130719 江戸後期に活躍した南画の大家、谷文晁、生誕250年を記念して開催された展覧会へ。平日の11時という時間帯だったが、ゆっくり見られた。
土佐派、四条派、狩野派、琳派だけでなく西洋画の影響も受け、時代とともに激しい変遷が伺えて面白かった。どの流派を学んでも決して満足することなく、常に悩み抜き、もがく姿が伝わってくる。
章建ては、
序章 様式のカオス
第1章 画業のはじまり
第2章 松平定信と『集古十種』――旅と写生
第3章 文晁と「石山寺縁起絵巻」
第4章 文晁をめぐるネットワーク――蒹葭堂・抱一・南畝・京伝
彼の作品だけでなく、息子の文一、文二や、彼が29歳の時に近習として仕えた、時の老中首座、松平定信による自画像、また同時代に活躍した渡辺華山や酒井抱一らの作品なども展示され、見所満載の展覧会。
定信の命を受け、石山寺縁起絵巻(石山寺蔵)を文晁が写した模本が同館所蔵になっているが、その修復作業終了後、初公開されている。
定信に随行し、日本各地で風景画を制作、⬆は熊野舟行図上巻
同じく下巻。風景画には西洋画の技法、遠近法や立体感を示す彩色法を積極的に取り入れているのが伺える。
八仙人図
青緑山水図
⬆西洋画の研究具合を示す一点。フランドル派のファン・ロイエンの作品を別の画家が模写し、更にそれを文晁が模写した作品だが、彼の並々ならぬ力量と西洋画への関心の強さが伺える。