ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

おんがくフェスタin川越

170917 台風が近づきそうな気配を感じながら、初めての土地、川越へ。今日は午前中、合唱練習があり、終わるや否や電車に飛び乗って、ちょうど開演時間に間に合った。

しょっちゅう音楽会の会場では顔を合わせているのに、まだ一度もその歌声を聴いたことがない”えびちゃん”こと原直子のお招きではるばる川越行きとなったもの。東京でも東南の外れの大田区からだと、ざっと1時間半を超える道のり。

初めての川越ゆえ、演奏会の後に、ちょっぴり小江戸の雰囲気でもと思ったが、雨では諦めざるを得ない。

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やはり一番気になるのがテノールの名手、藤田卓也の登場である。

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それと、後で知ったことだが、本公演の企画・構成・伴奏と八面六臂の活躍を淡々とこなした細川智美の存在が大きい!コレペティが本職ゆえ、歌手たちには大好評。やはりなぁ、伴奏次第とも言えるよね、歌手が肝心なところで、本当の実力を発揮できるかどうかは。

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ゲスト演奏までは、一応アマチュアという枠なのだが・・・とりわけ最後に歌った大門泰子、仰天の演奏で、ええ、うっそー!という感じ。ヴェルディの「運命の力」から「神よ、平和を与えたまえ」という超有名なアリアをこともなげに歌った。元々プログラム掲載の「ノルマ」からの「清き女神」より、この人向きと思った。会場の隅々まで朗々と響き渡る力強い声だからね。アマチュアとは言え、実力はプロ!

お目当の菅原はその前の方が急に欠場となったため、ゲストの中ではトップバッターとなってしまった。ものすごい声の大門の後だから、ちょっとやりにくかったかも。彼女の声は正統派のリリックで、普段の話し声から想像していた通りの美しい響きだった。

おかしかったのは、2曲目の歌劇「リタ」からのアリアで、結構、大きな振りが入り、持っていたハタキがうっかり宙を飛んでピアノの中にすっぽり。場内、思わず爆笑、んで、これで終わりかと勘違いして拍手し始めるというおまけ付き。

自分の座った後列付近ではあまり熱心なオペラファンがいなかったようで、中央から前寄りの席から盛んにBrava!!が飛んでいた。もちろん愚亭も負けじと叫んだが、周囲がシンとしている中で、チト恥ずかしかった。後で本人に聞いたら、ちゃんと聞こえましたよ、と言われ、一安心。

次の森本隆子は菅原と大学で同門、これまたハンパないうまさで、こりゃすごい演奏会に来たんだと改めて思ったほど。(いえ、別に地方都市の音楽会とタカをくくっていた訳ではありませんので)

さらに砂田愛梨の「ランメルモールのルチア」からの狂乱の場「香炉はくゆりて」はゼッピンで、このうまさはやはり只者ではないと思った。

そして、待ってましタァ!の藤田卓也だ。三年前に「仮面」で聴いたときは、心底、素晴らしいテノール出現!と感じたけど、先月、杉並公会堂で聴いたときは、「ん?ちょっと違う!」藤田がそこにいたように感じた。調子の良し悪しは、いくらプロだって、ありうる訳で、驚くこともないのだが、今日の藤田は嘗ての輝かしさを取り戻したように感じた。

演目は、ポピュラーなものばかりに絞ったようだ。流石に、こういう軽めの曲は普通の客(それほどオペラファンでないという意味で)の食い付きが言いようで、ものすごい声援が飛んでいた。

第2部は、地元鶴ヶ島の男女9名によるミュージカルナンバー。振り付きだから、素晴らしい。男性は二人だけはちょっと寂しいし、振りも懸命に覚えたらしいが、なんとなく女性陣を見ながら踊る姿がとてもチャーミング!なんと最後は金色に輝くシルクハットを手に取り、「コーラスライン」の有名なナンバーを披露、やんやの喝采だった。いい指導者がいるのだろうが、こういう楽しみ方は素晴らしい。

次に「坂戸第九を歌う会」が登場して、フォーレのレクイエムからの抜粋を演奏。ちょうど今自分たちも秋の定期演奏会に備えて練習ている曲でもあり、大いに興味をそそられながら聴いた。

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舞台に出演者全員が勢ぞろい。ここからは撮影可というので、少し前列まで行ってパシャリ。この後、会場も含め、童謡8曲を全員で歌ってお開き。さぁ、次は築地だ!雨はまだやまない。

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左、森本隆子、右、菅原直子

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左は砂田愛梨。なんかまだ初々しさの残る表情。

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先を急ぐ藤田卓也を強引に引き止めて撮った一枚。

#58

 

SAWAKAMI OPERA クラシック コンサート@アニェッリホール(九段)

170916 急な告知だったためか、せっかくの素晴らしい演奏会だったのに、客席はまばらで、まことに残念なことだ!

