ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「1900年」

*[映画]07/04/01 渋谷シネマヴェーラ 原題 1900 (NOVECENTO) イタリア/フランス/西ドイツ合作 316分 1976制作、1982日本初公開  [監]: ベルナルド・ベルトルッチ [製]アルベルト・グリマルディ [脚本]ランコ・アルカッリ ジュゼッペ・ベルトルッチ ベルナルド・ベルトルッチ [撮]ヴィットリオ・ストラーロ [音]エンニオ・モリコーネ [出]ロバート・デ・ニーロジェラール・ドパルデュードミニク・サンダドナルド・サザーランドアリダ・ヴァリバート・ランカスタースターリング・ヘイドン、ステファニア・サンドレッリ、 ラウラ・ベッティ

 知人から情報を得て、1日だけの上映である本日、渋谷まで出かけた。この映画館も初めてだったが、以前行ったことのあるユーロスペースと同じビルの上階。今日は男女ほぼ半々、若い人が多かった。

 ベルトルッチのこの作品、噂では聞いていたが、一昨年見た「輝ける青春」に劣らないほどの長さ。5時間16分であるから、ランチを買い込んで入場。1部と2部の間はたった15分しかないので、結構忙しい。ある程度覚悟していたが、やはり後半ウトウトっとする場面が何箇所か。

 大地主と小作人という立場の違いを超えた二人の男(デ・ニーロ vs. ドパルデュー)の友情と確執を通して、1900-1945頃までイタリア現代史を見据えた、ベルトルッチ渾身の大長編。1900年の夏の同じ日に生まれたアルフレードとオルモ。それぞれ大地主と小作人頭の息子という立場の違いはあったが、二人は仲よく育っていった。やがて成長したオルモ(ドパルデュー)は搾取される農村社会を救うべく立ち上がり、地主となったアルフレード(デ・ニーロ)と対立することになる。時あたかもファシズムが台頭、時代は混乱期へと。

 何せ配役が凄い。ドミニク・サンダステファニア・サンドレッリの組み合わせは「暗殺の森」(Il Comformista) 以来。二人とも颯爽としていて、きれいだ。無論、主役の二人も若いし、細い。とりわけドパルデューは今の姿が信じられないほど溌剌としている。

 舞台はポー川近くの平野で、晴れる日が滅多にない陰鬱な空の下でドラマは進行していく。そして1945年4月、虐げられつづけた小作人たちがついに解放される時、初めてきれいな青空が広がるのが印象的。

 グロテスクなシーン(例えば豚の解体シーンなど)やきわどいセックス描写やボカシもふんだんに出てくるが、やはりこの二人の男の対比描写を軸に、或いはドナルド・サザーランド演じる大番頭の、特にファシストの小幹部にのし上がってからの野卑で冷酷なふるまいなども描きながらも、ぶれのない展開はさすがである。アリダ・ヴァッリがほんの端役だったのがちょっぴり心残り。

 それにしても、「オリジナル英語上映」とは?バート・ランカスタースターリング・ヘイドンはともかく、フランス人のドミニク・サンダもイタリア語は出来るし、それ以外はすべてイタリア人の配役で、何故イタリア語でやらないのか理解に苦しむ。