ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ゼロ・グラビティー」

131216 原題:GRAVITY  この邦題は上出来だ。91分と短め。(因に90分は宇宙船が軌道を一周する長さとか)米 2013 監督・脚本・製作:アルフォンソ・クアロン(メキシコ人) 脚本には息子のホナス・クアロンも参加。出演:サンドラ・ブロックジョージ・クルーニーの二人だけ。(声では、宇宙もの常連のエド・ハリスも)

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予告編を一目見て、これは絶対見たいと思った作品。映像が何しろ凄い!でも、こんな最新の宇宙映画を見ても、大昔に見た「2001年 宇宙の旅」の斬新さが失われることはない。それぐらい凄いキューブリック作品だったのだ。

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ストーリーは明快の一言。フラッシュバックも何もないから、誰にでも理解可能。スペースシャトルでの作業中に、ロシアが自国の衛星を破壊したことで、スペース・デブリが大量に散乱し、それが猛烈なスピードで90分毎に宇宙空間を周回するから厄介だ。

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果たせるかな、破片が作業中の彼らを襲い、シャトルは破壊され、仲間を失い、今や、ミッション・エンジニアのライアン・ストーン博士(ブロック)と飛行士のマット・コワルスキー(クルーニー)だけとなる。

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漆黒の宇宙空間に漂う二人、果たして地球に帰還できるのか。ほとんど絶望的な状況で、必死の作業をするライアンと、それをサポートするマット。

 

これまで無数のCG作品を見ているけど、これほど精緻を極めた映像を見るのは初めて。実際に宇宙に浮かんでいるような錯覚に捕われ、ライアンに完全に感情移入して、ハラハラドキドキの91分だった。

 

空間に浮遊するのは、楽しそうだが、実際には不自由極まりないことがよく分かる。地上でどれだけ訓練していても、ちょっとした作業の失敗が命取りになる。ライアンが「宇宙なんて、大っきらい!」て怒鳴るシーンが象徴的だった。重力のある生活のありがたさを、劇場を出てからしみじみ味わったよ。

 

どうしてこんな映像が可能だったのか、これまでCG作品を撮った監督たちからも不思議がられたらしいし、宇宙科学者たちも絶賛しているらしい。無重力状態での撮影自体、大変だったのはよく分かるのと、ライトの当て方にも細心の注意を払う必要があったと関係者が述懐している。CG作品としてだけでなく、一般作品を含めても、本年最高傑作の一つであるのは間違いない。

 

主役のサンドラ・ブロックの熱演がスタッフ陣からも絶賛されてたらしい。そりゃ、撮影がどんだけ大変だったかは、想像に難くない。ほんとにご苦労さんだった。先ず肉体訓練に半年を要したと言うから、凄い。このライアン役に、当初アンジェリーナ・ジョリーを当てる予定だったとか。他にナタリー・ポートマンレイチェル・ワイズナオミ・ワッツマリオン・コティヤールスカーレット・ヨハンソンなどなど、錚々たる名前が上がっては消えて行ったとか。

 

それにしても、この作品だけは絶対に3Dで見ないと、作品の凄さが半分も伝わらないと思うね。

 

エンドロールに、special thanksとして、James Cameron, Guillermo del Toro, Alejandro Iñàritu, David Fincherらの名前が。撮影途中で、こうした巨匠たちからいろいろ助言を得たのだろう。また、笑えるのは 途中に突如 a mi mamà, gracias の一行。「ママに、ありがとう!」って、ひょっとしてマゾコンかな、こいつ。

#106 画像はALLCINEMA on lineから