ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「エヴァの告白」

140225 原題:THE IMMIGRANT(移民)ジェームス・グレイの製作・監督・脚本。マリオン・コティヤールに惚れ込んだグレイがわざわざ彼女のために脚本を書いた、コティヤール初の英語による主演作品。それだけに、元々巧い女優だが、この作品での演技はため息もの。勿論、共演のホアキンも負けてはいないが、レナーは少々損な役どころだったか。

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祖国ポーランドから、将来への希望を胸に、妹マグダと目指した新天地。果たして、彼女を待っていた運命とは!

 

20世紀初頭のニューヨークを舞台に、美貌のエヴァを中心に、言葉巧みな口入れ屋、ブルーノ(ホアキン・フェニックス)、その従弟で気鋭のマジシャン、オーランド(ジェレミー・レナー)、3人が織りなす、激しくも哀しい三角関係。

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エリー島での入管時、結核が見つかりそのまま隔離されてしまったマグダ救出には、なんとしてもまとまった金が必要。それには資金源になるブルーノを頼りにせざるを得ないが、その一方、心優しいオーランドに強く惹かれるエヴァ。従兄弟同士の争いが、とんでもない展開を生んで行く。

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見事なラストシーンが心に残る。画面左半分には、遠ざかって行く手漕ぎボートに、エヴァとマグダの姿、右半分の前景には、心も身体もぼろぼろになった、苦悩するブルーノの姿。

 

全編を通してセピア色でまとめ、時代色をうまく醸し出している。エリー島での隔離者を対象に時折開かれる演芸会で、エンリコ・カルーソが登場するシーンがある。ここでプッチーニの「つばめ」(La Rondine)を歌っているのは、マルタ出身のジョセフ・カレヤ。因に、カルーソは1921年、ナポリで没している。

 

 #15 画像はALLCINEMA on lineから