ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

初めてフォーレクを舞台で歌う 東日本大震災鎮魂コンサート@めぐろパーシモン小ホール

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昨年夏、公益財団法人「北野生涯教育振興会」が募集した合唱団に応募したところ、運よく当選、約半年の練習を経て、あれから6年目のこの日、目黒パーシモンホール(小)で歌うことができた。

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練習開始から2ヶ月ほど経過しても、特に男性陣(テノール10、バス10)が弱体で、これで果たして無事本番を迎えられるか、かなり不安だった。しかし、回を重ね、年を越して、いよいよミラノから一時帰国されたマエストロが稽古をつけ始めた頃から、格段の進歩が見られ、団員皆大いに自信を深めたものだ。

このマエストロ、まだお若いのだが、教え方の見事さと言ったら!!!これまで第九合唱を含めいろんな指導者の指導を受けてきたが、この粂原さんはピカイチだろう。

おかげで、滞りなく、最後のアヴェ・ヴェルム・コルプスまで歌いきり、万雷の(気のせいか?)の拍手を浴び、団員は一様に満足げな表情だ。終わってしまった一抹の寂しさも同時に覚えたのは毎度のこと。

ホールで、解団式、主催者、指導に当たった先生方、ソリスト、オケの代表のご挨拶、そして最後にマエストロから今日の演奏の総括と挨拶があった。残念なことに、来年は政府給費留学生となるため、規則上一時帰国が叶わないとのことで、来年のこの舞台は別の指揮者が当たるらしい。

今回、感動的だったのは、オケの素晴らしさを至近でじっくり体感できたことだ。ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2、コンバス1、ハープ1、ホルン2、オルガンという小編成ながら、それぞれが素晴らしい音色を奏でて、ちょっと大げさに言えば、感動にうち震えながら歌っていた感じだ。今回歌えたことは、本当にラッキーだったし、生涯忘れ得ぬ舞台になるに違いない。

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「エル・トゥールル号の遭難」を一席唸った宝井琴柑さんのご挨拶。我々出演者は控室にいて、聞くことはできなかった。

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最初から終盤まで合唱指導に当たった荒牧小百合先生

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バリトンソリスト、大元和憲さん。普段はとてもシャイ。

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最後にマエストロ粂原が締めた。

板波利加ソプラノリサイタル

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もっぱらミラノやウィーンで活躍している板波利加の、まあいわば凱旋リサイタルか。この人、日本人には珍しい、Soprano LiricoよりDinamicoというふうに言っちゃった方が正確も知れない。声質、音域ともに日本人離れした印象が濃い。楽曲に対する深い洞察力から来るらしい曲それぞれへの陰影のつけ方など、どこを切っても超一級品であるのは間違いない。

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今日は前半はトスティなどの軽めの歌曲や、同じく軽めのオペラ・アリアを披露、後半は一転、ドイツもの。とは言え、あえてカジュアルなものを並べ、最後にズドーンとシュトラウスの「サロメ」で締めた。アンコールは、松島音頭!楽曲に合わせて選んだ三種類のコスチュームもとても良かった。

短いが多彩で、いかにもこの人ならではの演目、もちろんたっぷりと楽しませいただいた。ついでに、この目立つチラシだが、現代美術家桑野 進のデザイン。彼女自身がこの直線、曲線、円、楕円、ギザギザ線などを自由に組み合わせて描く独特の画風に惹かれて、直接画家本人に制作を依頼したというから、やはり彼女らしい。

#11 (文中敬称略)

「湯を沸かすほどの熱い愛」

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今年初めて見る邦画は、これになった。作品の評価もさることながら、出演者、特に女優陣の質の高さが評価されているのも見たくなった理由の一つ。

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亭主(オダギリ・ジョー)が蒸発したため休業に追い込まれた「幸の湯」、今や大黒柱になってしまった双葉(宮沢りえ)は店員のバイトで一家を支え、実際は血の繋がりのない一人娘の安澄(杉咲 花)は、高校でいじめに遭う日々という設定。

突然末期癌で余命3ヶ月と告げられた双葉は、残された日々をどう輝かせるかに必至となる。手始めに探偵を使って亭主を連れ戻すことにまずは成功。どういうわけか鮎子という幼子が一緒だ。これまたワケありの子供が一家に加わる。血の繋がっていない者同士が、際どいところで結び合せられているのは、双葉の持つ強靭な意思の力に負うところが大きい。

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ラストシーンは、双葉の葬儀が「幸の湯」の広い浴槽を使って行われるところ。ちょっと変わった光景だが、この作品にはいかにもふさわしい。そのあと、皆で湯船に浸かり、双葉を偲ぶというところで終わるのだが、その先がいささかどうかと思うような蛇足があり、そこだけが惜しい気がする。

女優陣が素晴らしかった。日本アカデミー賞の主演と助演女優賞を取ったのもむべなるかなだ。鮎子を演じた子役、伊東 蒼も末恐ろしい。松坂桃李の演じた役は、必要なかったな。何か取ってつけたようで、かなり作為的。

#12 画像はALLCINEMA on lineから

ミューザ川崎第4回友の会感謝のつどいは、ジャズ!

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4回目にして、初めてジャズを取り上げることに。佐山雅弘は、以前ミューザで聞いているが、今日は手の届くところで、たっぷり楽しませていただいた。

この企画、とってもオシャレだと思ったのは、正面のスクリーンにイラストレータ和田 誠の味わい深いジャスメン達のイラストを投影し、それを見ながら、佐山がさらっと演奏を始め、頃合いを見計らって、ジャズ歌手のキャロル山崎村上春樹の文章を読み上げるという趣向だ。佐山と村上春樹は、村上の無名時代からの知り合いだとか。

もちろん、途中からキャロル山崎も演奏に加わり、ジャズムードを一層盛り上げる。この方、恥ずかしながら、愚亭は知らなかった!上に書かれている略歴を見ても、これまでもたっぷりいい”仕事”をなさってきていることが窺い知れる。

プログラム最後の演目に、愚亭がもっとも好む演目の一つ、リー・モーガンサイドワインダーを弾いてくれたことがとりわけ嬉しかった。

アンコールには、場内からのリクエストに応える形で、ムーンリヴァー星に願いを(どちらも山崎のヴォーカル付き)

佐山はトークも実に巧みで、ごく自然に場内を和ませたり、笑わせたりする術を心得ているのはさすがだ。

そのあと、全員の記念撮影をホールのフォアイエで行い、2時間のイベントは終了。素晴らしい企画だった。今回は、希望者が多く、かなり高倍率の抽選となったと説明があった。

#10 文中敬称略

フレッシュ名曲コンサート@アプリコ大ホール

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毎年この時期になるとアプリコで開催されるシリーズで、今年は、若手5人によるベートーベンのPコン全曲を演奏するという、大変興味深い試み。

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いずれ劣らぬ力量をすでに備えた、将来を大いに嘱望される5人だが、やはり最後の5番を弾いた實川 風(かおる)が一頭地抜いている。しかも、風貌もすこぶる良い。大物になる予感漂うオーラがすでに出ている。おおらかで、しかも格段に美しい音色に酔いしれた。

#9