150512 原題: THE TRIP TO ITALY 英 108分 [監・脚]マイケル・ウィンターボトム [出]スティーブ・クーガン、ロブ・ブライドン(日本デビュー)
2010年、同監督のTHE TRIP「スティーブとロブのグルメトリップ」(日本未公開作品)の第2弾という位置付け。今度はイタリアを、北部ピエモンテからカプリまで5泊6日という行程で、黒いミニクーパーで巡る旅。バディー・ムーヴィーであり、ロード・ムーヴィーで、かつグルメ旅。
この作品、脚本もウィンター・ボトムが担当しているが、ほとんどアドリブではないかと思う。主演の二人に自由にしゃべらせている印象が強い。
お洒落なホテルに泊まって、地元の、決して豪華ではないけど、味わい深いリストランテやトラットリーアで豪快に食べ、飲み、そしてとりとめもなく喋り捲る。ただ、それだけの話だが、合間合間に二人の抱えている問題や家族の話が巧妙に隠し味的に登場する。
そして、なにより二人の会話の中心は圧倒的に映画の話。俳優の話がふんだんに出てきて、とくにロブの方がモノマネの名手で、たまたま見ている映画だったり、知っている俳優なら、結構笑える。だが、そうでないと、少しばかり白ける。
マーロン・ブランド、アル・パシーノ、ヒュー・グラント、マイケル・ケイン、など次から次へと、よくもまあ、という感じである。「ダークナイト・ライジング」が好きらしいロブ、長々とマイケル・ケインを真似る。イギリス人だから真似やすいのだろう。
トム・ハーディーのこもった声で、二人で散々盛り上がる場面は相当笑った。中には、モノマネじゃないが、「ジュード・ローになれたらな」、「奴は禿げているぞ」、「でも男前じゃないか。」「根っからの若はげだ」など、「オイオイ!」というやりとりも出てくる。
007シリーズでジェームズ・ボンドを演じた俳優のほとんどはEnglishじゃないと言い始め、二人で一人ずつ挙げ始める。確かに、ショーン・コネリー(スコットランド)、ジョージ・レイゼンビー(豪)、ロジャー・ムーア(イングランド)、ティモシー・ダルトン(ウェールズ)、ピアース・ブロスナン(アイルランド)、ダニエル・クレイグ(イングランド)と、6人中2人と確率は高くない。
映画に精通するイギリス人が見たら、間違いなく抱腹絶倒の2時間だろうが、一般的日本人なら、この映画のよさがあまり伝わらないのではないか。ちょっとモッタイナイ気もするが、ま、せいぜい景色や出てくる料理の数々を目で愛でるしかない。空腹時に見ると、たまらない。
#29 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから。