130307 TOHOシネマズ川崎 原題もFLIGHT 138分 [監]ロバート・ゼメキス「出]デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、メリッサ・レオ、ブルース・グリーンウッド他。予告編というのは、ほんとに上手く作るものだ。1970年代のエアポート・シリーズのような、航空パニック映画かと思わせて、実は、これはアル中から立ち直る男の、寧ろ社会派ドラマである。
手に汗握る航空機墜落までのドラマは冒頭から30分まで。そこから、かなり退屈なシーンが続く。え、こんな場面、必要?てな感じで、ゼメキスってこんなだっけ、と見に来たことを後悔し始めたりするのだが・・・。
後半、見事に立ち直り、ぐいぐい画面に引き込まれて行く。この辺りのメリハリの付け方は見事だ。
主人公ウィテカー(D.ワシントン)は、幼少時から親の影響で飛行機に親しみ、早くに操縦を覚え、今は民間航空会社の腕利きパイロットだが、実はアル中。この日も朝から酒をあおり、巧みに匂いを消し(たつもり)でご出勤。そのままフライト開始。
オーランドからアトランタまで。普段の彼には楽勝フライトの筈だったが・・・。何と尾翼に不具合のある飛行機(後に分かったことだが)だったからたまらない、飛び立って巡航高度に達したところで、突如操縦不能に。
しかし、そこからが彼の真骨頂発揮で、動物的な勘なのか、このまま地面に激突しかないと判断したところで、旅客機ではあり得ない背面飛行を試み、ぎりぎりのところで、元の体勢に戻して何とか草原に不時着。乗員2名、乗客4名の死亡のみに留めるという快挙(?)で、メディアでも絶賛。
ま、そこまでは、彼も展開が読めていたのだが、まさか乗務員の血液検査で後々大問題に発展する不利な判定をされていたとは知る由もない。
結局、腕利きの弁護士(ドン・チードル)たちの必死の画策も空しく、公聴会でついにアル中をカミングアウト。どんな質問に対しても知らぬ存ぜぬで切り抜けられる筋書きもおじゃん。というか、どっかで彼の良心が目覚めたんだろう、汗ばんだ苦悩の表情が大写しになり、いつしかそのまま刑務所での体験談会場で,今はアル中から脱しつつある姿に。うまい場面転換だ。
あれほど寄り付かなかった長男が、彼を訪ねてきて、親父のことをエッセーにまとめたいと言うラストがなかなかよい。
デンゼル、ガタイもデカいが、演技のスケールも相当デカい。ピッタリの役どころだ。初っぱな、ホテルの一室、パイロットの横で、その日、一緒に乗務することになっているスッチーのトリーナ(ナディーヌ・ヴェラスケス)がベッドから出て来るが、なんとスッポンポのまま堂々とカメラに。これってエイリンさん、問題にしないのかね~。
機体が裏返った状態の撮影は、今ならCGで訳ないところだが、ゼメキスは敢えて逆さまの機内セットを組み、出演者には裏返った状態で演技させたらしい。確かにその方が臨場感はあるけど、役者も大変である。
#16 画像はALLCINEMA on line