ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「神聖ローマ、運命の日 〜オスマン帝国の進撃〜」

140428 原題:11 Settembre(伊)、The Day of the Siege:September eleven 1683  伊、ポーランド合作。114分 [製作:脚本:監督]レンツォ・マルティネッリ 初の劇場用映画作品。元々国際的配給のつもりからか、使用言語は英語。

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今から330年前の9月11日に、今のヨーロッパの枠組みに大きな影響を与えることになった大会戦がウィーンで行われたことは、日本人で知っている人は少ない。そもそも学校で教えていないか、教科書でも多分ほんの数行で紹介するのみだろう。

 

前夜、ウィーンの城外にひしめく東洋風のテント、明日こそウィーンのシュテファン大伽藍に緑色のイスラム旗を翻らせようと意気込むオスマン帝国の大宰相カラ・ムスタファ、従う兵数、30万!”黄金のリンゴ”と呼ばれるハプスブルクの本拠地を陥し、一気に帝都ローマになだれ込もうと言う算段だ。

 

そうなれば、キリスト教を奉じる側の総崩れは必至。これに対して、5万の兵力しかいない神聖ローマ皇帝オポルト1世は、もはや心ここにあらず、ただオロオロするばかり。精神的支柱として召還されたのが、これまで数々の奇跡を起こしたとされる修道士マルコ・ダヴィアーノ、そして救援に駆けつけることになったポーランドの名将ヤン3世。⬇

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一進一退の火の出るような激しい攻防の末、ついに・・・。

 

⬇敗れたカラ・ムスターファは、責任を取らされて、愛妻と息子の前であえなく処刑される。

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この作品、海外での評判はボロクソ、10点満点中3点という、これまで見たことのないほどの低評価。原因は主としてCGのひどさと、脚本のひどさの2点。マーレイ・エイブラハムや、イエジー・スコリモフスキという凄い名優が出ているだけに余計もったいないちうことのようだ。

 

16億円ぐらい使ったらしいからそれなりにCGにも金をかけたのだろうが、確かに合戦の場面の描き方がかなり粗雑で、砲弾の炸裂シーンなど、アニメ並みだし、ウィーンの街並もいかにも絵に描きましたと言わんばかりのレベルだから、かなり白ける。

 

ま、それでもこういう大会戦の様子は十分描き切れていたと思うし、名優たちの演技も存分に楽しめたから、よしとしよう。

 

この邦題はひどい!イタリア語の原題、11 settembre(9月11日)では、訳が分からないし、英語の方は少しだけ説明を加えていて、この程度が丁度よい。

 

ところで、キャスティングに日本人らしい名前を発見。

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愚亭とよく似た学歴で、更に調べると、在学中から演劇に興味を持ち始め、イタリアでの演劇活動中に知り合ったイタリア人女性と結婚、更にイタリア国籍を取得して、現在は活動の拠点を向こうに移しているという異色の俳優らしい。

 

 

#35 画像は本作公式サイトとALLCINEMA on lineから。