140301 ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第95回
右足首が炎症を起こして、足首全体が腫れた状態に。靴を履くとかなり痛いし、折からの雨。どうしようか迷ったが、出かけることに。いつものように蒲田まで歩いたが、途中から痛みが増して最悪。何とかミューザへ。客席に座ってホッと一息。今日の席は、2階上手で、マエストロの右横顔がよく見える。それにコンミスの大谷康子さんが正面に見える位置。
1。バースタイン(ハーモン編):「キャンディード」組曲 (16min.)
2。チャイコフスキー:幻想序曲「ロミオとジュリエット」(20min.)
ーーーーーーー休憩 (20min.)ーーーーーーー
3。チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調作品64 (50min.)
マエストロ大植英次は初めて聴く。立派な演奏だが、見た目は・・・一言で言えばかなりキザだ。まず衣装がド派手だ。小柄ゆえか、マント風の黒い、それも光沢のある生地で特注したらしいジャケット。金ボタンが5つ。胸には深紅のポケットチーフを垂らしている。
また指揮振りがかなり大げさ。完全にパフォーマンス重視型。演奏中、突如指揮台から下りてみたり、腕を組んでみたりと型破りだ。終演後も四方へ丁寧に挨拶を繰り返すかと思えば、大谷康子さんと大げさにハグを二度三度。そしてやおら真っ赤な薔薇を取り出して大谷さんに。ほかの色の薔薇も次々に取り出して、首席奏者に手渡していた。
当然、聴衆には大受け。この方、確か日本人として初めてバイロイトでワグナーを振ったお人だ。その時の地元での受けはイマイチだったようだが、ま、こういうマエストロも悪くない。クラシック演奏と言えど、エンタータイナーと心得ているのかも知れないし、その意味で、サービス精神旺盛なのだろう。
それにしても、チャイコフスキーの5番は素晴らしい演奏だった。クラリネットのソロが低音で始まる出だしで、ぞくぞくする。2楽章冒頭部のホルンの長いソロは、哀愁に満ちている。軽快で優雅なワルツの3楽章もうっとりする。チャイコフスキーのシンフォニーはどれも好きだが、とりわけ5番は堪らない。
コンミスの大谷康子さん、どんな時もニコニコ笑顔を絶やさず、癒される。オーバーアクションのマエストロにもしっかり気を遣い、ひんぱんにアイコンタクトと取り続けるかと思えば、隣の副主席とも目を合わせるし、楽団全体もしょっちゅう見ている。楽譜を見ている時間は全体の1/3ぐらいの印象だ。コンミスって、ここまでやるのかと、改めてちょっと感動もの。
今宵は目も耳も大喜びのコンサートだった。
#9 画像はインターネットから