ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

フェスタサマーミューザも、今年はこれでおしまい

140809 最終回は明日だが、自分が行くのはこれが最後の演奏会。ほぼ一日おきに6回通ったことになる。さすがに台風が近づいている怪しい空の下、今日の入りは7分ぐらい。

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昭和音大のみなさんの登場。ソリストも同大を卒業したばかりの気鋭。登場する団員を眺めていると、女性が圧倒的に多く、全体で7割ぐらいの印象。弦だけに限ればほぼ8割が女性である。衣装も結構それなりに金をかけているようだ。やはり、彼らにとっては、今日は晴れの舞台だろう。

さて、下手から指揮者、斎藤一の登場となるが、アッと驚く真っ赤っかだ。上も下も。

f:id:grappatei:20140810144526j:plain上も真っ赤なシャツで、下はまさにこの通り。下の方にはフリルまで付いているド派手なもの。長身、イケメンだから、ま、これが結構キマっている。前半は軽めの演目なので、敢えてこんな出で立ちにしたのだろうが、およそクラシックのコンサートでは、これまで見たことがない絵柄となった。

1曲目、エル・サロン・メヒココープランド)はいかにもメヒカーノ風の賑やかな曲想で、この衣装にピッタリ!ただ、変拍子だらけだから、演奏する方は結構大変だったと思う。途中、バス・クラリネットファゴットが同じメロディーを吹く場面もあったが、見事だった。それからトランペットの上手さも光っていた。Brava!だ。

2曲目のラプソディー・イン・ブルーは、冒頭のクラリネットが勝負だが、これがまた上手かった。1曲目のソロパートでは、一瞬ヒヤリとするところもあっただけに、見事に立て直して来た。

そしてピアノの細川千尋さん。あのモントゥルーのジャズ・フェスティヴァルでのピアノ部門ファイナリストというんだから、えらいもんだ。シャンパン・ゴールドのヘアーバンドで長い髪をきりりと束ね、チュチュに近いフリルのいっぱい付いた白っぽい短いドレス、ヘアバンドと同色のシューズだから、これも一般的なクラシックコンサートでは余り見かけないスタイル。ま、ジャズに近い演奏だから、これもあり、と言うか、この方が合っているのかも知れない。

彼女の演奏はまさにジャズのそれで、ノリノリで弾きまくる。演奏しながら、口を大きく開けたり、表情豊かで、時に官能的ですらある。完全に自己の演奏に陶酔し切っているかのようだ。割れんばかりの喝采でソロ演奏を終えた細川、2度目のカーテンコールで、既にアンコールを弾くそぶり。それを何とかマエストロがなだめて、大活躍だったクラリネット奏者らを立たせて拍手を浴びさせていた。

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3度目のコールで、やおらピアノに座り直し、豪快に、繊細に弾き始めたのが、自作の"THANKS"で、これにはほとんど忘我というほどに聞き惚れてしまった。ま、並の才能の持ち主でないことが分かった。上原ひろみ的と言ったら、怒られるかな。

後半は一転、バリバリのクラシック。チャイコフスキーの5番。

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さすがにマエストロ斎藤、今度はオーソドックスないでたちで登場。ただ、この人⬆の写真でも分かるが普段からかなり派手目の格好を好むタイプらしい。いかにも持てそうなタイプではないか。

チャイコフスキー交響曲5番、渾身の演奏は、やはりとりわけ管ががんばった。ラプソディーに続いてクラリネットが大活躍。何故か3本も持って登場。(A管とB管だけと思っていたのだが・・・)第3楽章、「野辺の風景」でのイングリッシュ・ホルンと、舞台裏のオーボエの掛け合い、第4楽章「断頭台への行進」での鐘、そしてファゴット、第5楽章「魔女の夜宴の夢」でのバイオリンのコル・レーニョ、どれもしびれまくった。それにつけても、まことに聞き所満載の一曲。

#41 画像はウェブからお借りした。