ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ギンザ・シックスへ

170511 映画の後、次の予定まで時間があったので、ギンザ・シックスへと足が向いた。裏口側からアクセスすると、2階にこんなオシャレな空間が。一休みして、とりあえず、屋上へ。6階からエレベーターが直行する。7階から12階までは、オフィスフロアか。13階は飲食のフロア。

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ここで一休みしてから、屋上へ。

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こんな涼しげな装置が

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樹木がやたらに目立つ。贅沢なグリーンスペースになっている。

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こんな角度から和光を見たことは、なかった。

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館内はこんな吹き抜けになっていて、水玉模様だから、草間彌生さんかな。カーリングのストーンの形のオブジェがぶら下がっている。

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下から見ると、LOVE FOREVER YAYOI KUSAMAって書いてあるのが分かる。

特に斬新いうわけではないが、売り場が広々していて、居心地は悪くなさそう。6階には、蔦屋とスタバが共存して、コーヒーを飲みながら、売り場の本を読める空間がある。(この方式は、すでにITOCiAにも取り入れられていて、今後、流行るかも知れない)

「私は、ダニエル・ブレイク」

170511 原題:I, DANIEL BLAKE(「私、ダニエル・ブレイク」で微妙にニュアンスが異なる) 英仏ベルギー合作。監督:ケン・ローチ(81歳、「麦の穂をゆらす風」2006、「天使の分け前」2012)

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いかにもケン・ローチらしい、骨太の、社会派ヒューマンドラマ。舞台は、スコットランドに近い、北部イングランドニューカッスルという中都市。59歳のダニエル・ブレイク(デイブ・ジョーンズ)、最近、連れ合いを亡くし、子供もいないので、一人暮らし。これまで大工仕事一筋で生きてきたが、心臓病で医者から仕事を止められていて、暮らし向きはよくない。

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今日も職安を訪ねても、典型的なお役所仕事で、まるで温かみのない扱いに、イライラは募るばかり。手順の説明を受けても、なかなか飲み込めない。大工一筋で生きてきたから、パソコンの知識はゼロ!なのに、必要書類はパソコンからとか、言われて、もう破れかぶれな、荒んだ気持ちに。

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そんな折、二人の幼子を連れたシングルマザーのケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)が、同じように職安スタッフに冷たくあしらわれているのを見かねて、口を出し、スタッフを罵倒する騒ぎを演じてしまう。

すっかりケイティ親子に同情したダニエルは、何くれと助言を与えたり、自分の大工の腕を生かして、家の修理をしてあげたり、徐々に親しくなっていく。

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ある日、一緒に近くのフードバンク(低所得者を対象に、自治体が食料品や日常品を配給するシステム)を訪れる。親切に接してくれるスタッフの目を盗んで、思わずその場で缶詰を開けて、食べ始めるケイティ。慰めるダニエル。涙にくれる母親を呆然と見つめる幼い二人。

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とうとう堪忍袋の緒が切れたダニエル、職安の建物の壁にペンキで自分の訴えを大書、すると周辺から大声援が飛ぶ、「そうだ、そうだ。もっとやれー!」

その後、面談で出頭したダニエルは、付きそうケイティを残してトイレへ。そこで心臓発作であっけなく亡くなる。教会では一番安上がりの「貧者のための時間帯」、午前9時から質素な、形ばかりの葬儀が行われ、最後にケイティーが挨拶。それは、ダニエルが残した手書きの文章を読み上げるため。

「私、ダニエル・ブレイクは、怠け者でもタカリ屋でも、物乞いでもない。私は国民健康保険番号でもエラー音でもない。私は人間で、犬ではない。当たり前の権利を要求する。敬意ある態度というものを。私はダニエル・ブレイク、一人の市民で、それ以上でも以下でもない。税金もきちんと納めてきたし、これまで堂々と誇りを持って生きてきたのだ。どうか、人間らしく尊厳を持って扱ってほしい」と。

この作品見ていて思い出すのは、同じくイギリス映画で、13年に公開された「お見送りの作法」だ。そこでは、孤独死した老人の葬儀を黙々と誠実に行なっていたある公務員が主人公で、本作とは正反対の内容だった。

