ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

オペラ「ミレイユ」

140209 本邦初演作品。2日目(2/9)の方へ行った。ミレイユとは、フランス人女性の名前。最近は余りはやらないらしいが、シャンソン歌手でいたからねぇ、ミレイユ・マチューが。検索すると、このオペラより、彼女の名前の方が先に出て来ちゃう。Mireille、少々古めかしくとも、きれいな響きの名前だ。イタリアではMirella。そう、ミレッラ・フレーニの。名前の講釈はともかく、シャルル・グノーの作品。

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舞台は南仏プロヴァンス地方。ミレイユが歌うEglise-Sainte-Maries-de-la-Merなどの歌詞や、最終幕で、主人公が荒野をさまよう場面から察するにカマルグ地方と思われる。

 

家格が違うという単純な理由で、添い遂げられない村娘ミレイユと、恋仲の籠作りヴァンサン、両方の親に大反対された挙げ句、ミレイユは大けがをしたヴァンサンの回復を願っての巡礼の途次、奇妙なのたれ死にで、あの世で添い遂げようという、何やら近松ワールドの如き筋立ての、まぁ牧歌的純愛物語。一部学芸会的な場面もあるが、それこそがグノーらしさなのかも。単純というか純粋で分かり易い調べが何より素晴らしい。

 

特に第2幕で、主人公二人が交互に歌うアリアのきれいなこと!そして、終幕のミレイユのアリアも魂をゆさぶるのだ。感動的で、見事な舞台に仕上がっていたと思う。

 

タイトル・ロールの江口二美さん、絶好調で、一段と上手さが加わった印象を強く持った。無論、相手役ヴァンサンを演じる熟達の土師雅人さんも文句のつけようなし。魔女役タヴァンのメッゾ,磯地美樹さんも素晴らしい演唱であった。今回は端役のズボン役、佐藤篤子さん、出番は少なかったが、キラリと光る歌唱を聞かせてくれて満足。

 

舞台も限られた予算(と思う)で、大変創意工夫に満ちた出来映え。敢えて難を言えば、水辺のシーンで、ローヌ川を表現する手法がイマイチ。もう少し何とかならなかったのか、そこだけが残念だ。池田演出も全体に自然な印象で悪くなかった。ラスト、昇天していくミレイユの身体の捻り具合にはチト違和感も持ったけど。

 

主催の東京オペラ・プロデュースは、近年次々と未公開作品を意欲的に取り上げる団体で、これからの公演にも興味津津。そう言えば、例の3.11の時、翌日に中野ゼロホールで「フォルテュニオ」の公演があり、交通機関の乱れが心配されながらも、なんとか間に合ったが、さすがに空席が目立った。今回も前日が大雪というオマケ付き。それでも、前日の公演も満員だったらしいから、大した集客力だ。

 

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