130619 いやぁ〜、面白かった!こんなに芝居を面白く見たのは久しぶりだ。やはりこの白井晃という人物、ただ者ではなかった。
冒頭から意表を衝く演出が冴え渡っていた。稽古風景かと観客に思わせるような導入部で、いつの間にか、観衆も舞台の一部と化しているのだ。更に、群衆として観衆が利用されているようなシーンが二三カ所、立ったり座ったりで、それがごく自然に指示が来るので、まるで催眠術にかかったかのよう。自分も芝居に参加しているなぁ、と錯覚を起こす。この辺は実に鮮やか。
主演の仲村トオルって、こんなに上手かったっけ、である。悩みまくって、最愛のデズデーモナを絞め殺してしまう前後の壮絶な演技には思わず息を呑む。山田優も舞台は初めてらしいが、まずます。イァーゴの嫌みたっぷりさを赤堀雅秋がうまく出していた。エミリア役の高田聖子、良かったぁ!
ラストがまた人を食ったような締めくくりで、驚かす。誰もが芝居が終わったと思った瞬間に、イァーゴがピストルで、挨拶の為に立ち上がった主役二人をパン、パーンと撃ち殺すところは、結構な迫力で、心臓がドキドキした。
今回は前から3列目だから、舞台の隅々までくっきりと。舞台だけでなく、観客席を縦横に使い、駆け下り駆け上り、ブリキ缶を打ち鳴らしたり、時折パントマイム風の動きがあったり、気がつけばカッシオが自分の隣席に座っていたりと、そんな普段味わえない体験をたっぷり。演出の白井晃自身、デズデーモナの叔父役で出演、これがまた上手いし、マスクもいいし、言うことなし!