141006 日本・スイス国交樹立150周年記念事業として企画された本展覧会は10/7~1/12、国立西洋美術館にて開催中。
プレス/ブロガー対象の内覧会に招待され、上野まで出かけた。ちょうど台風18号が東京をうまい具合に通過してくれたので、なんとか間に合って到着。
パウル・クレーやジョヴァンニ・セガンティーニなどと並んでスイスの国民的画家らしいが、当方、ホドラーについては、辛うじて名前を知っている程度で、ほとんど知識なし。
画家としての出発点は、観光客向けの土産物としての絵画だったそうだ。確かにその時代の風景画を見ると、絵葉書のような作品が多い。そんなこともあり、前半の作品はそれほど感心するようなものは多くない。
因みに章立ては、以下の通り。
風景画に始まり、人物画、それも雄大なスケールの壁画にも大きな足跡を残し、そして晩年は再び周辺の風景画をよく描いた一生だったようだ。リズムと反映をテーマにしたと解説にある。
こうした連続性のある群像画を多く描いていた時期。
雲の、絶えず動いていく姿に大きな関心を寄せていたらしく、こうした不思議な形の雲を描いた作品が少なくない。山の描き方にも独特のものがある。太いゴツゴツした線を大胆に用いて、山の凄みを表現している。
最晩年の作品。左側は生涯を通じての連れ合いである女性の遺体。死の床に伏してから、スケッチを重ね、そして彼女の最期までを描いた。右はレマン湖とモンブランという、これぞスイスという景色を描いている。手前の白鳥の描き方などに彼の独自性が色濃く出ている。
1985年に父ばかりでなく、母親と兄弟ぜんぶを結核で亡くす。以後、常に死を意識するようになるホドラー、形のあるものより、人間の内面や精神性を重んじる象徴主義的絵画を好んで描くようになる。⬆️この作品もその一つ。右足が空中に浮いているように見えるのは、身体の傾きや背景の処理に問題があるのかも知れない。
ホドラーの後期の作品を見て思い浮かぶのは、彼より少し遅れて登場したオーストリアの世紀末画家、エゴン・シーレやグスタフ・クリムトで、ホドラーの影響を受けたであろうことが想像される。
午後2時前だが、台風一過の青空。俄かに暑くなってきた。
今回、内覧会だが、撮影は残念ながら禁止。その代わりというか、⬇️ずっしりと重いこんな立派な図録と、招待券をいただいた。
作品の画像は、国立西洋美術館のホームページからお借りした。