ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「マダム・マロリーと魔法のスパイス」

141118 原題:THE HUNDRED-FOOT JOURNEY(100フィートの旅)インド・米合作 122分 原作はポルトガル生まれのアメリカ人、リチャード・モライスポルトガルの姓)。製作:スティーブン・スピルバーグ、監督:ラッセ・ハルストレム(スェーデン人)、出演:ヘレン・ミレン(イギリス人)。邦題からすれば、彼女が主演だが、内容的には、主演は寧ろ天才的料理人ハッサンだろう。

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代々ムンバイで料理屋を営むハッサン一家、暴動でレストランと母親を一気に失い、一家で欧州へ亡命することに。最終的に着いた先は南仏の小さな村。そこで開業するが、そこはミシュラン掲載の地元随一の名門レストランの真向かい。さあて、どう対抗する?しかも、経営者はやり手のマダム・マロリー。どう見ても勝ち目はない。

しかぁし、そこはショーバイ上手なインド人。パパにはとっておきの秘策が。

一歩も引かないやり手マダムと、インド魂の壮絶な戦いが勃発。ド派手な電飾と近所迷惑な大音響のインド音楽、食材の争奪戦あり、夜中の火付け事件ありと、地元町長まで巻き込んでの騒動に発展。

ところが、意外な形で、騒動も終焉を迎る。そこには天才的な料理の技を見せるハッサンと、マダムの店の副料理長マルグリットが密かに心を通わせていくという隠し味が。さわやかなエンディングで、幸せな気持ちで映画館を後にできる作品。

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マダム・マロリーは、どうやらイギリス人という設定らしい。これを演じるヘレン・ミレンの仏語はほとんど母国語同様。そうなると、料理人を集めてのスピーチを英語にする理由が分かりにくい。あんなど田舎で、英語を普通に喋れる料理人など余りいないとから、どう見ても不自然だ。ただ、インド人一家は、全員ヒンズー語以外に英語を普通にしゃべれるから、彼らとのコミュニケーション上、全体を英語にしていると考えられる。米印合作で、舞台だけが仏だしね。

ハッサンが認められて、パリの超高級レストランの料理長にまで駆け上る舞台になっているレストランは、ポンピドゥセンター最上階にあるレストランらしい。

この邦題だが、ちょっと無茶苦茶過ぎないか。まるでハリー・ポッター並み。原題が「100フィートの旅」、つまりハッサンのいるレストランから向かいのミシュランの星付きレストランまでのことを言っていて、飽くまでも主人公はハッサンなのに、これを演じる俳優が余り知られてないからか、ヘレン・ミレン演じるマロリー夫人を主人公に仕立てたということで、これじゃ原作者を含めて、製作者側も気に入らないだろう。

シャルル・アズナブールのこの曲(Hier Encore)が効果的に使用されている。

#92 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから