ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ラ・ボエーム」@アニェッリ・ホール

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CUORE D'OPERA (クオーレ・ド・オペラ、本来はクオーレ・ドーペラが正しいが、敢えてオペラを切り離して和名を作ったのだろう)という団体の2度目の公演。

これまた低予算での公演で、あちこち苦労されたようだ。伴奏はピアノ、バイオリン、チェロ。指揮はローマ出身のマッテーオ・ヘルファ(49)演出は、この団体の主宰者の一人でもある井田邦明。音楽監督は藪西正道

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主役級の4人は若手の実力派。いずれも素晴らしかった。藤谷佳奈枝は初めて聞いたが、低音から高音まで、安定して力強い発声が魅力のソプラノ。「私の名はミミ」では、喝采が凄かった。

ロドロフォの宮里直樹、日伊コンコルソや東京音楽コンクールで聴いたことがあり、その頃からの注目株。小柄ながら、体型的にもパヴァロッティ2世風。「冷たき手」の♪Speranze・・・♪のハイCも難なく。Bravisssimo!!!

マルチェッロ役は杉浦隆大。大柄な体型に似ず、やや軽めの声質のバリトン。これまた期待出来そう。

佐藤優がムゼッタを演じるのは初めて聞いたが、さすがに見事にこなしていた。着実に力をつけている。素晴らしい演唱だったのに、このアリアは、後にすぐ演奏が続くから、BRAVAも喝采も出来ず、そこが残念至極!

低予算ゆえ、舞台は簡素そのもの。コスチュームに合わせた淡い色調のオブジェ風の装置と、椅子とテーブルだけというもの。しかも、出演者がこれらの移動も自分たちでやるのだから、結構大変そうだ。

このホール、イタリア文化会館地下2階にあることで、音楽会より講演会などに多用するホールだが、音響も決して音楽専用ホールにひけを取らない。このホールが好きな点は、他にも椅子のデザインと座りよさにある。イタリアン・デザインの真骨頂。

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