かつて、「ゆりかごから墓場まで」と謳われた英国の福祉制度も、現状はこのザマで、ある部分、我が国の実情とオーバーラップしているようだ。

ところで、主人公役のデイブ・ジョンソンも、ケイティ役のヘイリー・スクワイアーズも日本では知られていない。それもそのはずで、これまで日本公開の作品が皆無だからだ。二人とも、テレビや舞台では相当活躍しているようだ。特にジョーンズは元々は喜劇役者らしい。

#26 画像はIMDbから。

「わすれな草」

170510 原題:VERGISS MEIN NICHT 独 88分 脚本・監督:ダーヴィット・ジーヴェキンク 

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監督自身の母親、グレーテルが認知症を発症し、息子の目から見た母の最期の姿を、過去の記録も織り交ぜながら、淡々と、しかし克明に記録したドキュメンタリー。

この種のテーマを取り上げた作品は国内外で、これまでも数多く作られているが、監督自身の母親を対象にドキュメンタリーとして撮ったところが目新しいし、素晴らしい。

若い頃は、左派系の政治活動の闘士として活躍していて、その頃に後に夫となるマルテを知り合ったのだが、互いに浮気を認め合うような、当時としてはかなり突飛な関係だったと告げる場面には、ちょっと驚かされる。そして、認知症を発症した今、すべてのしがらみから解放され、家族の絆は新たな展開を見せる。

マルテがずーっと介護しているが、やはり老々介護には限界があり、息子が介護を買って出ることに。時に相手が誰かわからず、トンチンカンな会話もたびたび登場するが、周囲が優しくそれに付き合い、グレーテルも常に微笑みを絶やすことなく、およそ1年後に亡くなるまでを描く。

昔の白黒写真が何度か登場するが、グレーテルの若い頃は、カテリーナ・ヴァレンテ似の、なかなか美形の肉体派。それだけに現在の姿を見るのが辛い気もする。

ところで、わすれな草と言えば、フェルッチョ・タリヴィーニの歌う主題歌でも有名なった独伊合作映画「忘れな草」(1959)を思い出す。ちなみに原語タイトルはまったく同じVERGISS MEIN NICHTだが(イタリア語タイトルはVENTO DI PRIMAVERA)、邦題には敢えて漢字一文字を加えて区別している。

#25 画像は作品のオフィシャル・サイトから。動画はYouTubeから。

「カフェ・ソサエティー」

170509 原題もCAFE SOCIETY 米 96分 脚本・監督:ウディ・アレン

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1930年代後半という時代設定。ウディ・アレンがその時代、自ら体験したことを軸に設定された展開のようだ。舞台はニューヨークとL.A.だが、当時の時代感がよく画面に出ている。色調やバックの音楽も厳選して、仕上がりは素晴らしい!最近、ハリウッド製の作品はC.G.多用の大仕掛けなものばかりだから、たまにこういう作品を見ると、癒されるというか、なんとなくホッとする。

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N.Y.在住の主人公ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)、ハリウッドでエージェントして成功している叔父フィル(スティーブ・カレル)を頼って、L.A.に。とりあえず、雑用係として採用される。フィルの計らいで、秘書、ヴォニーことヴェロニカ(クリステン・スチュアート)にハリウッドを案内され、ビバリーヒルズの有名俳優の豪邸などを見て回ったりしているうちに、ヴォニーに恋心。

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ヴォニーに恋人がいると言われて、あっさり断念。実は、その相手とはフィル叔父と判明。すったもんだの挙句、ヴォニーはフィルと一緒になり、ボビーは傷心の思いで、故郷のN.Y.に帰り、ギャングである兄が経営しているクラブで働き始め、やがて経営者として頭角を表すことに。

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クラブで偶然知り合ったその名もヴォニーと同じヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)という女性⬆︎に熱を上げ、結婚して幸せを手に入れるのだが・・・。

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彼のクラブに現れたフィルとヴォニー。久しぶりに再開したヴォニーとボビー、セントラルパークで迎える夜明け、流れるマンハッタンの調べ、もの憂いエンディング。

