140917
10月13日までパナソニック美術館で開催中の「建築家ピエール・シャローとガラスの家」展のブロガーナイトに参加した。水曜は閉館日なので、5時半から約2時間、ブロガー約30名に解放され、更に学芸員から丁寧な解説をいただいた。
ピエール・シャローは20世紀初頭、フランスで活躍した建築家にして、工業デザインやインテリアにも才能を発揮したクリエーター。アール・デコを出発点に、その後、同世代の画家や建築家たちとの交流を通じて、独自のコンセプトを展開した。モビリティ(可動性)や、開放感を追及して独自の世界を構築した。ユダヤ系ゆえ、晩年はアメリカに亡命したが、ほとんどの作品はフランス時代のもの。
親交のあったル・コルビュジエと異なり、自身,絵の制作はしなかったようだが、ピカソなど、キュービズムの作品を数多く蒐集していたらしい。
冒頭、館長(左側)からのご挨拶に続いて、学芸員の大村理恵子氏から、当時の逸話なども含めて、大変詳しい解説をいただいた。特に、今回の目玉であるパリ6区のガラスの家は、ご本人も実際に見学しているので、殊更細かい説明があった。
設計図や手書きスケッチ、写真など、細かいものも含めると、凡そ200点の展示は、見応えがあった。
こうしたライティング・デスクなどには、天才的な工夫を凝らし、機能性を極限まで高めているだけでなく、同時にアーティスティックな美も追及していることがよく分かる。
ドレッサーにも機能美満載。
実際の座り心地はどうか分からないが、見とれるほど美しい。手前の椅子は折りたたみ式。⬆⬇こうした作品は、素人目には、同じくモダニズムの旗手、バウハウス出身のハンガリー人建築家でデザイナー、マルセル・ブロイヤーを思わせる。
⬆鉄と木の融合。スッキリしているだけでなく、使い勝手も良さそう。ただ、椅子に背もたれがないので、一服したい時はソファにでも移動するしかないかも。
ガラスの家は、既に持ち主が替わっているが、6区のサン・ギヨーム街33番地に健在。奥まったところにあるので、google street viewを使っても見ることが出来ない。現在は原則的に見学は不可。明るく開放的・機能的で、ガラス、細い鉄骨、木を用いているところは、コルビュジエにも共通すると感じた。
ピエール・シャローは一部の専門家以外には、日本では余り知られてないようだが、建築、インテリア、工業デザインに興味のある向きには必見の展覧会。会期が残り少ないのので早く行った方がいいよ。
写真は、一部同美術館のhpからお借りした。その他の画像は、特別な許可を得て撮影したもの。