ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「三つの二幕物語」@アプリコ大ホール

130914

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今年も大田区民オペラの時期がやってきた。オペラかガラ・コンサートの組み合わせでこの公演がこれまで行われて来た。今年はこのホールの15周年ということで、いつになく豪華な顔ぶれとなった。そのためかどうか定かでないが、いつもはオケがピットに入っているのに、今年はグランドピアノが一台寂しげに置いてあるだけ。予算の関係なのだろう。辛いところだね、ここら辺が。

ま、それでも気を取り直して、出演者のみなさん、大熱演でこちらも熱くなりました。三つの演目から第2幕だけを集めたという、なかなか愉快な企画でしたが、椿姫などは第2幕は結構地味だし、ちょっと無理があるな、と正直思ったけど、長さや出演者の関係でこうなったんだろうと納得。

それにしても、「あれ、今、ヴィオレッタとアルフレードだったのに!?」が、そのすぐ後に、ミミとロドロフォで同じ歌手が登場というのは、結構な違和感あり。

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ヴィオレッタとミミを演じた吉田恭子さん、6年前に同じ舞台でノルマを熱演されて、凄く印象に残っていたけど、今日もきれいなお声でしたねぇ。又吉秀樹さん、つい先日も新宿文化センターで聞いたばかりだけど、やはり3年前のこのシリーズでの「マクベス」にマクダフで登場、林康子さんと堂々と渡り合っていたのを思い出す。

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今日は特別出演でノルマ1曲だけを歌った、その林 康子さん、さすがに往年の勢いは無理としても、結構ビンビン出ていたから、拍手とブラーヴァがハンパじゃなかった。左席のお兄ちゃんは、「Brava, brava Yasuko!!!Grande Maestra, Bra----va!!」と訳の分からないことを絶叫していた。

林さん、相変わらずの天衣無縫というか天真爛漫というか、最後の「乾杯の歌」では、自分の出番に気づかず、吉田さんにキューを出されるという微笑ましいシーンがあったかと思えば、「乾杯の歌」が終わるや否や、手に持っていたグラスから後ろに向かって思いっきり中の液体をぶっかけたから、後ろにいた合唱団員は一瞬びっくり。その後に大爆笑。びしょ濡れになったのが男性でよかった!

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これもピンボケだが、バリトン増原英也さん。丁度昨年の同日、川口リリアホールで「リゴレット」のタイトルロールを熱演されたのを思い出す。小気味よい歌唱もさることながら、演技がお上手で楽しみなバリトン。来春はみなとみらいで「セヴィリア」をやるらしい。フィガロはぴったりだろう。

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「椿姫」では黒いドレスに赤いバラをあしらってのフローラ役で、そして「こうもり」では何と自身初めてとおっしゃるオルロフスキー公爵役で、白服男装で登場した鳥木弥生さん⬆。上背があり、美形だから、ご覧のように本当によく似合っている。いやぁ、存在感抜群でしたねぇ。左は又吉秀樹さん。こういうドヤ顔、得意なのだ。

他にヴェテランの赤星啓子さん、相変わらず子猫のように愛らしい方だ。歌のうまいことには定評あり。今日はアデーレ役だから、彼女にはぴったり!散々笑わせてもらった。イーダ役の田子雅代さん、歌もお上手な上、ほっそりした美形なのに出番が少なく、ちょっと気の毒。

楽屋口におられなかったので、撮影できなかったが、腰越満美さんのムゼッタが絶品だった。もうちょっと品が悪いムゼッタでもよかったかも知れないが、この人の持ち味だから、品の良さは。その点では、ロザリンデの方が役柄にはぴったしかな。

大ベテランの持木 弘さん、牧野正人さん、志村文彦さん、やはりこういう大御所の方々が一緒にいると舞台が引き締まるのがよく分かる。歌よし、演技よし、素晴らしい!区民オペラ合唱団のみなさんや子役たち、アマチュアでこの域まで高めるのは相当ハードだったろう。ご苦労様でした。

最後のカーテンコールで、花束が渡されたのは主催者大田区民オペラ協議会の代表であるプロデューサーの山口悠紀子さんと、自らも出演された夫の総監督山口俊彦さん。最後まで林 康子さんが声をかけてねぎらっている姿が印象に残った。

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