ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「わたしは生きていける」

140903 原題:HOW I LIVE NOW (今をどう生きるか、と言うよりこれからどう生きていこうか、ということか)英国映画、101分 [監]ケヴィン・マクドナルド、[出]シアーシャ・ローナン、ジョージ・マッケイ(先日観たばかりのスコットランド製ミュージカル「サンシャイン/歌声が響く街」に出演)

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第3次世界大戦を扱っているからSFの筈だが、そうした雰囲気は寧ろ希薄だ。敢えてそれを薄めたのだろうと読み取れる。それより、どちらかと言えば、青春ドラマの印象が強い。

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ニューヨーク在住のデイジー(エリザベスが本名だが、そう呼ばれることを嫌悪している)、伯母の住むスコットランドで一夏を過ごすことになる。そこは、彼女の想定外の環境で、すっかり落ち込んでしまう。⬇スコットランドのいとこ達と。

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鼻にピアス、濃いサングラスにヘッドフォンというスタイルで、いつもどこか身構えている16歳。従兄弟たちや、伯母から声をかけられてもろくな返事を返さない。

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それでも日が経つうちに、すこしずつ心を開き始めると同時に、最年長のエディー(マッケイ)にほのかな恋心を抱き始める。居心地が良くなり始めたと思ったら、ある日、聞いたことのない大爆音と同時に夏だと言うのに、白いモノが降り始める。何と、ロンドンが核攻撃を受け、第3次世界大戦勃発をテレビが伝える。

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後半は、この家の主である伯母がジュネーブの国際会議出席中で、残された子どもたちだけが辿る悲惨な運命を描き、敵の目を盗み、夜の野山をさまよう過酷な展開が待ち受ける。そして、その先には・・・。

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シャーシャ・ローナン見たさに観に行ったような作品。前半はハンディーカメラ多用で、登場人物の細かい動きを鮮明に伝え、後半の逃避行では、一転してカメラを固定、望遠多用で、美しい大自然(実際にはウェールズアイルランドで撮影したらしい)を背景に必死で敵から逃れようとする主人公の姿を克明に追う。

シヤーシャ(Saoirseと綴ってこう発音させるのは、彼女がアイルランド出身で、親がゲール語で命名したため。その親であるポール・ローナンも彼女たちを追いつめる敵の一人で登場。あえなく”娘”の銃弾に倒れるが)は、撮影時18歳、前半の顔つきと、後半のそれはまるで別人のように変容している。まさしく、人生で最も多感な時期での成長の姿を描きたかったのかも知れない。

#73 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから