ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」

131226 原題;ROMANZO DI UNA STRAGE(「ある虐殺の話」) 129分 [監・脚]マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ(「輝ける青春」)

 

1969年末、ミラノのフォンターナ広場にあるイタリア農業銀行が爆破され、17人もの死者を出した実際の事件を、独自の視点で掘り下げた社会派実録ドラマ。因に、この年は日本でも学生運動がピークに達し、1月には東大安田講堂攻防戦が展開された。また前年には、パリで高校生を中心にバリケードが築かれ、フランスでも大荒れの年になった。

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⬆担当するカラブレージ警視(ヴァレリオ・マスタンドレア)自身、アナキスト犯人説を疑い始める。

 

結局迷宮入りした事件だが、風化させまいとする名匠が、自ら丹念に、そして徹底的に当時の記録を辿り、自分なりの仮説に立って構築した、重厚なドラマになっている。

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⬆自宅付近の壁にデカデカと「殺人者カラブレージ」の落書きが。ほどなく、この一家に不幸が。

 

当初、左翼アナキスト犯人説が有力だったが、調べ上げて行くうちに担当警視もその線を疑い出す。真犯人にたどり着けないまま、その警視も後に凶弾に倒れるという、いかにも国家的陰謀の匂いがプンプンする事件。真相にたどり着けないままなので、後味、頗るよろしくない。

 

エンドロールに流れるRain and Tearsが挽歌に聞こえる。 

#109  画像はALLCINEMA on lineから