101129 新宿武蔵野館 原題はAMELIA 米 112分 [監]ミーラー・ナーイル [出]ヒラリー・スワンク(製作・総指揮も)、リチャード・ギア、ユーワン・マクレガー
目の前に広がるのは大海原と果てしない空のみ。永遠にそうしていたい衝動に突き動かされる。なにものにも束縛されない、正に「自由」がそこにある。自分の夢は存分にかなえた。そう、これをラスト・フライトにして、早く彼のもとに帰ろう。しかし、その思いがかなうことはなかった、永久に。
愛機、"Spirit of St. Louis"で大西洋単独飛行に成功したチャールズ・リンドバーグは、1927年5月20日にパリを目指して飛び立ったたがが、これに遅れること5年、同じ5月20日、やはりパリを目指し(結果はアイルランドに着陸)、ついに女性による大西洋単独飛行に成功したアメリア・イアハート(カンザス州出身ドイツ系)。リンドバークにあやかってミス・リンディーと呼ばれ、当時、男性並みの地位を確率していなかった世の女性から、圧倒的な支持を得た。だが、彼女の壮絶な人生は、リンドバーグ(享年72)とは異なり、僅か40年で幕を閉じることに。
総決算と位置付け臨んだ世界一周飛行だったが、いかんせん組んだ相手が悪かった。優秀なネヴィゲーターではあったが、飲酒常習犯。パトナムはこの点を最も警戒していたのだが、結局、これが命取りとなろうとは!
イアハートは名前から分かるようにドイツ系(嘗て西ドイツ時代の首相を務めたエアハルトと1字違い)、リンドバーグも名前が示すようにスェーデン系、二人ともかなりの長身と外見的に共通点が多い。リンドバーグは人類初の栄光に浴しながら、我が子を誘拐、殺害されるという悲劇に見舞われる。イアハートは女性初の偉業を遂げるものの、40歳という若さ、しかもラストフライトで行方不明(多分、ガス切れで海に墜落)と、偉業の後に悲劇に見舞われるところまで共通していて、何か運命的なものを感じさせる。
主役を演じたスワンク、既に2度のアカデミー主演女優賞を取った傑物。美人ではないが、存在感たっぷり。子供の頃からスポーツ万能だったようだが、身体もスリムでぜい肉がほとんどない印象で、この役にはピッタリだ。
ただ、展開は意外に起伏もメリハリもなく、淡々と描かれていて、やや物足りなさを感じる。彼女を見いだし、やがて夫となる実業家ジョージ・パトナム(ギア)との関係については、もう少し丁寧に描いてもよかったかも知れない。また、彼女が何故パトナムに見いだされたのかもいかにも唐突で、持っていき方が強引な印象。
ただ、当時の飛行機がいくつも登場するし、フライトのシーンも詳しく紹介されているから、飛行機好きには堪らない作品には違いない。
コメントいただいたペンタさんから、夫妻の墓がマウイ島にあると聞き、関連の動画を張り付けてみました。何とさだまさしがこんな歌を作って歌っていました。
こんなCGもありました。
コメント欄に「アッシ爺」さまから、ホノルル、ダイアモンドヘッドに彼女の記念碑があるとのご指摘。さっそく画像を入手しました。残念ながら、下の方の碑文はよく見えません。
←これが監督のミーラー・ナーイル(53歳)。失礼ながら、インド人女性がこのいう作品を手掛けるというのはいささか意外。彼女は若い頃一時俳優もしていた。デリー大学、ハーヴァート大に学んだ秀才のようだ。
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