ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「イロイロ ぬくもりの記憶」

141219 原題:ILOILO (フィリピンの地名)2013 シンガポール映画 99分 監督・脚本:アンソニー・チェン(30) 長編デビュー作とは思えぬほど見事な出来栄え。

設定はアジア経済危機の1997年のシンガポール。まずまずの暮らし向きの平凡な華僑系一家。一人息子(10歳ぐらい)ジャールーのやんちゃぶりに悩む共稼夫婦。家事、育児が思うように行かないので、余り経済的余裕はないが、メイドとしてフィリピン人女性を住み込みで採用。よくある話だ。このフィリピン女性テリーの出身地がイロイロというフィリピン中部ビサヤ諸島の町というわけだ。

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果たせるかな、ジャールーは新米のメイドになつかないばかりか、散々いたずらを仕掛ける始末。それでも、フィリピンに残してきた一人息子のことを思って、粘り強く面倒を見るうちに、次第に打ち解けるジャールー。やがて二人の間には母と息子のような親密な関係が。

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一方、父親はリストラに遭い、車や自宅も手放さざるを得なくなったり、母親は親しくなっていくメイドと息子にある種嫉妬心が芽生え、苛立つ日々。

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平凡な一家の、平凡な日常を切り取り、親子や、家族の機微をさりげなく見せる手腕は大したものだ。

#101 画像はALLCINEMA on lineから