ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「her 世界でひとつの彼女」

140701 原題:her  さすがに邦題はherだけにするわけにも行かず、苦心の跡が窺われるタイトル。世界でひとりでなくひとつとしたところが上手い!

監督・脚本:スパイク・ジョンズ(Jonzeは珍しい綴りだ。尤も本名はAdam Spiegelだから、Jonzeには何かいわれがあるのだろう。「マルコヴィッチの穴」が代表作)

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10年後のロサンゼルスが舞台。主人公、セオドア(ホアキン・フェニックス)はしがないパソコン上での手紙の代筆屋。最近、夫婦仲が冷めているところへ、最新式のOSに興味を覚え、いつの間にかサマンサと称する、限りなく人の肉声に近い声を持つ「彼女」と親しくなり、やがてサマンサとのヴァーチャルな恋に溺れて行く。所詮、形がない「相手」、結末は知れている。やがてサマンサが相手をするユーザーがゴマンということを知り、昔馴染みの生身の女性とよりを戻すところでジ・エンド。

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⬆妻、キャサリンルーニー・マーラ)と離婚届にサインした後、OSの「彼女」のことを話すと、「あんたバッカじゃないの!」といきり立つキャサリン。ま、これが普通のリアクションだろう。コンピューターに盗られちゃったわけだからな。

ロサンゼルスが舞台なのに、何故か上海で撮影していて、高層ビルにも漢字が混じったり、地下鉄車内や構内に中国人がうじゃうじゃ行き交い、かなりの違和感。何故、わざわざ上海まで行って撮影したのか不可解。

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昔馴染みのエイミーエイミー・アダムスといると安らげるセオドアホアキン・フェニックス⬆はラスト・シーンの伏線

主役のホアキン・フェニックス、さすがというか、どんな役でもこなせる上手さは格別だ。それと声の主、スカーレット・ヨハンソンのハスキーな声が素晴らしい。元々、サマンサ・モートンがやる役で、従ってOSの名前もサマンサと命名。ところが編集段階で、どこかが違うと感じた監督が、モートンの承諾を得て、急遽スカーレット・ヨハンソンに差し替えたようだ。ただし、OSの名前はサマンサのままとした。役は消えたがOSにだけは名が残ったというわけ。

 

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画像はALLCINEMA on lineから