ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

巨匠たちの英国水彩画展

121025 東急BUNKAMURAザ・ミュージアムで開催中のこの展覧会へ。

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姉が先に行って絶賛していたので、今日、楽しみに出かけた。詳細➡http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_manchester/work.html

157点、これすべて英国発の水彩画ばかりだから、驚きである。水彩、グァッシュ、単色画やパステルまで一部含まれているが、それにしても、水彩でここまで微妙な味わいを出せるところは驚異という他ない。

それと、イギリスの田園地方の美しさはどうだろう。改めてこれほどだったかと心底、感嘆した次第。もともと風景画は一段下に見られていたようだが、徐々に市民権を得て、19世紀半ばにはその全盛に達したということだ。丁度、ターナーが大活躍していた時代。

最も古い作品が1754年、逆に最も新しいものが1902年と、150年間に亘る作品群。このうち、ターナーの作品が24点も展示されているのが嬉しい。若い頃から水彩画に親しんでいた様子で、既に並々ならぬ筆力が窺える。美術評論家で自身も描くジョン・ラスキンによれば、ターナーほどうまく空や雲を描ける画家はいないと評している。

他に知られた画家としては、ラファエル前派のジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、最近回顧展があったばかりのエドワード・バーン=ジョーンズ、イギリス風景画の巨匠、ジョン・コンスタブル、トーマス・ゲインズバラがそれぞれ1点ずつ。

それほど知名度の高くない画家でも、息を呑む程の細密風景画、多数。余りに凄いので、全部見終わってから、もう一度最初の作品に戻り、2回もじっくり見た。

1740年から約50年、イギリスでは、富裕層の子弟が執事などを同行してフランスへイタリアへ1年以上も遊学する流れがあり、いわゆるグランド・ツアーという制度であるが、当時写真がなかったため、彼らの注文に応じて、遊学先を描くことが流行していたとか。そんな作品も多く展示されていて、大いに興味をそそられた。

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⬆今年の春に訪れた北アイルランド北部海岸にあるダンルース城を背景に、全景にヒナゲシを大きく描いた斬新な構図。ちょっと浮世絵を思わせる。