ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

藤原歌劇団「五十嵐喜芳追悼コンサート」@日経ホール

121008  昨年9月、83歳で惜しくも亡くなられた、日本オペラ界の巨星、五十嵐喜芳を忍んでの追悼コンサート。ゆかりの深い内外のオペラ歌手が日経ホールに集うた。

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冒頭、五十嵐麻利江さんが赤いバラを持って登場、舞台上手に設けられた、故人が好んだ彫刻家川下成海の「田園の歌」と称する作品のもとへ。バラを差し込んで、そのまま退場。一言も喋らないところがよかった。

一番のサプライズは、サッバティーニが歌ったことだ。司会者(南條年章氏、見事な進行ぶりと通訳ぶりだった!)の話しでは、既に歌手を「廃業」して5年になるとか。ドミンゴの真似なのか知らぬが、テノールを続けて欲しかった。

尤も今日歌った3つのイタリア歌曲はバリトン用だったようで、高音は一切なし。更に、感謝の気持ちを込めて「花」を、勿論日本語で歌ってくれて大喝采。

最後は、出演者全員によるアンコール。一番だけ彼のソロ歌唱となったNON TI SCORDAR DI MEでは、少しだけ高音を出したが、無論往年の輝きは無理としても、ほんの片鱗は窺えてよかった。

引退しかかっていると聞いたことがある林 康子さん、本公演でなければ、まだまだたっぷり歌えるし、立派なものだ。

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テノールの笛田博昭さんというのは、初めて聴いたが、身体も大きいが、声も力強く、やや日本人離れしたテノールとお見受けした。ポンキエッリの「空と海」を楽しみにしていたのに、何故か「衣装をつけろ!!」に変更。冒頭、牧野正人氏の「道化師」の流れで、敢えてそうしたと司会から説明があったが、そんなことは演目を決める段階で分かったいたことで、この変更は腑に落ちない。

村上敏明クン、砂川涼子さん、堀内康雄氏については、今更なので、コメントは控える。それより、藤原歌劇団合唱部が素晴らしかった。「アイーダ」から凱旋の場はしびれた。

五郎部俊朗氏が歌った「この道」と「涙そうそう」は五十嵐喜芳に捧げられた愛唱歌。しんみりとさせられた。

ラストに全員で歌った「わすれな草」は、自分が初めてまともに歌えたカンツォーネで、確か五十嵐喜芳が日本語訳をつけていた。切ない旋律で、これが主題歌になった独伊合作映画のシーンを思い出しながら聴いた。

最後に、ずーっと伴奏をし続けた浅野菜生子さん、いつものように、演奏も姿勢も端正そのもの、オツカレサマでした!

終演後、出待ちをして、村上君と砂川さんのツーショットを撮影。

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