ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「博士と彼女のセオリー」

150326 原題:THE THEORY OF EVERYTHING 英国作品 124分 [監]ジェームズ・マーシュ(「シャドウ・ダンサー」2011)[原]ジェーン・ホーキング

このところ、続けて英国を舞台にした英国映画を見ることになった。それにしても、レッドメインにこんな演技されたら、さすがのカンバーバッチもたまったもんじゃない。相手が悪すぎた。同じ年の作品だったのが、カンバーバッチには不運だったとしか言いようがない。

ついでに、この二人は普段からの仲良しで、カンバーバッチは2004年、テレビドラマ版で、ホーキング博士を演じている。これも奇縁だ。

普段、車椅子姿でしか見たこのないホーキング博士エディー・レッドメイン)の、ジェーン夫人(フェリシティー・ジョーンズ)との出会いから今日までを、夫人が書いた原作を映画化したものだが、いくら夫とは言え、現在生きている、それも世界的な天才をこれほどまでに丸裸にしちゃって作品にする勇気には恐れ入る。彼は学問的には天才でも、人間としては、極めて凡庸。IQとEQはまったく違うということ。それでこそ、また魅力ある存在なのだろう。

彼がケンブリッジで天才的宇宙理論を発表するも、ほどなくASLを発症、せっかく恋仲になったジェーンに告白して、自暴自棄になりかかる。そんなことは意に介さないから、絶対自分と一緒になって欲しいと懇願するジェーンという女性の気迫には圧倒される。

彼女の献身的な世話もあり、不自由な身体にもかかわらず着実に専門分野での実績を積んでいく博士。しかし、やがて子供の世話が加わり、さすがのジェーンにも、精神的肉体的負担がずっしり。こうした環境の変化が、二人に劇的な人生の転機をもたらすのだった。

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⬆︎ホーキング博士と主役の二人。

やがて声まで失った博士の前に現れた言語療法士アイリーンが、なにくれと身辺の世話まで焼くようになったある日、郵便物の整理をしていると、中に「ペントハウス」誌が。「友達に頼まれて」と言い訳する博士に、「男はこういう場合、そういう言い訳をするって、知っているわよ」と軽くいなされて、「なら一緒に見ましょうよ」とアイリーン。もっとも微笑ましいシーンだ。

#19 画像はALLCINEMA on lineから