ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「瞳の奥の秘密」

100817 TOHOシネマズ シャンテ 原題:EL SECRETO DE SUS OJOS 2009スペイン・アルゼンチン合作 監督:フアン・ホセ・カンパネッラ、出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル
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主人公のベンハミンと相棒パブロ(後に、彼の身代わりになって殺害される)

刑事裁判所を定年退職したものの、時間をもてあまし、25年前に扱った殺人事件をベースに小説を書き始めるベンハミン。今もしがないチョンガー暮らし。ある日、25年ぶりに古巣へ出かけ、今は検事に昇格している元上司イレーネに改めて事件(美人若妻が暴行後、無残にも殺害された)について、意見交換と小説のヒントを求める。二人の間に実は特別な感情が生まれていたのだが、お互い気づかぬふり。
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何かと衝突する判事とは犬猿の仲。判事の指示を無視して強引にしょっぴいたとして、折角つかまえた真犯人を釈放するという信じられない挙に出る。

この事件、彼の執念が結実して、真犯人が逮捕され、一旦は終身刑が下るのだが、実はその後、裁判所上層部の司法取引で釈放されていることを、被害者の夫からの通報で知る。判事にねじ込むものの、相手にされない。収まらないのは被害者の夫、一計を案じて・・・。

それから25年の歳月が流れ、この夫も今では田舎暮らし。小説のこともあり、はるばる彼を訪ね、近況を互いに語り合ううちに、意外な事実が。このショッキングな場面が最大の見せ場。

夢の中で書いたメモ TEMO(怖い!)を眺めているうちに、間にAを挿入してTEAMO(お前が好きだ)に書き換え、一人悦に入るベンハミン。意を決して、イレーネの元へ。満面の笑みで見つめ合う二人。

見事な出来栄え。脚本もしっかりしているから、25年前と今とが何度も交錯するが、見る者が混乱することはない。2時間を超える作品だが、だれる個所はほとんどなし。アルゼンチン映画は何年振りか。アカデミー外国映画賞受賞作品だけのことはある。カメラワークも冴えている。メークもなかなかだが、女性だけ老けさせていないことに違和感大あり。

平日にもかかわらず、ジイバァで満員の盛況。事前にネット予約しておいてよかった。

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