ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「やさしい人」

131112 原題:TONNERRE (ブルゴーニュ地方の寒村の名前。雷鳴の意味も)フランス映画 100分 監督:ギヨーム・ブラック(47歳で、これが3本目) 主演:ヴァンサン・マケーニュ

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パリでロックバンドを組み、多少は名を知られたこともあったが、それはもう昔話。ワケありで去ったはずの実家へ戻って来るマクシム⬆️。仕事もなくダラダラ過ごす息子に何かと世話を焼く一人暮らしの父親。

ある日、マクシムは地元紙の女性記者のインタビューを受けたことがきっかけで、メロディーというこの女性と親しくなる。彼女の元カレは地元サッカーチームのスター選手。それが、見栄えもパッとしないマクシムと、アッという間に深い仲に。

だが、ある時を境に彼女と連絡が取れなくなり焦るマクシム。元カレと寄りを戻していたことを知り、ストーカーまがいの、驚くべき行動に出るのだった。メロディーを取り戻したいと同時に、自分を匿名メールで”ロリコン野郎”と罵倒した元カレを何としても許せない。

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そこからの展開は・・・見る者の予想とは懸け離れたものだった。それにしても、女心は分からない。タイトル通り、マクシムがメロディーにとって、文字通り”やさしい人”だったからなのか。

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危うく禁固10年を免れた息子を暖かく迎える父親、ケーキを焼いたり、シャンペンを出したり、嬉しさを隠しきれない。

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要所要所で出てくるこの犬の演技が凄い!クレジットにもベンジーという名前で登場するから、結構な人気犬なのだろう。

思えば、パリのような大都会でプチ成功を収めたばっかりに、己の才能を過信してしまい、もはや風采の上らない中年男なのに、少女のようなウブな娘に熱を上げてしまい、果てはストーカー寸前まで行ってしまう、ちょっとおかしな哀愁漂う作品に。それを象徴するかのような、この犬とのツーショット。

#90 画像はALLCINEMA on lineから。