ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

モーツァルト・マチネ 第18回@ミューザ川崎

140928

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軽めの選曲で、トータル正味1時間15分というショート・コンサート。いずれもモーツァルト10代半ばの作品ばかり。

11時開演ということは、10時半前には家を出る必要があり、日曜日の朝でものんびりしていられない。さすがに、あの会場だと、1階席と2階席のみの販売。それも2階の正面と両側も途中までに限定。楽団の方も小振りの編成。シンフォニー#25も、ほとんど弦楽のような響きで、金管はホルン3本のみで、木管もフルート、クラリネットは含まれない編成だから、ま、丁度良いと言える。

演奏する側も午前11時開演となると、結構いろいろ大変だったろう。でも、器楽だから、声楽ほどの制約は受けなかったのかも知れない。

2曲目のファゴット協奏曲は東響の首席奏者である福士マリ子さんの独奏。小柄な(154cmぐらい)方が、135cmもある楽器を持って登場すると、ちょっと気の毒なような滑稽なような印象を与える。立ったままの演奏で、結構な重量もあるだろうから、細い肩にずっしりと支え紐が食い込んでさぞや大変だったろう。

そんな余計なことを考えながら聴いていたが、テクニックはしっかり発揮して、立派な演奏だった。ダブルリード方式だから、オーボエと同じ。ファゴットの色がまた実に見事なボルドーカラーで、工芸品のよう。真っ黒けなクラリネットや、オーボエと異なり、実に粋な色である。

モーツァルトはあらゆる楽器のための独奏曲を作曲しているが、ファゴットだけでも5曲もあるとか。そう言えば、彼が嫌いだったトランペットの為にも協奏曲を書いているし、これもまた名曲だから、大したもの。

3曲目の交響曲25番は、例の「アマデウス」の冒頭に登場することで、一層知れ渡った観があるが、2楽章、3楽章はそれほど馴染みがない。それでも、少し寂しい感じはするけど、全体にとてもチャーミングでいい曲である。モーツァルトは41も交響曲を作っているけど、短調はこの25番を含め2曲しか書いていないそうだ。

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