投資家である澤上篤人が主宰するシステム。有望な若き音楽家を選出して、海外で一定期間研修させて鍛え上げるというもの。研修先はトリエステボローニャが多いらしい。

冒頭、主宰者から挨拶とともに、これらの説明があった。続いて、この団体の芸術監督であり、ボローニャフィルの芸術監督でもある吉田裕史からも、このシステムの優れた点についてフォローがあった。

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以前から応援している岸 七美子からの2日前の告知で知って、来ることができたが、際どかった。

演目はご覧のように、軽めの歌曲、イタリアン・カンツォーネから始め、オペラアリア、そして重唱で締めくくるという、まあ定石どおりのラインアップ。

その岸だが、トップバッターで登場、のっけにいきなりの凄まじいばかりの迫力にたじろぐほど。プロの歌手たちって、どなたもデビューから数年も経てば、かなりの進化が見られるのは当たり前。だが、彼女の場合は、その度合い並外れている。こういう超低音域までカバーできるソプラノは、国際的にも珍しい。日本では、まず見当たりそうもない。そしてエネルギー溢れるダイナミックな太い声だから、いわゆるソプラノスピントを通り越したソプラノ・ドランマティコに入るのかな。

今日歌った中では、マダム・バタフライも良かったが、何と言ってもバリトン加藤史幸との、「トロバトーレ」からの二重唱だろう。このレオノーラの出来は、特筆ものだ。いやはやとんでもない歌いっぷりだ。

ディミトラ・テオドッシュウという歌手がいるが、まあこれに匹敵するぐらいのドランマティコに成長しそうだ。マダム・バタフライはもちろん、レオノーラ、あるいはトゥーランドット姫まで演じられる日本人はそうそういないから、大いに期待したい。

2番手で登場した谷桃子(果物が二つも入っている!)も、すごく勢いを感じるソプラノで、彼女の場合はリリコ・スピントかな。「運命の力」からのアリアがとりわけ素晴らしかった。

3番手は原 璃菜子。こちらもなかなかの存在感を発揮してくれた。しっとりとしたやや粘性の発声、それに舞台姿が堂々としていて、これは、オペラ歌手にはかなり重要な要素だと思う。こうした利点を兼ね備えており、将来性は極めて高いと見た。

4番手、加藤史幸は、最初にマンマなんか歌うから、あれ?テノール?と思ったほど。なんでこんな選曲をしたんだろうと思ったが、次の「私は街の何でも屋」でいかんなく本来の力量を発揮、ブラヴィッシモだった。もともとかなり高音も出せるバリトンだからマンマを原調で歌ってしまったらしい。(あとで聞いたら、当初キーを下げる予定だったそうだが)

5番手は珍しい本格派のバス歌手、松中哲平。いやぁ惚れ惚れするほど低い声を出してくれてうっとりだ。こういう歌手は貴重な存在だし、日本のオペラ界も大事にしないといけない。

最後は賛助出演ということで、テノールの後田翔平。この方のみ、今回の海外研修には参加していないが、略歴を見ると、なかなか輝かしい。ソフトなテノールで、ロドルフォなんかぴったりという印象だ。歌唱も物腰も。

今回、あれ?と思ったのは、背後の大きなスクリーンに歌手名、演目、作曲者、作詞家などの情報が映し出されるだけでなく、日本語歌詞まで流れれている。よくぞここまで丁寧に作り込んだものと感心した。

傑作だったのは、加藤の「私は街の何でも屋」で、フィガロを連発するところがあるのだが、大きなスクリーンに所狭しとFIGARO, FIGARO, FIGARO・・・・とびっしり!さすがのお調子者のフィガロも、これを見て、びっくりして見せるなど、なかなかやるもんだ。

忘れてはならないのが伴奏陣、ピアノ、バイオリン、チェロという編成で、立派に歌手たちを支えていた。中でもピアノの篠宮久徳、以前も何度か聞いているが、華麗にして堅実、歌手たちもきっと心強かったと思う。

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岸 七美子(ソプラノ)

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原 璃菜子(ソプラノ)

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加藤史幸(バリトン

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ロッシーニの「猫の二重唱」でたっぷり会場を沸かせた梨谷桃子(ソプラノ)と松中哲平(バス)

彼らは皆、しばらくするとそれぞれ研修地であるトリエステボローニャに戻っていくことになっている。研修後、いずれ帰国しての演奏会が今から大いに楽しみである。

 

#57 文中敬称略

「ワーニャ伯父さん」

170914 久しぶりに芝居を見に、新国立劇場小劇場へ。上階のオペラパレスや中劇場にはこれまで何度も足を運んでいるが、小劇場が初めて。地下にあるが、とてもよくできた造りだ。この規模の劇場としては、大変気に入った。

