121030 渋谷 Bunkamura Box Gallery
たまたまBunkamura1階ギャラリーでやっていたので、立ち寄った展覧会。並べてあった作品はどれも⬆と同じような背景に小さな物体を凝視して、これ以上ないほどの細密度で描いた作品。
タイトル通り、観る者にしっかりと語りかけてくる印象が強い作品。いずれもボードを箱形にして描いてあるが、中には更に和紙を表面に貼付けて描いた作品も。その方が僅かだがしなやかさのようなものが感じられる。会場の解説文には、以下の内容が、
精密な描写の中に現れる沈黙と言葉。山田は、ルネサンス時代の古典的な技法で作品制作をしている。油絵の具とテンペラを薄く何度も塗り重ねる事で独特の質感を生み出し、触れてしまいたくなる程の繊細な透明感と存在感を放つ。
描かれるモチーフは、食物や道具など、私たちの身の回りにある素朴なもの。独特の構図により生まれる空白の画面からは、作品に意味深な表情を持たせる。今その一瞬を捉えるのではなく、個人的で普遍的な事象がそれぞれのモチーフに託されている。そして私たちは思わず、それを自分の中に秘めた断片的な記憶と重ね、結びつけてしまう。誰にでも捨てきれないものがある様に、大切な記憶を宿したものがある様に、そんな感覚を呼び覚ます。
ありのままの姿を捉えながらも、その向こう側にある誰かの何らかの過去や想いを訴えかける静物画。何かを語りかけ、ある日を思い出させるかの様に、広く静かな空間にひっそりと佇みます。それは物を丁寧に作り大事に使う事の美しさをも感じさせ、現代の溢れる物欲に対する道徳美を見つめなおす事にも繋がるのだ。
因に⬆の作品に描かれているポータブル・タイプライターだが、オリヴェッティのレッテラ32で、まったく同じものが我が家の倉庫に今も眠っており、懐かしさでつい引き込まれた。
彼の略歴は、
■ 略歴
1978 北海道生まれ
2002 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2004 多摩美術大学大学院美術研究科修了
偶然だったがいい作品展が見られてラッキーだった。