ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「アルゴ」

121029  109シネマズ川崎 原題もARGO 米 120分 製作・監督・主演:ベン・アフレック 意外に彼も才人。製作にはジョージ・クルーニーも名を連ねている。

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これまたほぼ実際に起きた事件を映画化したもの。最近、多い。ただし、細部はかなりフィクションを効かせている。

1979年末に起きたイランのアメリカ大使館占拠、大使館員人質事件がテーマ。冒頭に何故この事件が起きたかの簡単な解説が入るのは親切。従って、後の筋が容易に辿れる。

そもそもは英米が他人(ひと)の国の石油を牛耳っていたため、時のモサデク首相がこれを国有化したことに端を発する。アメリカは自国の権益確保のため、パーレビーを支援。国王の極端な近代化がホメイニらの反発を招いたようだ。

ふくれあがったデモ隊がアメリカ大使館を取り囲み、地鳴りのようなシュプレヒコールが大使館員を不安にさせる。なかなかの迫力で、当時の実写フィルムをうまく取り込んだかと思ったが、そうではなかった。

アフレックは、時代感覚を効かせるために、敢えてフィルム幅を通常の半分にして、粗い感じを徹底追及したそうだ。この作品、ほとんどCGは使用しておらず、そうした工夫がふんだんに取り込まれて撮影されているから、迫力満点。

時間軸もほぼドラマの進行通りだから、至極分かりやすい。いずれにしても、クリントン大統領が解除するまで、この緊迫の実話は世に知られてなかったそうだが、映画化するにはまさにピッタリのドラマ。

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カナダ大使私邸で、明日の脱出に備え、それぞれの「役」になりきるため、予行演習に余念のない人質6人と、CIA救出プロのトニー(ベン・アフレック

前半はかなり喜劇風で、後半俄に緊迫感が漲る。最後の最後までハラハラドキドキ、ベン・アフレックの手腕には驚かされた。

前半で興味深かったシーンは、一時的に別居している妻と一人息子。その息子に電話して、息子がその時見ている「猿の惑星」を、トニーも自室のテレビに映し出し、それを見て、妙案を思いつくところ。

後半では、群衆が大使館になだれ込み、大使館員が慌てて重要書類を焼却するが間に合わず、シュレッダーにかけた。その膨大な断片を子供達を大挙投入して繋ぎ合わせる作業で、6人の顔写真を割り出そうとするシーン。

#76 画像はALLCINEMA on lineから。