ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

フランス印象派の陶磁器 1866-1886 —ジャポニスムの成熟—@パナソニック美術館

140415 旅仲間との飲み会前に新橋で途中下車して小一時間、珍しい美術展へ。印象派の陶磁器という概念がそもそも分からなかったが、こうした分野にもしっかり印象派が存在していたことと、ここにもジャポニズムの影響が及んでいたことが分かっただけでも大収穫。➡展覧会詳細

f:id:grappatei:20140416105755j:plain

f:id:grappatei:20140416105841j:plain

よくぞこれだけ珍しいものを145点も集めて展示してくれたもの。更に10点の印象派絵画まで同時展示というおまけ付きだから嬉しい。

展示品のほとんどはY.&L.D'Albis所蔵。凄いコレクションである。また、製作は多くがリモージュにあるアビランド社か、オートゥイユ工房ということになっている。

アビランド社は、もともとアメリカ在住のユダヤ系米人、David Havilandが1842年に渡仏して、この手法に目を付け、銅版画家のフェリックス・ブラックモンにデザインを描かせて、せっせとこの種の陶磁器製作に乗り出し、1872年、次男のシャルルがリモージュに工場を建てて、事業を更に拡大することに成功した陶磁器製造会社。

一時期、フェリックス・ブラックモンは日本の浮世絵、特に北斎の作品から多くを取り入れ、それを皿や花瓶のデザインに応用し、製品は売れに売れたようだ。デザインとして、訳の分からない漢字風の文字を入れてるあたり、当時の流行だったのだろう。

展覧会は途中から、バルボティーヌ(Barbotine)と称する、かなりゴテゴテしたデザインの陶磁器の展示となるが、そこにもジャポニズムの影響が感じられて面白い。バルボティーヌとは型を用いて陶器を成形する液状陶土を指す言葉で、テラコッタの上から泥しょう(スリップ)を掛け、画家がキャンバスに描くように絵付けが施されるという手法で、愚亭も初めてお目にかかった。日本人の感覚からすれば、やや持て余し気味の作品ばかりだ。

焼き物も、テラコッタから、ファイエンス陶器、Pâte tendreと称する軟質磁器、磁器、陶器と磁器の中間的存在の炻器(せっき)磁器まで、実に幅が広いことに脅かされる。

バルボティーヌの作品に中に、マリー・ブラックモンの作品、「中世風女性図大皿」というのがあった。名前から分かるが、フェリックスの奥さん。あのドミニク・アングルの弟子で、メアリー・カサットや、ベルト・モリゾと並ぶ印象派の女流画家の一人。

他に、当時のテーブルセッティングの展示があり、これは撮影可ということだったので、さっそくカメラに収めた次第。

f:id:grappatei:20140416113435j:plain

f:id:grappatei:20140416113450j:plain

f:id:grappatei:20140416113502j:plain

 ところで、この美術館、汐留と、やや目立たないところにあるが、これまでもキラリと光る、いい展覧会を催しており、今後もデ・キリコやパスキンを取り上げることになっているから、油断ならない。