ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

吉川健一バリトン・リサイタル(Super-Reclining Concert#104)@HakujuHall

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このホールも久しぶりだが、この方を聴くのも、実に久しぶり。ひどく印象に残っているのは2005年の二期会新年会で、鮮やかエメラルド色のブレザーを着て登場、羽山弘子さんと二重唱。多分、この年の二期会公演「魔笛」でデビューすることになるので、例の「パパゲーノのアリア」を歌ったようだ。その時撮影した画像が残っていた。(ちょっとピンぼけだが)

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それからちょうど10年、まだ30代というから驚くが、成長ぶりにも瞠目あるのみ。歌唱の進化もさることながら、この人、3年もイタリア留学したと言っていたが、そのせいかどうか、ちょっとしたしぐさやしゃべりの巧みさがちょっと日本人離れしていると感じた。明るさは本来持っているものなんだろうが、留学でいいものを手にいれたようだ。

アンコールは3曲。ファルスタッフからフォードのアリア、"È sogno? o realtà" (これも絶品で、Bravo!!!)、大中 恩の「ところでトッコちゃん」、「ふられおとこ」という珍しい演目で大喝采のうちにリサイタルを締めくくった。

伴奏の石野真穂さん、意欲的に新境地を拓いている美貌のピアニストだが、吉川さんの持ち味もよく心得ているらしく、プログラム最後の演目、ミュージカル「レ・ミゼラブル」も彼女の勧めで最後にもってきたことを打ち明けていた。

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ところで、このホールだが、タイトルにあるように1列おきにリクライニング、それもかなりの傾斜のシートが設けられていて、ゆったり、時には居眠りしながら楽しんでもらおうという、実に珍しい趣向のホール。

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ただ、見ていると女性は、ほとんど背もたれを普通の位置にも戻して聞いていた。果たして舞台から見るとどんな景色になるんだろう。吉川さんは、「おはようございます、みなさん!」とささやき声でスタートし、「ここから見ていると、ふんぞりかえった皆さんの鼻の穴がよく見えます」と笑わせていたが。

もしかすると、自分も眠るかなと思ったが、やはりいびきを警戒してか、とてもそんな気分にはならなかった。

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