ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「凶悪」

131002 連続で邦画鑑賞。白石和彌監督作品。ある死刑囚が、月刊誌(実際には「新潮45」)に宛て、自分は他に3件、警察にも知られていない殺人罪を犯していることを明かす手紙が届くことから映画は始まる。

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死刑囚須藤(⬇ピエール瀧、迫真の演技)に会いに行った記者藤井(山田孝之、熱演)は、告白の理由は、自分が犯した殺人はすべて「先生」と呼ばれる男、木村(リリー・フランキー、はまり役)の指示に従ったまでで、本当に裁かれねばならないのは木村であり、この男がのうのうと娑婆で生きていることが許せないからだと知らされる。

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上司には、信憑性が乏しく、しかも物証なしではと相手にされない藤井、ここからジャーナリストとして、些か常軌を逸した行動を取り始め・・・。崩壊寸前の家庭も顧みず、最終的に木村を法廷に引き出すところまでこぎ着けるが、それは彼が執念を燃やして追求している最終目標ではなかった。

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中間部に回想シーンで、残酷な殺人シーンが次々に登場するが、これが園子温監督の「冷たい熱帯魚」そっくり。でんでんは殺人シーンを淡々と無表情でさばいて行くが、⬆リリー・フランキーの方は殺人にエクスタシーを感じてしまうところが唯一お相違点。

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上司から、最終的にはジャーナリストとしてよくやったよ、とお褒めの言葉をもらうが、空しさしか感じない。映画は、刑務所で木村にやっと会えた藤井に対して、「俺は殺人罪でも、無期懲役だよ。死刑にはならない。須藤も、俺が捕まったたことで一応満足だ。俺の死刑を願っているのは・・・」と、藤井に向かって仕切りガラスをトントンと叩いてジ・エンド。

 

#82 画像はALLCINEMA on lineから