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普段からロシア文学など無縁だが、もちろんチェーホフぐらい知っているし「桜の園」ぐらいは芝居で見たことはあるが、それほど馴染みのあるものではない。この作品に対する知識はゼロ!たまたまチラシで黒木 華が出演するという、それだけの理由で予約した。でも、チラシを見てから予約するぐらいだから、よほど出遅れたようでS席でも、後ろから四番目の席だったから、オペラグラスを忘れたら、顔の表情などは全く読めるものではないし、声も時折聞こえづらくなると言う、最悪の環境。やはり芝居は最前列で見るに限る。

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多芸多才なケラリーノ・サンドロビッチって、結構ふざけた演出もやらかすが、これは、もう至極真っ当な演出で、本流という感じだ。

このチェーホフ x サンドロビッチはチェーホフの四大戯曲を全てカバーすることになっていて、これは三番目の作品らしい。

それにしても、みんな上手いよなぁ〜演技が。それだけに、もう少しまともな席で見たかったという悔しさの残った芝居見物だった。

オペラと違って、お芝居の場合、終演すると、さっと全員が並んで、パッとお辞儀して左右に散って、はい、おしまい、って感じ。さっぱりしていて、実にいい。その点、オペラとなると、何度も何度も登場しては一斉のお辞儀を繰り返し、ファンもそれを期待している。同じ舞台芸術でも、この違いが面白い!宝塚はどうなんだろう。まあ一度も見に行ったことがないから不明。

「三度目の殺人」

170913 原案・脚本・編集・監督:是枝裕和

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これぞKORE-EDAワールドって言うやつかな。実に緻密な構成で、画面に観客を強引に引きずり込み、なおかつ、見終わっても、なにかモヤモヤ感が漂いながら出てくる典型的な作品。

そして父になる」と同様、外では優秀で、出世街道まっしぐら、内ではほとんど家庭崩壊のような人物、重盛(福山雅治)が演じるのは弁護士。同僚のヤメ検吉田鋼太郎)から持ち込まれた古い事件の犯人(役所広司)を国選弁護士として弁護しようとしている。

壮絶な過去を持つこの殺人犯、一見穏やかで対応もすこぶるソフトなのだが、何を考えているのか、発言内容をコロコロと変え、重盛を翻弄していく。自分が雇われていた会社の社長殺しの真犯人なのか?当初は簡単に見えた事件が、謎だらけの厄介な事件に変貌していく。

内容が難解なのは、メタファーが多用されていて、一体その場面が何を指しているのか、観客に謎かけしているように見える。それを監督は楽しんでいるんだろう。

二度しか殺人事件を起こしていないのに、三度目とは?これも謎のまま、観客の思考に委ねているように見える。

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接見室で、何度も出てくる福山vs.役所の息詰まるような対決が見ものである。最後の方で、この二人の横顔がガラスの反射で重なって映る場面はとりわけ秀逸である。

監督は、今の司法制度・裁判制度への批判も忘れない。判事、検事、弁護士が密室である種”取引”をして、なあなあで収めてしまう。本作では、最後の最後に犯人が自分はやってないと、これまでの供述を180度覆す証言をして、重盛も一旦それを信じてやり直しまで一時は覚悟するが・・・結局、”流れ”には逆らえずに収まるところ収まると言う、誰にとっても、なんとも後味の悪い結果が待っている。

犯人と奇妙な接点を持つ、殺された社長の娘咲江を広瀬すずが好演。

結局、真犯人は誰だったんだ!?

#63 画像はALLCINEMA on lineから

ダンケルク

170911 原題:DUNKIRK (これは英語表記、発音はダンカーク、一方、ダンケルクのあるフランスでは、DUNKERQUEと綴る)英米仏合作 106分 脚本・監督:クリストファー・ノーラン(「ダークナイト」、「インセプション」、「インターステラー」などなど、ほぼ全てが日本で公開されており、またその全てのタイトルがカタカナというのも面白い)

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世界の大戦史上、最大の作戦の一つ。1940年5月から6月にかけて、40万人近い連合軍側の兵士(ほとんどは英軍、一部仏軍)が独軍に海岸まで追い詰められ、絶体絶命のピンチ。4年後のD-Day(史上最大の作戦、ノルマンディー上陸作戦)に比べ、日本では、それほど知られていない。

この窮地を救ったのは首相になったばかりのウィンストン・チャーチルで、軍用船ほか、民間のボートを多数徴用、スピードの出ない小舟ゆえ、夜通し19時間もかけて現場へ向かい、疲れ切った丸腰の兵士のほとんどの救出に成功している。それにしても、季節が良かった!これが真冬だったら、こういう結果にはならなったかも知れない。

