感嘆あるのみ。でも、本来彼は思索的なタイプで、読書シーンがよく似合っている。そう言えばそういう役、黒人俳優としては、珍しいほど多い。「ザ・ウォーカー」など、典型。

#76 画像はIMDbから

「幻想交響曲」@みなとみらい大ホール

181008

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SERIESと書いて、シリーズではなくセリエスと読ませるのが、今日の演目ではないが、エニグマだ。

好きな演目、「幻想交響曲」につられて横浜へ。大ホールでの、なんと無料コンサート!結成して7年目、初めてのみなとみらい大ホール出演という記念すべき公演のようだ。

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2階の2列目右寄りに陣取る。聴くにはベストポジションだが、奏者ひとりひとりの顔はさすがにここからだとよく見えない。

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ここのホール、素晴らしい。バルコニー席の作り込み方も至極丁寧であるし、全体に使いやすい印象を受ける。例の2011年の東日本大震災の時も、同じ震度だったのに、川崎のミューザがつり天井崩落の大被害だったのに、ここはビクともしなかったらしい。また、パイプオルガンも素晴らしい。今日の演目、パイプオルガン大活躍であった。

1曲目の「メリー・ウィドウ」のめぼしいところを抜粋したワルツ、「舞踏会の妖精たち」は、馴染みの曲、オンパレードで、すこぶるよい気持ちにさせてもらって、ついウトウト。

2曲目のエルガーの独創主題による変奏曲「エニグマ」、作曲家の意図が謎だらけというところからエニグマの副題がついたそうだが、エルガー自身、こう呼ばれることを認めていたというから、なかなか愉快な話だ。大変美しい旋律から始まるが、何度も曲想そのものも変容を繰り返し、最後にはパイプオルガンまでが登場して華々しくも重厚なエンディングを迎える。

そして、楽しみにしていた「幻想交響曲」!入りの木管主体のアンサンブル、残念なことに、やや不揃いというか、つんのめったような印象を受けたのと、酷なようだがいきなりホルンに、やはりちょっとした”事故”があったのは、残念至極!それでも終わってみれば、立派な演奏だったと認めざるを得ない。

このマエストロ、イケメンの上に、上背もあって、なかなか格好良かった。幻想では、コールアングレが大活躍!他にも、バスーンといいクラといい、いずれも素晴らしい演奏ぶり。終演後、マエストロが、床に置いてあった花束をやおら取り上げ、ずかずかと奥へ。なんとクラリネット奏者(女性)に渡し、澄ました顔で出て行った。

他には、パーカッショニストの女性陣がみなさん素晴らしく、感動的ですらあった。感動と言えば、アンコールで演奏したカヴェレリア・ルスティカーナからの間奏曲、なぜか不覚にもいきなりウルウルときてしまった。

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#64