130805 渋谷イメージ・フォーラム 原題:TABU 118分 葡・独・仏・伯合作、監督・脚本・編集:ミゲル・ゴメス 出演:テレザ・マドゥルガ、ラウラ・ソヴェラウ、アナ・モレイラ
凄い作品!これほどの傑作とは、想定外。まさに熱波の中、金王坂を上って行った甲斐があったというもの。白黒スタンダード・サイズ、更に第2部では、自然音以外のセリフはサイレントにするなど徹底している。1940年前後の名画を見ているような錯覚にとらわれた。そこがミゲル・ゴメスの狙いでもあるのだろうが。8mm, 16mmを多用しているから、昔の作品のように画質が粗いのも効果を上げているようだ。
今はリスボンで、時折昔を懐かしみながら、ひっそりと暮らすアウロラだが、最近、素行に大きな変化が生じ、認知症が進行しているのは明白。着飾っては有り金をそっくりカジノですったり、会ってくれない一人娘のことばかり話したがるという風で、メイドのサンタ、隣人のピラールも気にはかけていてもどうすることも出来ない。
やがて、死期を悟ったアウロラは、昔の恋人、ベントゥーラを探して欲しいとピラールに懇願する。しかし、探し当てた時には、アウロラは既に他界。だが、ヴェントゥーラが淡々と語る昔話とは・・・。尚、原題のタブーとは、彼女が若き日その麓で過ごしたアフリカの山岳名。いわゆるタブー(禁断)にかけていることは明白。
⬆若き日のヴェントゥーラを演じたカルロト・コッタが、また昔風の美男。右は若き日のアウロラ(アナ・モレイラ)
第2分のアフリカ編に流れるロネッツの"BE MY LOVE"が効果的。
アイザック・ディネーセン(カレン・ブリクセン)のOUT OF AFRICA(アフリカの日々、映画は「愛と哀しみの果て」のタイトルで、1986年公開)によく似ている展開である。
#61 画像はALLCINEMA on line