ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

船友の個展へ

180801 御茶ノ水の画廊で開催中の船友(半世紀前にヨーロッパへ船で行ったときの仲間)の個展へ。

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画名は宇樹夢舟(うきむしゅう)。宇宙、樹々、夢、そして舟だが、あの時の”ラオス号”にかけて、空間を自由に移動する舟に対する憧憬が込められているような、絵を見てたら、そんな印象を持った。

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いろんな思いが詰まった作品。無限の宇宙と、ちっぽけな人という存在が意識される絵柄が多い。

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この中央のピラミッドの見える絵は昨年、立派な額装を施されて、船友たちにプレゼントしていただいた。我が家の”画廊”の中央に掛けて、楽しんでいる。

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とにかく私より5,6歳は上なのに、まあ元気で毎日のように出かけては、あちこちの展覧会を鑑賞しまくっている。体力、気力、好奇心、おそるべし!私も元気な方と自認しているが、この方にはかなわない。

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昔、画商もやっていたから、美術品からワインまで幅広い趣味があり、ヨーロッパで買い集めたワイングラスも一角に展示されていた。しかも、これら貴重なグラスで来場者に昼はお茶、夜はワインを振舞っている。真昼間だったが、我慢仕切れず、赤ワインを、左から2番目のグラスで賞味させていただいた。そのあと、勤務さえなければ2杯目に進みたかったが・・・。後ろ髪を引かれる思いで会場を後にした。

二期会オペラ講座「後宮からの逃走〜オペラの東洋趣味〜」

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この秋に予定されている本番には行かないが、講座だけでお茶を濁そうという魂胆。そうしたことは、これまでも何度か。青島広志講座、上にあるように、すでに通算41回というすごい回数で、そのうち多分20回以上は参加している。

この先生のすごいところは、話をしていたかと思うと次の瞬間には鍵盤を叩いていて、昨夜など右手にマイクをもったまま弾いてみたり、神童モーツァルトマリア・テレジアの御前で目隠しして演奏したシーンを再現したりと・・・。こういうマネのできる人は、あまりいないと思うのだが。加えて、早口の話がまた抱腹絶倒で、それも同じ話で笑わせることがない、ということは、どれほどの引き出しの数かと驚愕あるのみ。

さらに、特技は絵を描く技術!白板にさらさらと世界地図を描いて、そこにさまざま文字を書き加えながら解説していくのだが、字の書き方が速い、速い!素人にもほんとにわかりやすく解説するから、まことに貴重な講座である。

昨日は西洋音楽に持ち込まれた東洋趣味がテーマだから、トルコ音楽、と言っても軍楽隊の調べのことだが、これが盛り込まれた「トルコ行進曲」をベートーベン、そしてモーツァルト作曲のものを弾き比べてくれたが、「今回で最後」と言いながら、ピアノ演奏技術もまだまだ見事なもの。

富平安希子は、今回初めて聴かせてもらったが、いやぁーまだこんなうまい人がいるんだと、二期会の底堅さを改めて認識した次第。超高音部までこなせる歌唱はもとより、舞台姿も美しいし、青島広志先生とのトークも、まったく物怖じすることなく対応していて、大物出現の予感。

山本耕平は、すでに何度か聴いている。自分でも認めているように、tenore lirico leggeroという声質だから、得意とする演目は自ずと限られるだろう。Antonino SiragusaやJuan Diego Floresの系統だろうか。国内では、藤原の中井亮一も多分。

しかし山本耕平、幼児の頃からピアノを習っていたのはいいとして、音楽家としてはクラリネット奏者からスタートしたという。歌手に転向しても当初はバスだったというから驚きだ。テノールに転向してよかったと思う。この小柄な体で、童顔だから、そこから低音を出されても面食らうことは必定。さらに、オペラでは役がつかないと思う。

最後に歌ったベルモンテのアリアでは、男声では比較的珍しいアジリタを聞かせてくれた。コロラトゥーラは男声にはあまり使われる用語ではないと青島広志先生の説明。すなわち、メリスマを歌う技術がコロラトゥーラであり、アジリタで、女声の高音部の場合がコロラトゥーラということでよいのだろう。

 

#42 (文中一部敬称略)

ついに本番を迎えた「椿姫」@アプリコ大ホール

180729 3月から稽古を積んで来た「椿姫」、とうとう本番の日を迎えた。

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大田区が誇る本格的な大ホールのオープンから20周年に当たる今年、その周年事業の一環としてオペラ「椿姫」を取り上げることになり、合唱団員募集記事を目にしたのが昨年末。バリトン・バスの募集人員、わずかに5名!(最終的には8名)これでは当選は無理と考え、一時は忘れかけていたが、今年に入ってから、再びチラシを目にし、そう言えば15周年記念事業の第九合唱団募集の際も、当選したことを思い出し、とりあえずダメモトで応募しておいた。

2月末に当選の吉報が舞い込み、さっそく銀座ヤマハで楽譜を購入。初めて手にするオペラ全曲の楽譜、値段も値段(¥5,000)だが、ずっしり重く、片手でしばらくもっていると疲れるほどのもの。

そして忘れもしない3月2日、1回目の練習。指導していただく先生方の紹介や、椿姫そのものの解説、イタリア語発音練習、自己紹介などがあり、実質的な譜読み・歌唱指導は2回目から。その後、暗譜に進み、立ち稽古が入り、7月からは大ホールでの立ち稽古となり、いよいよ練習も佳境に。

そして本番前々日のハウプトプローベではメイクも衣装も本番並みに、前日のゲネプロは一部、一般公開となり、緊張感をひしひし感じた次第。

そして29日、本番の日は意外や、それほどの高揚感もなく、ま、やるべきことはやったからと、むしろ淡々として早めに会場入り。

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1階のロビーから2階への階段。いつの間にかこのような洒落た仕様に!

