ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀」

130220 原題:THE HINDENBURG ご存知、独ツェッペリン社が作った豪華飛行船の名前だが、もとはドイツの英雄にして、第二代大統領の名前。

 

ドイツ映画だが、妙なことに全編英語。脚本が悪いのか、やたらぎこちない会話が目立つ。また、出演者が地味過ぎるのと、余り宣伝をやらなかったのか、ほとんど話題になっていないし、現に劇場もガラガラ。それなりに見応えがある作品だけに、ちょっともったいない気がする。どうもいろいろ調べると、テレビ用に作られた作品のようだ。キャスティングが悪いことや宣伝不足はその辺が原因かも。

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1975年にも同名タイトルで映画化されていて、そのハリウッド作品も割によく出来ていた。

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第一次世界大戦前夜に当たる1937年、アメリカニュージャージー州レイクハースト海軍飛行場着陸寸前に引火、大爆発を起こしたナチス・ドイツの誇る巨大な飛行船は、たまたまその模様を実況していたアナウンサーの悲鳴と共に、映像にはっきり記録されているから、嘗て何度かその瞬間の映像は見た記憶がある。

 

この大爆発は事故か事件か、謎が多く、1975年作品では、乗員のサボタージュによるという仮説に基づいていたが、今回は、更に想像を膨らませて、実はナチスの陰謀だったとする仮説で、それもまた興味深い。

 

当時航空部門を束ねていたゲーリングの命令で、爆撃機の航続距離を飛躍的に伸ばす特殊物質を得るため、アメリカが実施していた禁輸を解禁させる口実にヘリウムを隠れ蓑に使ったというもの。水素で飛行する飛行船が危ないということになれば、より安全性の高いヘリウムを使わざるを得ず、その輸出解禁に合わせて特殊物質も手に入れようと画策したのだったが・・・。

 

最大の見せ場となる爆発シーンが当然ながらCG技術をフル活用で、大迫力を生んでいた。高度を徐々に下げている途中で、引火するのだが、それは爆破装置を主人公が取り除いた後のこと。原因は何と聖エルモの火、即ち何時間か前に雷に打たれ、飛行船全体が帯電していたというもの。

 

この見せ場は、あたかもタイタニックの悲劇を見ているような錯覚を覚えた。水が火に変っただけで、状況は余りにもそっくりだ。

 

#11 画像はALLCINEMA on lineから