ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「カオミセ」と言う名の・・・

140820

f:id:grappatei:20140822095412j:plain

①初めて多くの人に顔を見せること

②遊女などが初めて勤めに出る時、揚屋や客などを回って挨拶すること

③顔見せ狂言の略

というのが"顔見せ"の意味とか。(広辞苑

本ケースは当然①以外はあり得ない。お二人ともそれぞれ数多く活動されてきているのだが、数年前にご結婚され、当初は敢えてそれを公表せず、知る人ぞ知るという状況。昨夏、京都での「マダム・バタフライ」公演時に合わせるようにして、写真付きでSNS上で公表。以来、初めての本格共演ということから、このネーミングになったのではと想像している。

青栁さんは福岡、二美さんは滋賀のご出身で、数あるオペラ歌手同士のカップルの中では、今がまさしく最も旬なお二人だろう。それは、選曲からも窺い知れる。

f:id:grappatei:20140822100613j:plain

一般的には前半は日本歌曲等、やや抑えめに、後半は一転、オペラセーリアのアリアを盛り込んで、一気に盛り上げていく趣向が多いのだが、客層を十分吟味して、良く練られた苦心の選曲だ。

それにしても、お二人ともトークが絶妙で、終始会場は笑の渦。お笑いの席に紛れ込んだかと錯覚するほどよく笑った。この辺がこのカップルの真骨頂だろう。

どれも心に残る演唱だったが、とりわけ青栁さんの「ある日、青空を眺めて」は秀逸。この人の、輝かしいスピントの声で一度アンドレア・シェニエを聞きたいと思っていたところ、これで一部念願が叶った訳だ。

一方の二美さん、このところ、芸域をじわじわと広げ、初役に果敢に挑戦していて、頼もしい限り。今冬は、再び京都春秋座で「椿姫」の本公演を控えていて、どんなヴィオレッタが見られるか聞けるか、今から楽しみである。

#43