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ホールも準備万端!

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今日は一番乗り。いつもの入口はまだ閉鎖中ゆえ、裏に回り駐車場から内部へ。楽屋の中央付近にある溜まり場。

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会場スタッフが飲み物やお菓子類を用意してくれている。心遣いに感謝だ。

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楽屋へ向かう。廊下の片側には合唱団員の衣装が本番での着用を待っている。

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男性合唱団員用楽屋。

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なかなかの快適空間!確か、数年前に、改装されが部分だ。

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事務局ご担当からの思いやりのこもったメッセージが置かれていた。こうした配慮に胸が熱くなる。

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舞台袖に用意された小道具たち。

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一つでも欠ければ台無しになる小道具類。裏方さんの努力には敬意しかない。

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アプリコが誇る舞台操作盤周辺。

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第1幕で使用予定のグラス。もちろん本物ではない。

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高齢者用にこうした配慮も。袖でのスタンバイが結構長く、やはり立ったままはきつい方々もおられるからね。

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舞台袖に入る直前の場所にも、こまごまと食べ物や飲み物が用意されている。

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3幕のセット。

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最後のチェックポイント、この鏡で衣装やメイクの最終チェック。

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愚亭のパートナーを努めてくれた、やはりアルトのNTさんと。小ホールで最後の声出し。後方に写っているのは演出の山田先生。

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舞台のセットでちゃっかり記念撮影。一般公募で選ばれたテノール陣はわずかに3名。バリトン・バスに比べさらに狭き門で、しかもそれが1と2に別れるわけで、本当によく頑張られた!手前はバリトンの高校一年生。チャーミングな性格の持ち主ゆえ、皆に可愛がられ、マスコット的存在。16歳でこんな体験が積めるなんて、羨ましい限りだ。

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準備完了のソプラノのお二人。山下尚子さん(左)と門口千絵美さん(チエミン)

さあ、そうこうするうちに開演。午後3時3分!5ヶ月の稽古の総決算!ここまで来たら、あとはたっぷりと楽しむまで。

そしてあれよあれよという間に終幕。覚悟はしていたが、速い速い!ちょっともったいないほどだ。まあまあ滞りなくというところか。終演は、午後5時45分。

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素人のわれわれを今日の高みへと導いてくれた指導の先生方、スタッフ・キャストの方々、とりわけ5ヶ月近くピアノ伴奏してくれた赤星裕子さん、裏方であれこれ世話を焼き続けてくれたソプラノの山下由佳さん、事務局の田沼里奈さんには敬服、脱帽!そして39名の合唱仲間たちにも、心からの感謝を込めて!MERCE A VOI, GENTIL SIGNORE E SIGNORI, GRAZIE E BRAVISSIMI !!!

 

「椿姫」、稽古も大詰め

180727 ブログ記事もこのところ間が空いている。29日の「椿姫」の本番に備えてのこと。映画館へも足が向かなかった。暑かったこともあり、また見たい映画がかかっていないなどで、終日在宅が殊の外、増えた。まあ、体力温存にはよかった。

昨日はハウプトプローヴェと言ってゲネプロ前の総稽古、これまで12回の稽古の最後の回ということで、衣装はもちろん、メイクも施しての稽古となった。

朝から北風が吹き抜けて涼しい日だったが、アプリコのエアコンが故障していて、舞台袖での待機で、皆、かなりバテていた様子。涼をとるのが扇風機だけという、なんとも懐かしい風景。

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初めてオケピットが出現し、そこには最新兵器、STAGEA IIが2台。上手にはパーカッション。この最新のエレクトーンの威力は、すでに何度か聴いているから知っていたが、今回改めて、その凄さ、思い知らされた。

場当たりで、最終位置確認。これまでよりかなり中央寄り、というか下手側になり、周辺には仲間のバリトンも多く、快適な空間に変更され、これはラッキー!

演出家からのダメ出しを自分なりに整理して、明日のゲネプロに臨む予定。台風が心配だが、本番当日には通り過ぎているようなので、ゲネプロに来られる方々には気の毒だが、自然相手ではどうにもならない。

兄の所属する美術愛好家団体のグループ展へ。

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兄が所属する美術愛好家団体のグループ展へ。毎年、春と秋、2回開催され、この機会に、姉兄と会っておしゃべりするのがこのところ習わしに。前々回は姉が急に具合が悪くなり欠席、前回は、あろうことか、なんと愚亭(愚弟?)がすっぽかすという失態をやらかしたので、3人揃うのは久しぶりだ。

飽きもせずというと怒られそうだが、飛行機が主人公の作品を制作し続けている。

今回も2点が飛行機ということになった。

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「エンジン始動準備」セスナのエンジンを始動させるメカニック。翼の線、交錯するプロペラの縦方向の線の構図がいい。下でサポートするように人物が巧みに配置されており、とりわけ真ん中の女性メカニックの折れ曲がったポーズが効果的。さらに、車輪止めの赤がうまくアクセントを効かせている。

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天井からの蛍光灯の映り込み回避のため、斜めになってしまったが、この作品、以前にも出品してあったと思ったら、微妙に異なるとのこと。そう言えば色の配置も色の系統も違っている。こういう作品は、まさに自由で描いている方も、見ている方もいろいろ想像できて楽しい。

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兄は長年、整備一筋だったので、こうした場面には一方ならぬ郷愁を感じるようである。以前にも出品した作品。手前に大きく広がるエンジンのメカ感がいい。ヒコーキ野郎はこうした作業に一般人には計り知れぬ責任感と同時に充実感を味わうのだろう。