ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「トランス」

131021 原題もTRANCE (トランス状態、つまり夢うつつ、催眠をかけられた状態)

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さすがダニー・ボイルと思わせる、まことに痛快なクライム・サスペンス。先の展開がなかなか読めず、最後まで引きずり回されること必定。それに、夢の中の場面と現実の場面が入り乱れて映されるから、途中で結構混乱することに。音響・音楽、それにカメラワーも秀逸。

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⬆競売人サイモン、襲撃を受けて名画を決められた手順に沿って即座に安全な場所へ移動させるが、実は、彼も・・・

最後のどんでん返しも見事でお洒落だ。それに、オークションが舞台の映画って古くは「北北西に進路を取れ」や、やや最近では「トーマス・クラウン・アフェア」、最近では「モネ・ゲーム」など、どれもわくわくするほど楽しい。

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この作品も、オークションでのゴヤの名作「魔女の飛翔」⬆が競り落とされた瞬間、巧妙な手口で犯罪一味が襲撃し、この作品の在処がすったもんだの挙げ句意外なところから出て来て、三すくみの登場人物が最後まで観客を翻弄する。

男どもを手玉に取る催眠療法士エリザベスを演じるロザリオ・ドーソン、結構な迫力を見せる。主演のジェームス・マカヴォイ(グラスゴー出身の34歳)は、最近では、リンカーン暗殺事件を扱った「声をかくす人」では好演したが、どうも顔がにやけ過ぎていて、好きになれない。準主役、ヴァンサン・カッセル、英語、うまくなったなぁ。

エンドクレジットで流れる"Sandman, I'll be there"⬇はロザリオ・ドーソン自身が歌っていて、最後に入るガラスを叩く音は、作中重要な場面に出て来る。 

 ドーソンでなく、スカーレット・ヨハンソンも候補に上ったらしいがドーソンで良かった。

なお、冒頭に響くメロディーは今や懐かしきマンハッタン・トランスファーでChanson d'Amour

 

#88 画像はALLCINEMA on line