131005
ブロガー向け夜間特別鑑賞会に参加した。まずは、レクチャーホールで主任学芸員である八柳サエさんによる丁寧な解説を聞かせていただく。章立ての苦労話を画像を見ながら詳しく説明してもらった。今回は明治から大正期の作品をメインに展示したとのこと。
事前知識もなく、一般的に大観と聞くと、もっぱら昭和期の富士山と、晩年は日本酒が食事代わりだったというような逸話しか思い浮かばないが、大観の真骨頂は寧ろこの壮年期にこそありということがよく分かる。明治元年生まれゆえ、制作年と実年齢の関連が分かり易くて具合がよろしい。
⬆入口にあるパネル。間もなく封切られる映画「天心」で、岡倉天心を演じる竹中直人が吹き込んだの音声ガイドをお借りして、いつものごとく、ゆっくり会場内を撮影しながら、巡った。(今回は一点撮りは禁止)➡展覧会の詳細
厳島神社から苦労して借り出した「屈原」が今回の超目玉。期間限定で今月16日までしか見られない。屈原は戦国時代の楚の政治家、詩人。同僚の嫉妬と讒言で、失意のうちに入水自殺を遂げた人物。ゆえなくして、同じく讒言で東京美術学校を負われた師、岡倉天心になぞらえていると言われる。
やはり反射光がどうしても入ってしまって、よく撮れない。手前「山路」
「霊峰不二」昭和期に入ると富士を描くことが俄然増えるが、これは大正期の作品。
「秋色」大観?と思えるほど目にも鮮やかな色彩。
「寒山拾得」寒山は経巻を、拾得は箒を持ち、二人とも破れ衣と蓬髪で呵々大笑する姿で描かれてきた。本作はある官吏が寒山・拾得を訪ねた際、二人が焚火に当たりながら嗤っていたという話に想を得たのだろうとの解説が。
画家は書もよくするが、大観も達筆!
タイトルにもなっている「良き師」は言うまでもなく岡倉天心だが、「良き友」とは今村紫紅、小杉未醒、小川芋銭、富田渓仙を指している由。彼らとの交流を通じて、互いに切磋琢磨、大いに影響し合ったとある。
出口近くに新進アーティストと言っては失礼かも知れぬが、山口 晃氏が描く上記4人の似姿絵が楽しかった。
なお、上記画像は主催者から夜間特別観覧のため、特別の許可をいただいて撮影したものです。