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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ダブル・インパクト」明治ニッポンの美@東京芸大美術館

美術

150515 会期が残り少なくなって慌てて仕事前に上野へ。

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何がダブル・インパクトなのかは、⬆︎の公式HP上の解説で明らか。確かに、突如流入し始めた西洋文明にたまげた当時の日本人だが、同時に来日した西洋人たちも、未開・野蛮と思っていた日本と日本人の質の高さにたまげた筈である。実にうまいネーミングの展覧会。ぎりぎり間に合って行ってよかった。何しろ、それぞれの美術館の膨大なコレクションから選りすぐった作品群150点が集結しているから、この機会を逃すのはもったいない。

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どこか別の展覧会で見た覚えのある高橋由一(1828-94)の「花魁」(1872)。覚えたての西洋画の技術を試して、嬉しくて仕方ない姿が浮かぶ。

f:id:grappatei:20150517135433p:plain旭玉山(1843-1923)|人体骨格|

研究に研究を重ねて、創り上げた骨格。各部位はすべて動くように出来ている。

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高橋由一の浴湯図(1878)。西洋人には衝撃的な当時の入浴風景。ワーグマンの作品を由一が模写したらしい。こんな絵を見た当時の日本人はもっとびっくりしただろう。

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橋本雅邦(1835-1908)|雪景山水図|ボストン美術館所蔵

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高石重義(生没年不詳)「龍自在」全長2メートル、すべての関節や胴体が動く自在置物として、世界最大。

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外国人ファンが多かった河鍋暁斎(1831-89)の「地獄太夫」。左上で踊り狂っているのは暁斎自身か。

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ボストン美術館所蔵の、これがまた大変な一品。上に乗っている水晶の大きさにも驚くが、台座がまた凄いのだ。鈴木長吉(1848-1919)が残した渾身の作品「水晶置物」。台座に小さく「大日本東京 帝室伎芸員鈴木嘉幸」の銘が刻まれている。波のしずくまで表現しているが、製作は大変だったろう。

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これもボストン美術館所蔵の、柴田是真作(1871-91)、これぞ漆工芸の極致のような作品。「野菜涅槃図蒔絵盆」(1888)

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ボストン美術館、井上安治(1864-89)「東京名所従吾妻橋水雷火遠望之図」(88) 海軍省は、この頃、しばしば隅田川などで水雷の実験を行っていた。それが右側に見られる。それにしても、立派な鉄橋である。

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芸大所蔵。五姓田義松(1855-1915)「自画像」1877、第1回内国勧業博物館に出品された作品。すでに西洋画法を手に入れていた五姓田の自信満々の表情が印象的。大変気品に満ちた作品。

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芸大所蔵。工部美術学校教師となったお雇い外国人彫刻家、ヴィンチェンツォ・ラグーサ(1841-1921)の「日本婦人」 奥さんは画家、清原 玉で、ラグーサと一緒にシチリアへ。ラグーサお玉と呼ばれた。

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こりゃまた、劇画そのものだ!小林永濯(1843-1890)の「菅原道真天拝山祈祷図」

菅原道真太宰府に流され天神となる天神縁起を題材にしている。縦が180センチほどある大作。衣装が強風でなびき、帽子はぶっ飛ぶし、天には稲妻が光る。人物の一瞬の動きをダイナミックに描写。1882年に来日した医師で日本美術研究家、ウィリアム・スタージス・ビゲローが注目して彼の作品を収集した。日本ではなじみが薄いが、欧米で評価が高く永濯の作品は海外に多数存在するとか。

いずれにしても、この時代にこのような現代アートそのものが作られていたとは驚きである。

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ご存知「悲母観音像」だが、狩野芳崖を模写した岡倉秋水(天心の甥 1867-1950))の作品。構図などはそのままだが、あちこちに秋水独自の工夫が見られる。芳崖の作品より全体に色が派手なところが特徴と言える。ボストン所蔵。

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芸大所蔵。横山大観(1868-1958)の「村童観猿翁」(93)。東京美術学校卒業時に制作。猿回しの翁を師匠である橋本雅邦に、村童は、同級生の幼顔を思い浮かべて描いたとされる。

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竹内久一(1857-1891)の「神武天皇立像」。台座を含めると3メートル近い大作。明治天皇を彷彿とさせる風貌。芸大所蔵。

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黒田清輝(1866-1924)がフランス留学中に、一時滞在したグレ・シュル・ロアンで描いた作品「婦人像(厨房)」元々法律を学ぶ目的の留学だったが、滞在中に山本芳翠ら、多くの画家と親交を結ぶうちに、画家に転向したという、少々変わり種。それにしても、大した才能であある。

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山本芳翠(1850-1906)「西洋婦人像」(1882) モデルは女流作家のジュディット・ゴーチエ。サインが洒落ている。