ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「プライド」(シアター・クリエ)

f:id:grappatei:20101210141603j:image:left101209 日比谷シアター・クリエ

オペラ歌手を目指すソプラノ二人の確執というテーマに、多少の興味が。2年ほど前に映画化(ステファニー、満島ひかる主演)されたが、見るチャンスなし。今回舞台化されたので覗いてきた。

舞台となると、思い切って枝葉を切り落とし、出演者は4人のみ。オペラ歌手志望の史緒と萌、若きピアニスト、蘭丸、カリスマ音楽プロデューサー神野が入り乱れて場面が忙しく展開していく。舞台も東京、ウィーン、ミラノ、ニューヨークとめまぐるしい。

映画と違い、舞台の場合転換の妙というか技も楽しみの一つ。一瞬の暗転中に、見事に作りかえる。舞台後方にピアノ、ベース、パーカッションが陣取り、その前に紗のカーテン、大理石風の壁がスライドして、巧みに舞台を作りかえる。

有名オペラ歌手を母に持ち何不自由なく育った史緒と、貧困な環境から苦学して這い上がってきた萌は宿命のライバル。技量は萌が上だが、史緒は何と言っても環境に恵まれているのと、神野にも気に入られて、とんとん拍子。誰の目にも勝負あった、だが、運命はそう簡単な展開は許さない。スッタモンダがあって、史緒は神野との婚約も整い、後は婚礼を迎えるばかり。ところが、あろうことか、萌は神野の子供を宿し、娘の誕生と引き換えかのように癌を発症、いくばくもない。最後は恩讐の彼方に、で、まぁめでたしめでたし。

萌役の新妻聖子という役者、歌は巧い。二人ともノルマのカスタ・ディーヴァを歌ったが、器量のよい笹本玲奈は、まー普通の歌唱なれど、新妻の方はオペラ歌手並みの歌いっぷりで、堂に入っていた。蘭丸を演じた佐々木喜英(チラシのような美男ではないが)、ピアノを実際に弾いていたのか、手元を見る限りではそのように見えたのだが・・・そうだとすれば、かなりのものだ。

当然ながら客席は女性ばかり。男性は数えるほど。従って幕間のトイレ前の列の長いこと、3回ぐらい折り返してまだ足らないほど。毎度おなじみの光景だが、女性トイレの数を圧倒的に増やしてやらないと、余りに気の毒だ。