140614 オペラ「黒蜥蜴」C組公演を見た。いや、黒蜥蜴のオペラ版を見たと言う方が正しいかも知れない。言わずと知れた江戸川乱歩作の原作を、三島由紀夫が戯曲化し、それを更に青島広志氏がオペラ化したというわけだ。原作も読んでなければ、舞台も見たことがないから、およそコメントする資格ゼロ。でも、まぁ青島ワールドは十分に楽しめたから、問題なし。
出演者たちも滅多にないこうした青島ワールドに登場できる機会を楽しまれたようだ。それぞれ芸達者な方ばかりだが、稽古は結構ハードだったんだろうことは想像に難くない。なにせ滅多にないトリプルキャストだからねぇ。主役の緑川夫人を演じた江口二美さんの出来映えは出色だった。こういう感じを出せるオペラ歌手はそう多くはいないと思う。歌も演技も円熟している彼女だからこそと思う。
出演者が巧みなチームワークで舞台を盛り上げたくれた他に、青島ワールドに陶酔したのは、オケ（と言っても、今回はピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ピッコロ持ちかえのフルート、クラリネット、ホルン、トランペット、パーカッションの８人のみ）のアンサンブルの美しさと、重唱がピタッと決まった時の素晴らしさも大きな要因。それに、ビートルズ、タンゴ、「言わねど知る恋心」なども出て来るワ、楽しさ満載プログラム。
冒頭、登壇した青島先生が例によって大変愉快な語り口で、聴衆を散々笑のめす。何でもこの公会堂は先生の幼少のみぎり、ここでピアノ演奏をしたというほどの古さ。控室も極めて劣悪な環境で、男女共用トイレには常にジメッとしているから、きのこが生えているとか。ピアノも照明装置もないから、すべて外部から持ち込んだそうだが、それでもいつになく安くあがったらしい。間もなく取り壊しが決めっているので、今回ここで聴く機会を得たのは、誠に貴重な体験になるだろう。
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