ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

やっと「プーシキン展」へ

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1300909 出入りの朝日新聞販売店からせしめた招待券で、カミさんとやっとこさこの展覧会へ。久しぶりに桜木町で降りたら、駅の周辺の余りの変貌振りに驚くばかり。以前は降りたところの空き地にコスモスが咲き乱れていた光景だったが。

ランドマーク・タワー経由、横浜美術館へ。美術館前広場も広々していて、花々を飾っていたり、大変きれいにしてあるのが来館者には嬉しい限りだ。

この美術館のフォアイエは、明らかにオルセー美術館のそれを意識した作りになっている。左右になだらかな階段状の空間があり、右側には大型の彫刻等の作品が並ぶが、左側は何もなし。ちょっとバランス悪いし、せっかくの空間がもったいない印象だ。

さっそく2階の企画展入口へ。入口周辺には日本では必ず主催挨拶やら企画展の概要などの説明文が掲げられているが、毎回スルーする。ネットで見れば十分で、何も美術館でそんなものを読むことはない。

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最初に展示されている作品がこれ。「約束の地」に攻め込むジョシュアが、カナーン族の一つであるアモル人と戦う緊迫した場面。左手の男がジョシュアのようだ。プサンはこういう戦闘シーンより神話の静かな世界を描いた作品が多い画家だが、こういうのも、実に見事な技巧を凝らしているのが分かる。

4時過ぎなら空いていると美術館のサイトにも出ていたのだが、それより少し早く着いたら、まだまだなかなかの混みようである。特に今回の目玉、ルノアールの「女優ジャンヌ・サマリーの肖像」の前はひときわ大きな人だかり。無理もない、存在感が違うもの。女性好みの淡い、ピンクっぽい色調で、ふわっと描かれたジャンヌは、少し垂れ目の優しい表情で、見る者を魅了してやまない。

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ロココの代表選手、ブーシェの作品。代表作「ブランコ」同様、まことに艶やかだ。木の枝から流れ落ちるような典型的な構図が安定感をもたらす。

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ロマン派代表格のドラクロワの作品。バイロンの長編詩に想を得た作品らしい。不気味な夜の海で、更に不気味な死体を海に投げ込むという、かなり変わったモチーフだ。ルーブル本館、ドゥノン翼にある大きな作品ばかり集めた大空間にかかっている下の「ダンテの舟」⬇を彷彿とさせる描き方だ。

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新古典派の巨魁、アングルがロシアの皇帝アレクサンドル2世に依頼されて生まれた作品。つるっとした肌感の女性を描くのを得意とした。

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セザンヌの素敵な作品だ。テーブルの描き方などに、キュービズムを予感させる萌芽が読み取れる。

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南仏で精神病治療を受けた先生にお礼の意味で本作を描いたが、感性に乏しかった医者なのだろう、似てもいないし、まったく嬉しくなかったらしく、簡単に手放してしまった作品。先生の子孫は悔しかったに違いない。

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木陰に二人の女性がいるのが分かるが、木漏れ日が服に落ちているため、風景に同化していて、少し遠くからじっくり見ないと、二人の女性がいるとは、なかなかすぐには分からない。

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左側の女性はローランサンがモデルということらしい。こんな風に描かれちゃ、余りいい気分にはなれないのでは?

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青の時代のピカソ。これは分かり易くいい絵だ。でもこの後、女を替えていくのに合わせるかのようにして、画風も大変貌を遂げて行く。

「選りすぐりの66点」と案内にも描かれていて、「えっ!もわ終り!?」と思うぐらい、あっけなく出口まで来てしまう感じだが、確かに「選りすぐり」は、珍しくその通りだと思った。

出口からそのまま常設展示へ回った。国立西洋美術館ほどでは、勿論ないのだが、それでも意外にも優れた作品が少なくない。

 

(画像は同展のサイトから拝借しました。)