ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「エリジウム」

130923 原題もELYSIUM  どうもいい年をして、相変わらずこういう作品は、つい足が劇場に向いてしまう。困ったものだ!

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「第9地区」(2009)を作った若きニール・ブロムカンプ(南ア)が原作、脚本、監督したというので、かなり話題になっている作品。「第9地区」ほどの切れ味はないが、映像が素晴らしい。話の展開も、ちょっと引いてしまうが、全体としては楽しめる作品。

 

低予算だった前作に比べて、今度は予算もたっぷり、それにセレブな俳優も使っているから、さぞかしと余り期待し過ぎると肩すかしを食らうことに。

 

今から140年後の世界、地球は貧困・環境汚染・人口過密で、住み続けているのは貧乏人だけ、しかもロボットに監視されているという悲惨な状況。

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一方、富裕層は地球から400km上空のスペース・コロニー「エリジウム」で、病気や寿命から解放された優雅な生活を満喫するという設定。なんとなく⬇「2001年宇宙の旅」(2001:A Space Odyssey)を思わせる。

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エリジウムを支配しているのは、いかなる事情があろうと、一切新しく地球から貧乏人が侵入するのを認めないというエゴイズムに凝り固まった一握りの連中。その事実上のトップに君臨するのがデラコート(⬇ジョディ・フォスター、ただ今51歳。どうでも良いけど、スタイル悪いね、この姐さん)

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ま、地球にも頭の良いヤツもいて、何とかしてエリジウム全体を動かしているシステムを乗っ取って、エリジウムが人間を誰でも受け入れられる状態にしようとする方法を考え出す。

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仕事中に事故で全身に致死量の放射線を浴びちゃった主人公、生存期間後5日と診断され、何がなんでもエリジウムへ行って医療ポッド治療を受けようとする。その為に、信じられないような⬆装備をする。ロボット”服”をTシャツの上から縫い付け、頭部にはデータを自身の脳に転送する為の装置まで。この手術がかなりグロい!

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マット・デイモン、なんか最近はこういうマッチョな役が多くなった。

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「第9地区」で主演したシャルト・コプリー(南ア)、今度は悪役で登場。随分雰囲気が変わった印象と思ったら、黒いコンタクトを入れるとか、それなりの工夫をしたとか。日本刀を振り回すところに若干違和感。

ま、最後は主人公のマックス(マット・デイモン)が、自らが犠牲になることで人類が救われるという、めでたしとなるんだけど、チト後味がよろしくないねぇ。人間愛と自己犠牲みたいなものがテーマなんだろう。

 

ただねぇ、エリジウムなる巨大なスペース・コロニーだけど、暗黒の宇宙にぷかりと浮いているのはいいとして、壁がなく、吹きっ晒し状態で、一体どうやって気圧やら気温、すなわち人間が住める気象環境を整えられるのかが、まったく不可解。リアリティーがなさ過ぎて白ける。重力は遠心力で解決できるけど。

 

2001年宇宙の旅」では、宇宙ホテルにHILTONの看板がかかっていたが、本作では、BULGARIやらカーライルの乗るシャトルにはBUGATTIのマークが入れてあるなど、細部へのこだわりが。

 

#79 画像はALLCINEMA on line及びIMdbから