ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ピープルシアター公演「蝦夷地別件」@シアターウエスト(池袋)

131012 旅仲間の一人、K夫人のご主人が客演されるというので、他の仲間も誘い合わせて久しぶりに池袋へ。昔は池袋の芸劇までよく足を伸ばしたものだが、最近はすっかり縁遠くなっていた。やはり城南にある我が家からは、心理的にチト遠いところなので、敬遠しがちだった。シアター・ウエストも、当時は確かなかったと思うし、1階のフォアイエもすっかり様変わりで、「アレレ!!」という感じだ。ほぼ1年前のリニューアル時に出来たようだ。池袋駅から地下通路で繋がっており、アクセスは悪くない。

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船戸与一の原作は現在文庫本になっているが3冊というヴォリューム。これを戯曲化するのだから、結構大変だったろう。休憩なしの正味2時間半はかなりの長丁場。ちょっとしたオペラ並み。また役者の数が30人以上と、出入りが目まぐるしいから、なかなか全体像が見えて来ない。更にセリフが多く、そして長いから演じる側も相当きつかったろう。前出のK夫人によれば、限られた時間内にできるだけ原作に忠実にセリフを押し込むには、早口しかない、ということで、余計に聴きづらいことに。役者によっては、聞き取り易い声質もそうでない人もいて、聞き漏らしたセリフ、少なからず。

加えて内容がかなり特殊だけに、事前に予備知識をある程度入れておかないと、理解するには骨が折れる。同行した日本語ペラペラのイタリア人も、恐らくチンプンカンプンだったろうに、よく辛抱して最後までつき合っていた。

筋書きは、ネットで見つけたこのサイトに詳しく記述されている。ある程度、実際に起こったことをベースに組み立てた作品らしい。当時(18世紀末、仏革命前後)の世界情勢(ちょっと大げさだが)や、江戸幕府が蝦夷、或は先住民族であるアイヌをどうしようと思っていたかが分かっていないと、この芝居の凄さが分からないことに。

ともあれ、2時間半に亘って長ゼリフをものともせず、舞台狭しと頑張ったキャスト陣と、こんな複雑な作品を芝居に仕立てたスタッフ陣には敬意を表するのみ。

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