ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

LEO NUCCI バリトン・リサイタル@芸劇(池袋)

141125 久しぶりに”巨匠”を聴いた。この人、現在72歳。体力勝負のオペラ本公演は無理にしても、こうしたリサイタルでは、ますます元気!いきなり「私は街の何でも屋」と来た。かなりの高音をガーンと響かせて、場内割れんばかりの拍手喝采である。

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字が小さすぎて見にくいが、初舞台は1965年、「アドリアーナ・ルクブルール」の家令役だそうだ。そして、それから四半世紀後、1989年、カラヤンが振る「仮面舞踏会」で歴史的名演を果たしたとある。当たり役、リゴレットは公演数1000回以上!!しばしば来日していて、今日の姿を見ていても、やはり日本と日本人が好きなのでないかと思った。

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後半にシェニエの「国を裏切る者」と、ドン・カルロの「終わりの日は来た」があるが、全体的にちょっと寂しい。

ナポリ民謡は、なんたってテノールが歌ってこそである。悪いけど、バリトンのそれは聴きたくない。と思っていたら、なんとアンコールに5曲ぶつけてきた。計算尽くなのだろうが、驚くなかれ、リゴレットの「悪魔め、鬼め」、続いて仮面から「お前こそ心を汚すもの」という、バリトンとしての最高のアリアを入れたではないか。他は定番の薄情け(カタリ・カタリ)と忘れな草。これらが日本で受けることはよく知っているが、ま、無理して歌うことはなかった。仮面で止めておいてくれた方がはるかに格好良かったんだがね。サービス精神が少し裏目に出たかも知れない。

さて、伴奏だが、イタリアン・オペラ・チェンバーという小編成楽団。ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、ピアノ、ハープの6人編成。ピアノ奏者のマルカリーニさんが編曲も担当しているらしいが、これが素晴らしい!ヌッチの合間にインストゥルメンタルが交互に入るが、うっとりするほど素晴らしい音色を奏でてくれた。ニーノ・ロータ・メドレー、よかったなぁ〜。「道」、「甘い生活」、「アマリコルド」、「8½」

ところで、久しぶりに芸劇大ホールに入ったが、2年前に全面改装したこと、知らなかった。以前より木(もく)のパネルを多く施し、全体に温もりを感じる内装になっているし、音響もよくなったように感じた。そして、今回のようなこじんまりした演奏会では、東京文化会館のそれによく似た背景パネルがうまくパイプオルガンを隠していて、インティメットな雰囲気を醸し出している。

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