この時の話は、「つぐない」(2007, ジェームス・マカヴォイ、キーラ・ナイトリー)や「ミニヴァー夫人」(1942, グリア・ガーソン、テラサ・ライト、ウォルター・ピジョン)などにも挿話として登場する。

さて本作、撤退作戦(ダイナモ作戦)だけを描くから、単調になりがちだが、冒頭に1 week at the mole(突堤)、1 day on the ship, 1 hour in the skyという表示が出てくる。

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冒頭、若い陸士がダンケルクの街中を独軍の掃射を浴びながら、必死で海岸線まで逃げ延びる場面。ビーチに着けば、夥しい数の連合軍兵士の群れが海への撤収に備えている。どの顔も疲れ切って、精気がまったく感じられない。

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⬆︎未熟で若い兵士ばかりということから、ノーラン監督はあえて主役級の兵士に無名の若い俳優を充てている。トミー役はフィオン・ホワイトヘッド

チャーチルの呼びかけに呼応した民間の小型船が、一斉にテームズを下り、北海へと波を切る。

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空では、僅か3機のスピットファイアが編隊を組み、撤退作戦を阻もうと襲い掛かるドイツのメッサーシュミットや、爆撃機ユンカースに果敢に空中戦を仕掛ける。ユンカースには、特殊なサイレンが取り付けてあって、連合軍側からはジェリコのラッパと呼ばれことさら恐れられていた。これが聞こえ始めると、ほとんどパニッックに陥ったと言う。

こうして、突堤(陸)、ボート(海)、空中戦(空)の緊迫のシーンが頻繁に入れ替わり、観客を片時も飽きさせない。

という三層構成だが、その間、ティクティクという細かい時を刻む音をイメージしたサウンドが、通奏低音のように常に鳴っているのが印象に残る。ハンス・ジマーの音楽が緊張感を盛り上げている。

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⬆︎3機のスピットファイアーのうち、2機が撃ち落とされるが、そのうち1機は着水後、たまたまそばにいた民間船に救助される。

ほとんどが英軍兵士とは言え、中には一緒に連合軍として戦った仏軍兵士もいたのだが、非情にも乗船を断られる場面も。だが、ほとんが救出された後、突堤にいる撤収作戦責任者、ボルトン中佐(ケネス・ブラナー)は、自分はまだ残る。仏軍兵士も最後の一兵まで一緒に連れ帰るというセリフが印象に残る。

考えて見れば、独軍に侵攻された仏軍が弱く、英軍の力を借りて、この結果だから、立場が弱いのは仕方がない。さらに、近くのカレーでは、英軍が囮になって独軍を引きつけていて、ほぼ全滅したというから、英軍の払った犠牲はあまりにも大きい。

こうしてこの絶体絶命のダイナモ作戦も結果的には大成功で、この後の戦局に大きな貢献を果たすことになった。無事英国に帰れた兵士たちも、おめおめ敗残兵のごとく丸腰で逃げ帰ったことで、一般市民から罵倒されるのを覚悟していたら、暖かく歓迎され、面食らったという。

40万近い人的資源の保全に繋がり、この後のバトル・オブ・ブリテンを有利に戦えることになるわけで、もし失敗していれば、大ブリテン島ナチスに蹂躙されていたかも知れない。ついでに、この作戦の成功が、4年後のノルマンディー上陸作戦の成功をもたらしたと言えるだろう。太平洋戦争におけるミッドウェイ海戦のごとく、まさに運命を分けた戦い。

同じ大作戦でも、1944.6.6のノルマンディー上陸作戦との対比では、撤退作戦だから、兵士の意気も上がらぬどころか消沈しきっており、インパクトはまさに対照的とも言えるが、映画の出来栄えとしては、スティーブン・スピルバーグが撮った「プライベート・ライアン」(1998)に勝るとも劣らないと言えるのではないか。

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孤軍奮闘、最後まで頑張ったスピットフィアー、海岸に不時着して、独軍の捕虜となる。演じたトム・ハーディー、結果として一番出番が多かったようだ。

独軍との戦闘シーンもありながら、独軍の姿が一度も、画面に登場しないという不思議さ。唯一、トム・ハーディ演じるパイロットが捕まった時に、特徴ある独軍の鉄かぶとがシルエットとして映るのみ。

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タランティーノの「ヘイトフル・エイト」同様、フィルム撮影にこだわったノーラン監督は70mm、しかも高価なIMAXカメラを戦闘機に積み込んで迫力ある描写を狙った。ところが海に落ちた場面で、沈む速度が思いの外速く、その大事なカメラも水没するという事故にあったらしい。その割にスタッフたちに笑顔が。

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⬆︎ヘンリー王子から質問を受けるトム・ハーディーとマーク・ライランス

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#62 画像は主にIMDbから。