82歳のウディ・アレンだが、未だに若々しい感性の作品を作り続けるエネルギーには驚かされる。アレンはユダヤ系だが、主演のアイゼンバーグもユダヤ系で、自分の若き日を彼に重ねているように感じられる。

数々のお気に入りの女優を主役に起用してきたアレンが、今回選んだのがクリステン・スチュアート。これまで、ダイアン・キートンダイアン・ウィースト、最近では、ペネロペ・クルス、そして最もお気に入りだったのはスカーレット・ヨハンソンとなんとなく共通点があるが、このクリステン・スチュアートはかなり雰囲気が異なる。クールで、セックスアピールはないが、アンニュイ感漂うタイプは、彼の作品では珍しい部類だろう。

もう一つ、珍しいのは、全編、アレン自身のナレーションが入ることだ。出演せず、ナレーションだけというのは、この作品しかないらしい。

派手さはないし、話の展開もごく普通だが、案外共感し、飽きずに没入できる作品。

#24 画像はIMDbから。

 

 

「ワイルドスピード ICE BREAK」

170505 原題:THE FATE OF THE FURIOUS (猛々しき者たちの運命)米 136分 監督:ゲイリー・グレー(「ミニミニ大作戦」2003)製作には、主演のヴィン・ディーゼルも名を連ねている。

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テレビ放映分も含めると、このシリーズは全部見ている。特にカーチェイスが好きとかカーマニアでもまったくないのだが、スリリングな展開に毎回唸らされる。予告編を見て、早く見たいと思っていた。

シリーズ前半では、最近事故死したポール・ウォーカーが出ていたので、彼の出演のない本作では、誰が穴埋めするのか気になった。結局、それは無理な話。クリント・イーストウッド次男スコット・イーストウッド(目元が父親そっくり)がやや近い立場かも知れないが、この際、ポール・ロスはあまり気にしてもしようがない。

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今回もさらに途方もない映像・音響で圧倒されるが、見所は、冒頭のハヴァナ(キューバ)でのカーチェイス、ついでマンハッタンでのチェイス、そして最後の最大の見せ場がロシア北部の凍りついた潜水艦基地での、巨大な原潜までもが加わる氷上大チェース。この辺り、既視感が漂うが、「マッドマックス 怒りのデスロード」に共通するものがある。(そう言えば、そこにもシャーリーズ・セロンが出ていたっけ)

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やっと大仕事を終えて、ビーチリゾートでハネムーンと洒落込むドミニクとレティー(ミシェル・ロドリゲス)だったが、どこからともなく、謎のサイバー・テロリスト、サイファー(シャーリーズ・セロン)が現れ、妻子を人質にしたから、自分たちの計画(核ボタン奪取作戦)に加われと脅迫。

仲間だと誰もが信じていたドミニクが敵側に寝返ったことを知ったチームの驚きは計り知れない。これからは敵味方で戦うことになるのか。しかし、こうした窮地に立った時のチームの結束力が頼もしい。敵役のはずのデッカードジェイソン・ステイサム)までが後半、大活躍をしてチームを危地から救うことになるのには、裏があった。

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デッカードの母親が息子説得に一役買っていたとは!(このシリーズ大好き人間のヘレン・ミレンは、以前からこのシリーズへの出演を熱望していたが、やっとこのような形で実現!)

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ヴィン・ディーゼルドウェイン・ジョンソン、凄いツーショットだ。

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少し痩せたかも知れないシャーリーズ・セロン、その分、表情の凄みが増した。「サイダーハウス・ルール(1999)」の、あの初々しさが懐かしい。今回は憎々しい役柄で、先端技術の粋を集めた大型航空機を本部にして、次々に部下たちに指令を発するが、最後は、デッカードに追い詰められ、パラシュートで来ないから脱出、生き延びたようだ。

元カノはサイファーの手下に処刑されるが、一人息子はデッカードにより無事救出、これを知って、反撃に出たドミニク、氷上の大追跡の末、チームに合流する場面は、かなり感動的。

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タイリーズ・ギブソンの自撮りの真ん中にいるのがゲイリー・グレイ監督。みんな自然な笑顔がいいねぇ。

#23 画像はIMBdから。