ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「青島広志講座 《ベートーベンと友達になろう》」@アプリコ小ホール

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先生の講座はもう何十回と聞いているが、いつも感心しきりで、帰路につく。先生の音楽に対する情熱と、この道、半世紀を超える方に失礼を承知で申し上げれば、その博覧強記ぶり、引き出しの多さ、多彩さには脱帽あるのみ。

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前半はオペラの歴史を大雑把にさらうという趣向で、最も古いとされる1600年の楽曲から、ロッシーニまでを小野勉さんの歌唱をからませながら解説。

後半は、CDを聞きながら、第九第4楽章を細かに分析、よどみなく解説してくれて、まさに目から鱗状態。丁度第九の合唱練習の最中でもあり、どの説明もよく胸に落ちた。

第1楽章が混迷、第2楽章が不安な自身の状態、第3楽章、そうした魂を慰撫する雰囲気を醸し出して、第4へ移行していく、というようなこと(ちょっと違っているかも)を、それぞれの楽章の冒頭部分を聴衆に聞かせて説明していく。

第4では例の旋律が低く静かに、チェロとコントラバスの演奏で始まり、ヴィオラを加えてヴァリエーションが変わって行き、延々第7まであること、楽譜H部分、Alla Marciaは、ピッコロとトライアングルが加わることで明らかにトルコ行進曲であること、合唱は男声を中心に据えていること等など、どれも大変興味深く聞けた。

小難しい話しばかりでなく、必ずちょっと外して小話を随所に盛り込むから、どんなレベルの聴衆からもすこぶる受けがいいのだ。

第2楽章のティンパニーの音で、合唱団の女性歌手が倒れた話しや、最終楽章、あと何秒というところで、ファゴット奏者が心臓発作で舞台上で亡くなった話しなど、ホンマカイナと思わせる実話だそうだ。

また、ソリストたちが実際どんな気持ちで自分の出番を待っているかの心理状態の解説、アルトはほとんど聞かせどころがないこと、ソリスト同士が実は仲が余りよくないこと、などなど、先生はもっと生々しい表現で話されるから、もう抱腹絶倒である。

もっとずーっと聞いていたかったほど。先生は凄い早口であるから、同じ時間でも、他の人に比べれば倍以上の内容があると言っても過言ではないのだ。

最後に、会場全体で、⬇これを歌ってジ・エンド。小学校時代に歌った、懐かしのヴァージョン。(小学生が対象なので、ハ長調で、しかも符点音符がない)

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